「「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」のガイダンスについて」に改正について(薬生薬審発0831第15号 令和2年8月31日)
- 旧ガイダンスからの主な改正点
- 1.「被験薬」、「治験使用薬」等の定義を追記した。(医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成9年厚生省令第28号。以下「GCP省令」という。)第2条)
- 2.治験実施計画書における治験責任医師及び治験調整医師等の職名の記載を不要とした。(GCP省令第7条第1項及び第15条の4第1項)
- 3.治験使用薬の管理に関する規定を追記した。(GCP省令第16条、第26条の2及び第39条)
- 4.治験使用薬に係る副作用情報等の取扱いに関する規定を追記した。(GCP省令第20条、第26条の6及び第48条)
- 5.治験審査委員会の設置者の要件について、一部見直しを行った。(GCP省令第27条第2項)
- 6.医薬品の承認申請のために治験の中間報告書を作成する場合の症例報告書の取扱いを明確化した。(GCP省令第47条)
- 7.治験を製造販売後臨床試験に切り替え継続実施する場合の対応について追記した。(GCP省令第56条)
- 8.その他記載整備を行った。
(別添)
医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の目次
第一章 総則
第二章 治験の準備に関する基準
- 第一節 治験の依頼をしようとする者による治験の準備に関する基準
- 第4条 業務手順書等
- 第5条 毒性試験等の実施
- 第6条 実施医療機関等の選定
- 第7条 治験実施計画書
- 第8条 治験薬概要書
- 第9条 説明文書の作成の依頼
- 第10条 実施医療機関の長への文書の事前提出
- 第11条 治験薬の事前交付の禁止
- 第12条 業務の委託
- 第13条 治験の契約
- 第14条 被験者に対する補償措置
- 第15条 治験国内管理人
- 第二節 自ら治験を実施しようとする者による治験の準備に関する基準
- 第15条の2 業務手順書等
- 第15条の3 毒性試験等の実施
- 第15条の4 治験実施計画書
- 第15条の5 治験薬概要書
- 第15条の6 説明文書の作成
- 第15条の7 実施医療機関の長への文書の事前提出等
- 第15条の8 業務の委託
- 第15条の9 被験者に対する補償措置
第三章 治験の管理に関する基準
- 第一節 治験依頼者による治験の管理に関する基準
- 第16条 治験薬又は治験使用薬の管理
- 第17条 治験薬の交付
- 第18条 委嘱の文書の作成
- 第19条 効果安全性評価委員会の設置
- 第20条 副作用情報等
- 第21条 モニタリングの実施
- 第22条 モニターの責務
- 第23条 監査
- 第24条 治験の中止等
- 第25条 総括報告書
- 第26条 記録の保存等
- 第二節 自ら治験を実施する者による治験の管理に関する基準
- 第26条の2 治験薬又は治験使用薬の管理
- 第26条の3 治験薬の品質の確保
- 第26条の4 委嘱の文書の作成
- 第26条の5 効果安全性評価委員会の設置
- 第26条の6 副作用情報等
- 第26条の7 モニタリングの実施
- 第26条の8 モニターの責務
- 第26条の9 監査
- 第26条の10 治験の中止等
- 第26条の11 総括報告書
- 第26条の12 記録の保存等
第四章 治験を行う基準
- 第一節 治験審査委員会
- 第27条 治験審査委員会の設置
- 第28条 治験審査委員会の構成等
- 第29条 治験審査委員会の会議
- 第30条 治験審査委員会の審査
- 第31条 継続審査等
- 第32条 治験審査委員会の責務
- 第33条 治験審査委員会の意見
- 第34条 記録の保存
- 第二節 実施医療機関
- 第35条 実施医療機関の要件
- 第36条 実施医療機関の長
- 第37条 モニタリング等への協力
- 第38条 治験事務局
- 第39条 治験使用薬の管理
- 第39条の2 業務の委託等
- 第40条 治験の中止等
- 第41条 記録の保存
- 第三節 治験責任医師
- 第42条 治験責任医師の要件
- 第43条 治験分担医師等
- 第44条 被験者となるべき者の選定
- 第45条 被験者に対する責務
- 第46条 治験実施計画書からの逸脱
- 第47条 症例報告書
- 第48条 治験中の副作用等報告
- 第49条 治験の中止等
- 第四節 被験者の同意
- 第50条 文書による説明と同意の取得
- 第51条 説明文書
- 第52条 同意文書等への署名等
- 第53条 同意文書の交付
- 第54条 被験者の意思に影響を与える情報が得られた場合
- 第55条 緊急状況下における救命的治験
第五章 再審査等の資料の基準
第六章 治験の依頼等の基準
附則
1.第一章 総則
(趣旨)
第1条
- 第1条 この省令は、被験者の人権の保護、安全の保持及び福祉の向上を図り、治験の科学的な質及び成績の信頼性を確保するため、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号。以下「法」という。)第14条第3項及び第10項(同条第13項及び法第19条の2第5項において準用する場合を含む。以下同じ。)並びに法第14条の4第5項及び第14条の6第4項(これらの規定を法第19条の4において準用する場合を含む。以下同じ。)の厚生労働省令で定める基準のうち医薬品の臨床試験の実施に係るもの並びに法第80条の2第1項、第4項及び第5項に規定する厚生労働省令で定める基準を定めるものとする。
- 1 本基準(この省令で定める基準を以下「本基準」という。)は、被験者の人権の保護、安全の保持及び福祉の向上を図り、治験(医薬品の製造販売承認申請の際に提出すべき資料のうち臨床試験の試験成績に関する資料の収集を目的とする試験。以下同じ。)の科学的な質及び成績の信頼性を確保することを目的として、治験及び製造販売後臨床試験に関する計画、実施、モニタリング、監査、記録、解析及び報告等に関する遵守事項を定めるものである。
- 2 治験に関する原則的事項としては、次の事項があげられる。製造販売後臨床試験を実施する際も準拠すべきである。
- (1)治験は、ヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則及び本基準を遵守して行うこと。
- (2)治験を開始する前に、個々の被験者及び社会にとって期待される利益と予想される危険及び不便とを比較考量すること。期待される利益によって危険を冒すことが正当化される場合に限り、治験を開始し継続すべきである。
- (3)被験者の人権の保護、安全の保持及び福祉の向上に対する配慮が最も重要であり、科学と社会のための利益よりも優先されるべきである。
- (4)治験薬に関して、その治験の実施を支持するのに十分な非臨床試験及び臨床試験に関する情報が得られていること。
- (5)治験は科学的に妥当でなければならず、治験実施計画書にその内容が明確かつ詳細に記載されていること。
- (6)治験は、治験審査委員会が事前に承認した治験実施計画書を遵守して実施すること。
- (7)被験者に対する医療及び被験者のためになされる医療上の決定に関する責任は、医師又は歯科医師が常に負うこと。
- (8)治験の実施に関与する者は、教育、訓練及び経験により、その業務を十分に遂行しうる要件を満たしていること。
- (9)全ての被験者から、治験に参加する前に、自由意思によるインフォームド・コンセントを得ること。
- (10)治験に関する全ての情報は、正確な報告、解釈及び検証が可能なように記録し、取扱い、及び保存すること。本原則は、その媒体によらず、本ガイダンスで規定する全ての記録に適用される。
- (11)被験者の身元を明らかにする可能性のある記録は、被験者のプライバシーと秘密の保全に配慮して保護すること。
- (12)治験薬の製造、取扱い、保管及び管理は、「治験薬の製造管理、品質管理等に関する基準(治験薬GMP)について」(平成20年7月9日付け薬食発第0709002号厚生労働省医薬食品局長通知。以下「治験薬GMP通知」という。)を遵守して行うこと。治験薬は治験審査委員会が事前に承認した治験実施計画書を遵守して使用すること。
- (13)治験の被験者保護及び治験結果の信頼性確保に必要不可欠な局面の質を保証するための手順を示したシステムを運用すること。
- (14)治験に関連して被験者に健康被害が生じた場合には、過失によるものであるか否かを問わず、被験者の損失を適切に補償すること。その際、因果関係の証明等について被験者に負担を課すことがないようにすること。
(定義)
第2条
- 第2条 この省令において「製造販売後臨床試験」とは、医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令(平成16年厚生労働省令第171号)第2条第1項第3号に規定する製造販売後臨床試験をいう。
- 2 この省令において「実施医療機関」とは、治験又は製造販売後臨床試験を行う医療機関をいう。
- 3 この省令において「治験責任医師」とは、実施医療機関において治験に係る業務を統括する医師又は歯科医師をいう。
- 4 この省令において「製造販売後臨床試験責任医師」とは、実施医療機関において製造販売後臨床試験に係る業務を統括する医師又は歯科医師をいう。
- 5 この省令において「被験薬」とは、治験の対象とされる薬物又は製造販売後臨床試験の対象とされる医薬品をいう。
- 6 この省令において「対照薬」とは、治験又は製造販売後臨床試験において被験薬と比較する目的で用いられる薬物をいう。
- 7 この省令において「治験薬」とは、被験薬及び対照薬(治験に係るものに限る。)をいう。
- 8 この省令において「製造販売後臨床試験薬」とは、被験薬及び対照薬(製造販売後臨床試験に係るものに限る。)をいう。
- 9 この省令において「治験使用薬」とは、被験薬(治験に係るものに限る。以下この項において同じ。)並びに被験薬の有効性及び安全性の評価のために使用する薬物をいう。
- 10 この省令において「治験使用薬等」とは、治験使用薬又は治験使用薬と成分が同一性を有すると認められる薬物をいう。
- 11 この省令において「製造販売後臨床試験使用薬」とは、被験薬(製造販売後臨床試験に係るものに限る。以下この項において同じ。)並びに被験薬の有効性及び安全性の評価のために使用する薬物をいう。
- 12 この省令において「製造販売後臨床試験使用薬等」とは、製造販売後臨床試験薬又は製造販売後臨床試験薬と成分が同一性を有すると認められる薬物をいう。
- 13 この省令において「被験者」とは、治験薬若しくは製造販売後臨床試験薬を投与される者又は当該者の対照とされる者をいう。
- 14 この省令において「原資料」とは、被験者に対する治験薬又は製造販売後臨床試験薬の投与及び診療により得られたデータその他の記録をいう。
- 15 この省令において「治験分担医師」とは、実施医療機関において、治験責任医師の指導の下に治験に係る業務を分担する医師又は歯科医師をいう。
- 16 この省令において「製造販売後臨床試験分担医師」とは、実施医療機関において、製造販売後臨床試験責任医師の指導の下に製造販売後臨床試験に係る業務を分担する医師又は歯科医師をいう。
- 17 この省令において「症例報告書」とは、原資料のデータ及びそれに対する治験責任医師若しくは治験分担医師又は製造販売後臨床試験責任医師若しくは製造販売後臨床試験分担医師の評価を被験者ごとに記載した文書をいう。
- 18 この省令において「治験協力者」とは、実施医療機関において、治験責任医師又は治験分担医師の指導の下にこれらの者の治験に係る業務に協力する薬剤師、看護師その他の医療関係者をいう。
- 19 この省令において「製造販売後臨床試験協力者」とは、実施医療機関において、製造販売後臨床試験責任医師又は製造販売後臨床試験分担医師の指導の下にこれらの者の製造販売後臨床試験に係る業務に協力する薬剤師、看護師その他の医療関係者をいう。
- 20 この省令において「治験調整医師」とは、一の治験実施計画書(第22項に規定する治験実施計画書をいう。以下この項及び次項において同じ。)に基づき複数の実施医療機関において治験を行う場合に、治験依頼者(第22項に規定する治験依頼者をいう。次項において同じ。)又は自ら治験を実施する者により当該実施医療機関における当該治験実施計画書の解釈その他の治験の細目について調整する業務(以下この条において「調整業務」という。)の委嘱を受け、当該調整業務を行う医師又は歯科医師をいう。
- 21 この省令において「治験調整委員会」とは、一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関において治験を行う場合に、治験依頼者又は自ら治験を実施する者により調整業務の委嘱を受けて当該調整業務を行う複数の医師又は歯科医師で構成される委員会をいう。
- 22 この省令において「モニタリング」とは、治験又は製造販売後臨床試験が適正に行われることを確保するため、治験又は製造販売後臨床試験の進捗状況並びに治験又は製造販売後臨床試験がこの省令及び治験の計画書(以下「治験実施計画書」という。)又は製造販売後臨床試験の計画書(以下「製造販売後臨床試験実施計画書」という。)に従って行われているかどうかについて治験の依頼をした者(以下「治験依頼者」という。)若しくは製造販売後臨床試験の依頼をした者(以下「製造販売後臨床試験依頼者」という。)が実施医療機関に対して行う調査又は自ら治験を実施する者が実施医療機関に対して特定の者を指定して行わせる調査をいう。
- 23 この省令において「監査」とは、治験又は製造販売後臨床試験により収集された資料の信頼性を確保するため、治験又は製造販売後臨床試験がこの省令及び治験実施計画書又は製造販売後臨床試験実施計画書に従って行われたかどうかについて治験依頼者若しくは製造販売後臨床試験依頼者が行う調査、又は自ら治験を実施する者が特定の者を指定して行わせる調査をいう。
- 24 この省令において「有害事象」とは、治験使用薬又は製造販売後臨床試験使用薬を投与された被験者に生じた全ての疾病又はその徴候をいう。
- 25 この省令において「代諾者」とは、被験者の親権を行う者、配偶者、後見人その他これらに準じる者をいう。
- 26 この省令において「自ら治験を実施しようとする者」とは、その所属する実施医療機関等において自ら治験を実施するために法第80条の2第2項の規定に基づき治験の計画を届け出ようとする者であって、治験責任医師となるべき医師又は歯科医師(一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関において共同で治験を行う場合にあっては、代表して同項の規定に基づき治験の計画を届け出ようとする治験調整医師となるべき医師又は歯科医師を含む。)をいう。
- 27 この省令において「自ら治験を実施する者」とは、その所属する実施医療機関等において自ら治験を実施するために法第80条の2第2項の規定に基づき治験の計画を届け出た治験責任医師(一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関において共同で治験を行う場合にあっては、代表して同項の規定に基づき治験の計画を届け出た治験調整医師を含む。)をいう。
- 28 この省令において「治験薬提供者」とは、自ら治験を実施する者に対して治験薬を提供する者をいう。
- 29 この省令において「拡大治験」とは、人道的見地から実施される治験をいう。
- 1 第3項の「治験責任医師」とは、実施医療機関において治験の実施に関して責任を有する医師又は歯科医師である。実施医療機関において治験が複数の者からなるチームにより実施される場合には、当該チームを統括する医師又は歯科医師である。
- 2 第5項の「被験薬」(治験に係るものに限る。)とは、治験の対象とされる薬物であり、当該治験の試験成績をもって承認申請資料とすることを目的とするものである。
- 3 第6項の「対照薬」とは、治験又は製造販売後臨床試験(以下「治験等」という。)において被験薬と比較する目的で用いられる既承認有効成分若しくは未承認有効成分を含む製剤又はプラセボを意味する。
- 4 第9項の「治験使用薬」とは、治験において被験薬の有効性及び安全性の評価のために使用する、治験計画届書及び治験実施計画書において規定された既承認有効成分又は未承認有効成分を含む薬物(被験薬を含む。)を意味する。具体的には、被験薬、対照薬、併用薬、レスキュー薬、前投与薬等が該当する。なお、GCP省令において「治験使用薬」に対して求める事項については、薬物に係る治験において被験薬の有効性及び安全性の評価のために使用する機械器具又は加工細胞に対しても、同様に遵守されることが望ましい。
- 5 第11項の「製造販売後臨床試験使用薬」とは、製造販売後臨床試験において被験薬の有効性及び安全性の評価のために使用する、製造販売後臨床試験計画届書及び製造販売後臨床試験実施計画書において規定された既承認有効成分若しくは未承認有効成分を含む医薬品(被験薬を含む。)を意味する。
- 6 第14項の「原資料」とは、治験の事実経過に係る情報や症例報告書等の元となる文書、データ及び記録(例:病院記録、診療録、検査ノート、メモ、被験者の日記又は評価用チェックリスト、投与記録、自動計器の記録データ、正確な複写であることが検証によって保証された複写物又は転写物、マイクロフィッシュ、写真のネガ、マイクロフィルム又は磁気媒体、エックス線写真、被験者ファイル及び治験に関与する薬剤部門、検査室、医療技術部門に保存されている記録等)をいう。
- 7 第15項の「治験分担医師」とは、実施医療機関において治験を実施するチームに参加する個々の医師又は歯科医師で、治験責任医師によって指導・監督され、治験に係る重要な業務又は決定を行う者である。
- 8 第18項の「治験協力者」とは、実施医療機関において治験を実施するチームのメンバーで、治験責任医師によって指導・監督され、専門的立場から治験責任医師及び治験分担医師(以下「治験責任医師等」という。)の業務に協力する者である。
- 9 第20項の「治験調整医師」とは、一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関において共同で行う治験(以下「多施設共同治験」という。)において、治験依頼者又は自ら治験を実施する者(以下「治験依頼者等」という。)により当該実施医療機関における当該治験実施計画書の解釈その他の治験の細目について調整業務の委嘱を受け、当該調整業務を行う医師又は歯科医師である。治験調整医師は、当該治験の分野において十分な経験を有し、多施設間の調整を適切に行いうる者であること。治験責任医師の中から選定されることが考えられるが、必ずしも治験責任医師に限らないこと。
- 10 第21項の「治験調整委員会」とは、多施設共同治験において、治験依頼者等により調整業務の委嘱を受けて当該調整業務を行う複数の医師又は歯科医師で構成される委員会である。なお、治験協力者等も治験調整委員会を構成する委員となることは可能である。
- 11 第22項の「モニタリング」とは、治験等が適正に行われることを確保するため、治験依頼者若しくは自ら治験を実施する者又は製造販売後臨床試験依頼者より指名されたモニターが、治験等の進行状況を調査し、本基準並びに治験実施計画書(又は製造販売後臨床試験実施計画書)及び手順書に従って実施、記録及び報告されていることを保証する活動である。自ら治験を実施する者が、当該実施医療機関内の者をモニターに指定する場合には、当該治験に従事していない第三者を指定するべきであり、また、実施医療機関外部に委託することも可能である。
- 12 第23項の「監査」とは、治験等が本基準並びに治験実施計画書(又は製造販売後臨床試験実施計画書)及び手順書に従って実施され、データが記録、解析され、正確に報告されているか否かを確定するため、治験依頼者等(又は製造販売後臨床試験依頼者)によって指名された監査担当者が、独立した立場において治験等に係る業務及び文書を体系的に検証することである。自ら治験を実施する者が、当該実施医療機関内の者を監査担当者に指定する場合には、当該治験又は当該治験に対するモニタリングに従事していない第三者を指定するべきであり、また、実施医療機関外部に委託することも可能である。なお、事実経過の再現を可能とする文書を「監査証跡」、監査が行われた旨の監査担当者による証明書を「監査証明書」、監査担当者が監査の結果の評価を記述したものを「監査報告書」という。
- 13 第24項の「有害事象」とは、治験使用薬又は製造販売後臨床試験使用薬を投与された被験者に生じた全ての好ましくない又は意図しない疾病又はその徴候(臨床検査値の異常を含む。)をいい、当該治験使用薬又は当該製造販売後臨床試験使用薬との因果関係の有無は問わない。
- 14 第25項の「代諾者」とは、治験への参加について、被験者に十分な同意の能力がない場合に、被験者とともに、又は被験者に代わって同意をすることが正当なものと認められる者であり、被験者の親権を行う者、配偶者、後見人その他これらに準じる者で、両者の生活の実質や精神的共同関係から見て、被験者の最善の利益を図りうる者であること。
- 15 第26項の「自ら治験を実施しようとする者」とは、その所属する実施医療機関において自ら治験を実施するために治験の計画を厚生労働大臣に届け出ようとする者であって、治験責任医師となるべき医師又は歯科医師(一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関において共同で治験を行う場合にあっては、代表して治験の計画を届け出ようとする治験調整医師となるべき医師又は歯科医師を含む。)をいう。なお、本基準への適合性の客観性が確保される限りにおいてやむを得ない場合にあっては、実施医療機関の長が自ら治験を実施しようとする者となることを妨げるものではない。
- 16 第27項の「自ら治験を実施する者」とは、その所属する実施医療機関において自ら治験を実施するために治験の計画を厚生労働大臣に届け出た治験責任医師(一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関において共同で治験を行う場合にあっては、代表して治験の計画を届け出た治験調整医師を含む。)をいう。なお、一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関において共同で治験を実施する場合、各治験責任医師は「自ら治験を実施する者」と解される。
- 17 第28項の「治験薬提供者」とは、自ら治験を実施する者に対して薬物を提供する者をいう。この場合の治験薬提供者は、当該実施医療機関に対して治験薬を提供する医薬品製造販売業者等をいう。
- 18 省令で規定するもののほか、次の用語については、以下に示すとおりである。
- (1)「インフォームド・コンセント」並びに「説明文書」及び「同意文書」について
- ① 「インフォームド・コンセント」とは、被験者の治験への参加の意思決定と関連する、治験に関するあらゆる角度からの説明が十分なされた後に、被験者がこれを理解し、自由な意思によって治験への参加に同意し、文書によってそのことを確認することをいう。
この際の説明に用いられる文書が「説明文書」(第51条参照)である。治験への参加に同意することを確認する文書が「同意文書」(第52条第1項参照)であり、被験者(又は代諾者)と治験責任医師等の記名押印又は署名と日付が記入される。 - ② 「説明文書」と「同意文書」は両者を一体化した文書又は一式の文書とすることが望ましい。
- ③ 同意文書は、説明文書の内容を十分に理解した上で、当該治験に参加することに同意する旨を記載した文書であるが(第52条第1項参照)、あらかじめ、様式を定めている場合には、説明文書と一体化した文書又は一式の文書として取扱うこと。 例えば、第10条に基づき実施医療機関の長に対し説明文書を提出する場合及び第32条に基づき治験審査委員会に対し審査資料として説明文書を提出する場合には、説明文書と同意文書をあわせて提出すること。また、第50条に基づき説明文書を用いて説明する場合には、説明文書と同意文書をあわせて用いて説明すること。
- ① 「インフォームド・コンセント」とは、被験者の治験への参加の意思決定と関連する、治験に関するあらゆる角度からの説明が十分なされた後に、被験者がこれを理解し、自由な意思によって治験への参加に同意し、文書によってそのことを確認することをいう。
- (2)「開発業務受託機関」について
治験の依頼及び管理に係る業務の全部又は一部を治験を依頼しようとする者から受託する者又は治験の実施の準備及び管理に係る業務の全部又は一部を自ら治験を実施しようとする者又は実施医療機関から受託する者は開発業務受託機関(CRO:Contract Research Organization)とも呼ばれる(第12条及び第15条の8参照)。 - (3)「治験施設支援機関」について
治験の実施に係る業務の一部を実施医療機関から受託する者は、治験施設支援機関(SMO:Site Management Organization)とも呼ばれる(第39条の2参照)。 - (4)「効果安全性評価委員会」は、治験の進行、安全性データ及び重要な有効性エンドポイントを適当な間隔で評価し、治験依頼者等に治験の継続、変更又は中止を提言することを目的として、治験依頼者等が設置することができる委員会であり、「データモニタリング委員会」とも呼ばれる。有効性の検証を目的とした臨床試験等においては、治験依頼者、治験責任医師及び治験調整医師から独立した委員会として設置した場合には、とくに「独立データモニタリング委員会」とも呼ばれる(第19条及び第26条の5参照)。
- (5)「公正な立会人」とは、治験の実施から独立し、治験に関与する者から不当に影響を受けない者で、被験者(又は代諾者)が同意文書等を読むことができない場合にインフォームド・コンセントの過程に立ち会う者である(第52条参照)。なお、治験責任医師、治験分担医師及び治験協力者は、説明する側の立場の者であり、公正な立会人としては適当でない。
- (6)「症例報告書の見本」とは、各被験者に対して、治験依頼者に報告すること又は自ら治験を実施する者が保存することが治験実施計画書において規定されている全ての情報を記録するために印刷された又は光学的若しくは電子的な記録様式をいう(症例報告書の様式とも呼ばれている。)。なお、これに記録されたものは「症例報告書」という。
- (7)「手順書」とは、治験に係る各々の業務が恒常的に又は均質に、かつ適正に実施されるよう手順を詳細に定めた文書をいう。
- (8)「被験者識別コード」とは、個々の被験者の身元に関する秘密を保護するため、治験責任医師が各被験者に割り付けた固有の識別番号で、治験責任医師が有害事象及びその他の治験関連データを報告する際に、被験者の氏名、身元が特定できる番号及び住所等の代わりに用いるものである。
- (9)「非臨床試験」とは、人を対象としない生物医学的試験及びその他の試験をいう。
- (10)「副作用」とは、
治験使用薬等については以下のとおり:投与量にかかわらず、投与された治験使用薬に対するあらゆる有害で意図しない反応(臨床検査値の異常を含む。)。すなわち、当該治験使用薬と有害事象との間の因果関係について、少なくとも合理的な可能性があり、因果関係を否定できない反応を指す。因果関係の判定を行う際には、投与中止後に消失すること、投与再開後に再発すること、既に当該治験使用薬又は類薬において因果関係が確立されていること、交絡するリスク因子がないこと、曝露量・曝露期間との整合性があること、正確な既往歴の裏付けにより治験使用薬の関与がほぼ間違いなく説明可能であること、併用治療が原因である合理的な可能性がみられないこと等を参考にすることができる。
市販薬については以下のとおり:疾病の予防、診断、治療又は生理機能の調整のために用いられる通常の投与量範囲で投与された医薬品に対するあらゆる有害で意図しない反応(臨床検査値の異常を含む。)。すなわち、当該医薬品と有害事象との間の因果関係について、少なくとも合理的な可能性があり、因果関係を否定できない反応を指す。
(なお、本基準においては、副作用という用語を、薬理作用の中で主作用に対する副作用を意味する英語の side effectではなく、薬物有害反応 adverse drug reactionに対応する意味で用いている。) - (11)「盲検化(又は遮蔽化)」とは、薬効評価に対する偏りの介入を避ける目的で、治験に参加する単数又は複数の当事者が、治療方法の割付けについて知らされないようにする措置をいう。単盲検法は通常、被験者が割付けの内容を知らされないこと、二重盲検法は被験者、治験責任医師、治験分担医師、治験協力者、治験依頼者、自ら治験を実施する者、モニター、監査担当者及び一部の事例ではデータ解析者が割付けの内容を知らされないことを指す。
なお、ここでいう「治験依頼者が割付けの内容を知らされないこと」とは、治験依頼者において手順を定める等割付けの内容の機密性を確保するための必要な措置が講じられており、かつ、医薬品の開発に係る部門が割付けの内容を知らされないことを意味するものである。 - (12)「原データ」とは、治験における臨床所見、観察その他の活動に関する元の記録及びその保証付き複写に記録されているあらゆる情報であって、治験の事実経過の再現と評価に必要なものをいう。「原データ」は原資料(元の記録又はその保証付き複写)に含まれる。
- (13)「保証付き複写」とは、使用媒体によらず、元の記録からの複写物で、元の記録の背景、内容及び構成を説明するデータを含め、同一の情報を有することが保証された(すなわち、日付入り署名が記入された又はバリデートされた過程により作成された)ものをいう。複写物を元の文書(原資料、症例報告書等)の代わりとして置き換える場合には、当該複写物は保証付き複写の要件を満たすこと。
- (14)「システムバリデーション」とは、電子データ処理システムが要求される仕様について、システムの設計から廃棄まで又は新システムへの移行まで常に満たすことを検証し、文書化(記録化)する過程をいう。システムバリデーションの取組みは、システムの用途や被験者保護及び治験結果の信頼性への影響を与える可能性を考慮したリスク評価に基づくこと。
- (15)「モニタリング計画書」とは、治験のモニタリングの戦略、方法、責務及び要件を記述した文書をいう。
- (1)「インフォームド・コンセント」並びに「説明文書」及び「同意文書」について
(承認審査資料の基準)
第3条
- 第3条 法第14条第1項若しくは第13項(法第19条の2第5項において準用する場合を含む。)又は第19条の2第1項の承認を受けようとする者が行う医薬品の臨床試験の実施に係る法第14条第3項及び第10項に規定する資料の収集及び作成については、第二章第一節、第三章第一節及び第四章(第29条第1項第2号、第31条第4項、第32条第4項及び第7項、第33条第3項並びに第48条第3項を除く。)の規定の定めるところによる。
- 2 自ら治験を実施する者が行う医薬品の臨床試験の実施に係る法第14条第3項及び第10項に規定する資料の収集及び作成については、第二章第二節、第三章第二節及び第四章(第29条第1項第1号、第32条第6項及び第8項並びに第48条第2項を除く。)の規定の定めるところによる。
-
<第1項>
- 1 医薬品の製造販売承認申請の際に提出すべき資料のうち、医薬品の製造販売承認申請を行おうとする者が行う臨床試験の成績に関する資料については、第二章第一節、第三章第一節及び第四章(第29条第1項第2号、第31条第4項、第32条第4項及び第7項、第33条第3項並びに第48条第3項を除く。)の規定の定めるところに従ったものであること。
-
<第2項>
- 1 医薬品の製造販売承認申請の際に提出すべき資料のうち、自ら治験を実施する者が行う臨床試験の成績に関する資料については、第二章第二節、第三章第二節及び第四章(第29条第1項第1号、第32条第6項及び第8項並びに第48条第2項を除く。)の規定の定めるところに従ったものであること。
2.第二章 治験の準備に関する基準
2-1 第一節 治験の依頼をしようとする者による治験の準備に関する基準
(業務手順書等)
第4条
- 第4条 治験の依頼をしようとする者は、治験実施計画書の作成、実施医療機関及び治験責任医師の選定、治験使用薬の管理、治験使用薬等の副作用情報等の収集、記録の保存その他の治験の依頼及び管理に係る業務に関する手順書を作成しなければならない。
- 2 治験の依頼をしようとする者は、医師、歯科医師、薬剤師その他の治験の依頼及び管理に係る業務を行うことにつき必要な専門的知識を有する者を確保しなければならない。
-
〈第1項〉
- 1 治験の依頼をしようとする者は、治験依頼者になることを意図した者であり、治験の依頼に係る治験実施計画書の作成、実施医療機関及び治験責任医師の選定、治験薬概要書の作成等の業務、治験の管理に係る治験使用薬の管理、治験使用薬等の副作用情報等の収集、モニタリング及び監査の実施、総括報告書の作成、記録の保存等の業務について手順書を作成すること。
なお、本条の以下の解説において治験依頼者とあるのは、治験の依頼をしようとする者を含むものである。 - 2 治験依頼者は、治験の全ての過程において、品質マネジメントのためのシステムを履行し、被験者保護及び治験結果の信頼性確保に必要不可欠な活動に重点的に取り組むものとする。
品質マネジメントには、治験の実施並びにデータの作成、記録及び報告が、本基準及び治験実施計画書を遵守して行われることを保証するために、手順書に基づく品質保証及び品質管理のほか、以下のものが含まれる。
- ・効率的な治験実施計画書のデザイン
- ・データ収集及び処理に関するツール及び手順
- ・意思決定に不可欠な情報の収集
治験の品質保証及び品質管理のために使用する方法は、治験固有のリスク及び収集する情報の重要性に対して釣り合いのとれたものとすべきである。
また、治験依頼者は、実施した品質マネジメントについて総括報告書に記載すること。
このほか、品質マネジメントの詳細については、「治験における品質マネジメントに関する基本的考え方について」(令和元年7月5日付け薬生薬審発0705第5号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)を参照のこと。
なお、「治験の品質保証」とは、治験の実施、データ作成、文書化(記録化)及び報告が、本基準及び治験実施計画書を遵守していることを保証するために設定された計画的かつ体系的な全活動をいう。また、「治験の品質管理」とは、治験関連の活動の質に求められる事項を充足しているか否かを検証するために治験の品質保証の一環として行われる実務的な手法及び活動をいう。 - 3 治験依頼者は、治験に関連する全てのデータの信頼性とその適正な処理を保証するために、データ取扱いの各段階に品質管理を適用すること。
- 4 治験依頼者は、治験に係る検体等の検査機関(実施医療機関の検査室等を含む。)において、検査が適切に実施されて治験に係るデータが信頼できることを保証するため、当該検査機関における精度管理等を保証する記録等を確認すること。
なお、確認すべき検査の範囲や具体的な確認方法は、各検査データの当該治験における位置づけ(主要評価項目であるかどうか等)を考慮し、治験依頼者と実施医療機関との間で取り決めること。 - 5 治験依頼者は、実施医療機関に交付する治験使用薬について、第16条第6項に基づき、実施医療機関の治験薬管理者がそれらの取扱い及び保管、管理並びにそれらの記録に際して従うべき指示を記載した手順書を定めること。当該手順書には、治験使用薬の受領、取扱い、保管、管理、処方並びに未使用治験使用薬の被験者からの返却及び治験依頼者への返却又はその他の処分が、適切で確実に行われるように規定すること。
また、治験薬以外の治験依頼者が交付しない治験使用薬であって、実施医療機関が在庫として保管するものの中から使用する治験使用薬については、治験依頼者は、実施医療機関において定められた取扱い、保管、管理、処方等に係る手順等を確認すること。 - 6 治験依頼者が作成すべき記録の保存に関する手順書には、実施医療機関及び当該治験に係る審査を行った治験審査委員会において保存すべき記録(第34条及び第41条参照)について、その保存の必要がなくなった場合には、その旨を実施医療機関の長及び実施医療機関の長を経由して当該治験審査委員会の設置者に通知することを含むこと。
なお、第24条第2項及び第3項に規定されている治験の中断又は中止及び開発の中止に関する治験依頼者から実施医療機関の長への文書による通知に関する事項(当該通知を受けた実施医療機関の長から治験責任医師及び治験審査委員会等への通知については、第40条第2項に規定されている。)及び当該被験薬に係る製造販売承認を得た場合に、治験依頼者から実施医療機関の長へのその旨を通知することについても規定されている必要がある。- (1)治験依頼者は、治験を中断又は中止する場合には、治験に関与する全ての実施医療機関の長にその旨とその理由の詳細を速やかに文書で通知すること(第24条第2項参照)。
- (2)治験依頼者は、被験薬の開発(すなわち、その効能・効果、用法・用量又は製剤のいずれか若しくは全てについて)を中止する場合には、その旨とその理由の詳細を治験に関与する全ての実施医療機関の長に速やかに文書で通知すること(第24条第3項参照)。
- (3)実施医療機関の長は、治験依頼者が治験の中断又は中止若しくは被験薬の開発の中止を決定しその旨を通知してきた場合には、治験責任医師及び治験審査委員会等に対し、また治験責任医師が治験を中断又は中止しその旨を報告してきた場合には、治験依頼者及び治験審査委員会等に対し、それぞれ速やかにその旨を文書で通知するとともに、中断又は中止について文書で詳細に説明すること(第40条第2項及び第3項参照)。
- (4)治験依頼者は、当該被験薬に係る製造販売承認を得た場合には、その旨を実施医療機関の長に通知すること。
- 7 治験依頼者は、治験責任医師等に症例報告書の変更又は修正に関する手引きを提供すること(第47条第2項参照)。また、治験依頼者が指名した者が行う症例報告書の変更又は修正については、それらが文書に記録され、かつ、当該変更又は修正が必要なものであり、治験責任医師が承認したものであることを保証するための手順書を作成しておくこと。
- 8 治験依頼者は、治験が開始される前に、治験に関連する全ての施設及び原資料等の全ての治験関連記録について、治験依頼者によるモニタリング及び監査、並びに治験審査委員会及び規制当局による調査のための直接閲覧が可能であるように全ての関係者との合意を得ておく必要があり、これに関する規定を手順書に定めておくこと。
- 9 治験依頼者は、治験責任医師、実施医療機関及び治験に係るその他の施設又は治験依頼者のスタッフが本基準、治験実施計画書又は手順書を遵守していない場合には、遵守を確保するべく迅速な措置を講じること。
被験者保護や治験結果の信頼性に重大な影響を与える又は与えるおそれがある不遵守が発覚した場合には、治験依頼者は、根本原因を分析し、適切な是正措置及び予防措置を講じ、必要に応じて規制当局に報告すること。
-
〈第2項〉
- 1 「治験の依頼及び管理に係る業務を行うことにつき必要な専門的知識を有する者」とは、治験に関する医学的な問題について適切な助言を行う医学の専門家並びに治験実施計画書、治験薬概要書等の作成・改訂、データの取扱い、統計解析の実施、総括報告書の作成等において活用されるべき治験依頼者内部及び外部の専門家(例:生物統計学者、臨床薬理学者)を含む。
- 2 治験依頼者は、治験に関する業務の総括的な監督、治験実施計画書、症例報告書の見本(治験実施計画書において、症例報告書に記載すべき事項が十分に読み取れる場合は、当該治験実施計画書をもって症例報告書の見本に関する事項を含むものと解してよい。)及び治験薬概要書の作成・改訂、データの取扱い、検証及び統計解析の実施並びに治験の中間報告書(必要な場合)、総括報告書等の作成等、治験の全過程を通じ、適格な者(例:生物統計学者、臨床薬理学者、医師)を活用すること。
- 3 治験依頼者は、治験に関する医学的な問題について速やかに助言を得るために、適格な医学専門家を指名しておくこと。
- 4 治験の依頼をしようとする者は、治験を依頼する前に治験に関連する全ての業務を確定し、適格な者に割り当てること。
- 1 「被験薬の品質、毒性及び薬理作用に関する試験その他治験の依頼をするために必要な試験」とは、当該被験薬の物理的化学的性質、性状等に関する理化学試験等及び毒性、薬理作用、吸収、排泄等に関する動物試験等のいわゆる非臨床試験や臨床試験を指しているが、当該試験の具体的な項目、内容等については、当該試験の内容(治験のフェーズ、治験薬の投与経路及び投与期間、被験者の選択基準等)等を考慮のうえ、治験の依頼時点における科学的水準に照らし適正なものであること。
- 2 治験の依頼をしようとする者は、治験責任医師となるべき者と協議し、治験実施計画書の作成及び必要に応じて改訂を行うが、その際当該治験の目的並びに当該治験で採用される投与対象集団、投与経路、用法・用量、投与期間、観察項目及び評価項目等の妥当性を支持できるだけの品質、有効性及び安全性に関する十分なデータが理化学試験等、非臨床試験及び先行する臨床試験から得られており、当該治験の倫理的及び科学的妥当性が裏付けられていることを保証すること。また、そのための手続きを文書で定めること(第4条参照)。
- 3 治験の依頼をしようとする者は、開発期間中に被験薬又は対照薬の製剤組成が大きく変更される場合には、製剤組成に関する追加の試験(安定性、溶出性、生物学的利用性等)の結果等に基づき、それらの変更が当該被験薬又は対照薬の薬物動態上の性質を大きく変えるか否かを評価するのに必要な情報を、新しい製剤組成の薬剤の使用前に入手しておくこと。
(実施医療機関等の選定)
第6条
- 第6条 治験の依頼をしようとする者は、第35条各号に掲げる要件を満たしている実施医療機関及び第42条各号に掲げる要件を満たしている治験責任医師を選定しなければならない。
- 1 治験の依頼をしようとする者は、治験責任医師及び実施医療機関を選定する責任を有する。
- 2 治験の依頼をしようとする者は、当該治験を適切に実施するのに求められる要件を満たした治験責任医師(第42条参照)及び実施医療機関(第35条参照)を選定すること。
(治験実施計画書)
第7条
- 第7条 治験の依頼をしようとする者は、次に掲げる事項を記載した治験実施計画書を作成しなければならない。
- 1)治験の依頼をしようとする者の氏名(法人にあっては、その名称。以下この号及び次号、第13条第1項第2号及び第3号、第15条の4第1項第2号、第3号及び第7号並びに第16条第1項第2号において同じ。)及び住所(法人にあっては、その主たる事務所の所在地。以下この号及び次号、第13条第1項第2号及び第3号、第15条、第15条の4第1項第2号、第3号及び第7号、第16条第1項第2号並びに第26条第2項において同じ。)(当該者が本邦内に住所を有しない場合にあっては、その氏名及び住所地の国名並びに第15条に規定する治験国内管理人の氏名及び住所。第13条第1項第2号において同じ。)
- 2)治験に係る業務の全部又は一部を委託する場合にあっては、当該業務を受託した者(以下この章において「受託者」という。)の氏名、住所及び当該委託に係る業務の範囲
- 3)実施医療機関の名称及び所在地
- 4)治験責任医師となるべき者の氏名
- 5)治験の目的
- 6)治験使用薬の概要
- 7)治験の方法
- 8)被験者の選定に関する事項
- 9)原資料の閲覧に関する事項
- 10)記録(データを含む。)の保存に関する事項
- 11)治験調整医師に委嘱した場合にあっては、その氏名
- 12)治験調整委員会に委嘱した場合にあっては、これを構成する医師又は歯科医師の氏名
- 13)第19条に規定する効果安全性評価委員会を設置したときは、その旨
- 2 治験の依頼をしようとする者は、当該治験が被験者に対して治験薬の効果を有しないこと及び第50条第1項の同意を得ることが困難な者を対象にすることが予測される場合には、その旨及び次に掲げる事項を治験実施計画書に記載しなければならない。
- 1)当該治験が第50条第1項の同意を得ることが困難と予測される者を対象にしなければならないことの説明
- 2)当該治験において、予測される被験者への不利益が必要な最小限度のものであることの説明
- 3 治験の依頼をしようとする者は、当該治験が第50条第1項及び第2項の同意を得ることが困難と予測される者を対象にしている場合には、その旨及び次に掲げる事項を治験実施計画書に記載しなければならない。
- 1)当該被験薬が、生命が危険な状態にある傷病者に対して、その生命の危険を回避するため緊急に使用される医薬品として、製造販売の承認を申請することを予定しているものであることの説明
- 2)現在における治療方法では被験者となるべき者に対して十分な効果が期待できないことの説明
- 3)被験薬の使用により被験者となるべき者の生命の危険が回避できる可能性が十分にあることの説明
- 4)第19条に規定する効果安全性評価委員会が設置されている旨
- 4 第1項の規定により治験実施計画書を作成するときは、当該治験実施計画書の内容及びこれに従って治験を行うことについて、治験責任医師となるべき者の同意を得なければならない。
- 5 治験の依頼をしようとする者は、被験薬の品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために重要な情報を知ったときは、必要に応じ、当該治験実施計画書を改訂しなければならない。この場合においては、前項の規定を準用する。
-
〈第1項〉
- 1 治験実施計画書には、作成及び改訂の日付並びに版表示、又は最新版の作成の日付及び版表示を記載すること。
- 2 治験実施計画書(改訂版を含む。)に通常含まれているべき具体的事項については、中央薬事審議会答申注1)の10を適宜参照すること。ただし、監査担当者の氏名、職名及び電話番号等は記載しなくても差し支えない。なお、治験実施計画書の具体的記載にあたって、「治験の依頼をしようとする者」を「治験依頼者」と記載しても差し支えない。例えば、治験依頼者と記載して治験の依頼をしようとする者の氏名(法人にあっては、その名称)及び住所(法人にあっては、その主たる事業所の所在地)を記載して差し支えない。
また、一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関に対して治験の依頼をしようとする場合において、実施医療機関の名称及び所在地、治験責任医師となるべき者の氏名並びに実施医療機関を担当するモニター(モニターが複数である場合にはその代表者)の氏名及び電話番号等については、施設に特有の情報として、治験実施計画書の分冊として差し支えなく、当該各実施医療機関の長に対しては、当該分冊のうち、当該実施医療機関に係るもののみを提出することとして差し支えない。 - 3 治験実施計画書又はその分冊に記載されたモニター以外のモニター及び監査担当者が診療録の閲覧等を行う場合は、モニター等の氏名等を当該実施医療機関が把握できるようにすること。
- 注1)中央薬事審議会答申(平成9年3月13日中薬審第40号)は、現行の薬事・食品衛生審議会の改変前の組織である中央薬事審議会が答申した医薬品の臨床試験の実施の基準(以下「GCP」という。)であり、本基準の内容が示されたものである。
- 注2)治験の依頼をしようとする者は、治験責任医師となるべき者と協議し、治験実施計画書の作成及び必要に応じて改訂を行うが、その際、当該治験の目的並びに当該治験で採用される投与対象集団、投与経路、用法・用量、投与期間、観察項目及び評価項目等の妥当性を支持できるだけの品質、有効性及び安全性に関する十分なデータが理化学試験等、非臨床試験及び先行する臨床試験から得られており、当該治験の倫理的及び科学的妥当性が裏付けられていることを保証すること。また、そのための手続きを文書で定めること(第4条参照)。
-
〈第2項〉
- 1 次の2に掲げる場合を除き、被験者に対する直接の臨床的利益が予期されない非治療的な内容の治験においては、必ず被験者本人から同意を得ること(第50条第4項参照)。
- 2 非治療的な内容の治験において、次の(1)から(4)に掲げる事項が全て満たされる場合には、被験者となるべき者の同意を得ることが困難な者を対象として、被験者となるべき者の代諾者による同意を得て治験を行うことができる。このような治験は、例外が正当化される場合を除き、被験薬の適応となることが意図された疾病又は症状を有する患者において行われるべきである。また、治験責任医師又は治験分担医師は、このような治験における被験者に対しては、特に綿密な観察を行い、もし不当な苦痛を受けていると見受けられた場合には治験を中止すること。
- (1)治験の目的が、本人による同意が可能な被験者による治験では達成されないこと。
- (2)被験者に対する予見しうる危険性が低いこと。
- (3)被験者の福祉に対する悪影響が最小限とされ、かつ、低いこと。
- (4)代諾者の同意に基づいて被験者を治験に組み入れる旨を明示した上で治験審査委員会に承認の申請がなされ、かかる被験者の参加を承認する旨が承認文書に記載されていること。
- 3 「当該治験が被験者に対して治験薬の効果を有しないこと及び第50条第1項の同意を得ることが困難な者を対象にすることが予測される場合」とは、例えば、同意の能力を欠く者(小児等)を対象にした治験において、これらの者を被験者として薬物動態試験を行う必要がある場合が考えられる。また、「当該治験において、予測される被験者への不利益が必要な最小限度のものであること」とは、被験者に対する予見しうる危険性が低いこと、被験者への肉体的又は精神的な悪影響が、それらを避けるための努力が行われた上で、十分に低いことをいう。
-
〈第3項〉
- 1 「当該治験が第50条第1項及び第2項の同意を得ることが困難と予測される者を対象にしている場合」とは、次に掲げる点から、被験者又はその代諾者となるべき者から事前に同意を得ることが困難である緊急状況下における救命的な内容の治験である(第55条参照)。
- (1)被験者の状態から被験者の同意を得ることができないこと。
- (2)被験者の代諾者による同意が可能となる以前に、救急的に治験が開始される必要があること。
- (3)当該治験の被験者となり得る者をあらかじめ特定することが困難であること。
- 2 このような緊急状況下における救命的な内容の治験において、被験者となるべき者による事前の同意を得ることが不可能で、かつ、被験者となるべき者の代諾者と連絡が取れない場合にも治験が行われることが計画されている場合には、その旨及び次の事項が治験実施計画書に記載されていること。
- (1)生命が危険な状態にある傷病者に対して、その生命の危険を回避するため緊急に使用される医薬品として承認申請することを予定しているものであること。
- (2)現在利用可能な治療方法では十分な効果が期待できないこと。
- (3)被験者となるべき者の生命の危険が回避できる可能性が十分にあること。なお、そのことを支持する適切なデータが得られている必要があること。また、当該治験への参加から生じ得る被験者に対する危険性が、現在利用可能な治療方法のリスク・ベネフィットに照らして合理的であること。
- (4)第19条に規定する効果安全性評価委員会が設置されていること。
- (5)治験責任医師又は治験分担医師が、速やかに、被験者(又は代諾者となるべき者)に対して当該治験に関する説明を行い、当該治験への継続参加について同意を得ること(第55条第2項参照)及び被験者の身元が明らかでない者は治験の対象から除かれることについて、第7条第1項第7号の「治験の方法」及び第8号の「被験者の選定に関する事項」として治験実施計画書に記載されていること。また、治験責任医師がこの経過と結果を治験審査委員会に報告することについても記載されていること。
-
〈第4項〉〈第5項〉
- 1 治験の依頼をしようとする者は、治験責任医師となるべき者と治験実施計画書について合意をする前に、治験責任医師となるべき者に治験実施計画書案及び最新の治験薬概要書又は科学的知見を記載した文書その他必要な資料・情報を提供すること。
治験実施計画書を改訂する場合も同様とする。 - 2 治験の依頼をしようとする者は、治験責任医師となるべき者に対して、提供された治験実施計画書案等の資料・情報を十分検討し、治験の依頼をしようとする者と協議するために必要な時間を与えること。
治験実施計画書を改訂する場合も同様とする。 - 3 治験責任医師となるべき者は、治験実施計画書について治験の依頼をしようとする者と合意する前に、提供される治験実施計画書案及び最新の治験薬概要書又は科学的知見を記載した文書その他必要な資料・情報に基づき治験の依頼をしようとする者と協議し、当該治験を実施することの倫理的及び科学的妥当性について十分検討すること。
治験実施計画書が改訂される場合も同様とする。 - 4 治験の依頼をしようとする者は、治験責任医師となるべき者と協議した後、治験実施計画書の内容及び当該治験実施計画書を遵守することについて治験責任医師となるべき者と合意すること。治験の依頼をしようとする者と治験責任医師となるべき者は、この合意を証するため、治験実施計画書又はそれに代わる文書にそれぞれ記名押印又は署名し、各自日付を記入すること。
治験実施計画書を改訂する場合及び治験審査委員会の意見に基づく実施医療機関の長の指示により治験実施計画書を改訂する場合も同様とする。 - 5 治験責任医師となるべき者は、治験の依頼をしようとする者と治験実施計画書の内容に合意し、また、当該治験実施計画書を遵守することについて合意した旨を証するため、治験の依頼をしようとする者とともに治験実施計画書又はそれに代わる文書に記名押印又は署名し、日付を記入すること。
治験実施計画書が改訂される場合及び治験審査委員会の意見に基づく実施医療機関の長の指示により治験実施計画書が改訂される場合も同様とする。 - 6 上記1から5の規定のうち治験実施計画書の改訂に係る規定については、第7条第1項の規定に基づき治験実施計画書の分冊を作成しており、当該分冊に記載された当該実施医療機関以外の実施医療機関に特有の情報を改訂する場合を除いて差し支えないこと。
- 7 症例報告書の見本を作成する場合は、上記1から5の規定を準用する。ただし、レイアウト(電子情報処理組織の利用による症例報告書にあっては、その仕様)の変更を行う場合を除いて差し支えない。
(治験薬概要書)
第8条
- 第8条 治験の依頼をしようとする者は、第5条の試験により得られた資料並びに被験薬の品質、有効性及び安全性に関する情報に基づいて、次に掲げる事項を記載した治験薬概要書を作成しなければならない。
- 1)被験薬の化学名又は識別記号
- 2)品質、毒性、薬理作用その他の被験薬に関する事項
- 3)臨床試験が実施されている場合にあっては、その試験成績に関する事項
- 2 治験の依頼をしようとする者は、被験薬の品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために重要な情報を知ったときは、必要に応じ、前項の治験薬概要書を改訂しなければならない。
-
〈第1項〉
- 1 治験の依頼をしようとする者は、治験責任医師及びその他治験に関与する者が、治験実施計画書の主要項目(投与量、投与回数・間隔、投与方法及び被験者の安全性を監視するための手順等)の合理的根拠を理解し、かつそれを遵守するための情報を提供するために、治験薬概要書を作成すること。また、治験薬概要書は、治験実施期間中の被験者の臨床上の管理に必要な知識も提供するものであること。
- 2 治験薬概要書に記載されるデータは、簡潔、客観的、公平かつ販売促進に関わりのないものであること。
- 3 治験の依頼をしようとする者は、治験薬概要書の編集に当たり、一般的には医師を参加させることが望ましい。
- 4 治験薬概要書に記載すべき情報の種類や範囲は、被験薬の開発段階に応じた適当なものであること。被験薬が市販され、その薬理学的性質が一般の医師に広く理解されている場合には、広範な情報を掲載した概要書は必要ない場合もありうる。
- 5 治験の依頼をしようとする者は、治験の実施に必要な非臨床試験及び臨床試験の成績をまとめた治験薬概要書を手順書に従って作成すること。
- 6 第2号の「品質、毒性、薬理作用その他の被験薬に関する事項」とは、被験薬の物理的、化学的及び製剤学的性質、製剤組成、薬理、毒性、薬物動態、薬物代謝に関連する非臨床試験の成績を指す。
- 7 治験薬概要書に通常含まれているべき具体的事項については、中央薬事審議会答申の11を参照すること(第7条第1項の解説2注1参照)。
- 8 治験の依頼をしようとする者が、複数の被験薬を用いる治験を実施する場合で、自らが製造販売する予定の被験薬と併用するものの、他社が製造販売している等の理由で、治験薬概要書を準備出来ない場合は、本邦で既承認の有効成分であり、治験の依頼をしようとする者が当該被験薬を治験に用いるにあたり被験薬の安全性を担保出来ると考える場合に限り、当該被験薬の治験薬概要書に代わり、当該被験薬の最新の科学的知見を記載した文書(添付文書、インタビューフォーム、学術論文等。添付文書及びインタビューフォームは両方添付されることが望ましい。)とすることで差し支えない。
-
〈第2項〉
- 1 治験の依頼をしようとする者は、新たな情報が得られた場合等には、手順書に従って治験薬概要書を改訂すること。
- 2 治験の依頼をしようとする者は、新たな重要な情報が得られた場合には、治験薬概要書の改訂に先立って、治験責任医師、実施医療機関の長及び規制当局にこれらの情報を報告すること。
- 3 治験の依頼をしようとする者は、開発段階に応じて、また被験薬に関連する新たな情報が国内外から得られた場合等には、手順書に従って少なくとも年に1回治験薬概要書を見直し、必要に応じて改訂すること。
(説明文書の作成の依頼)
第9条
- 第9条 治験の依頼をしようとする者は、治験責任医師となるべき者に対して、第50条第1項の規定により説明を行うために用いられる文書(以下「説明文書」という。)の作成を依頼しなければならない。
- 1 治験の依頼をしようとする者は、実施医療機関の長に対して治験の依頼をする前に、第51条で規定する説明文書を治験責任医師となるべき者が作成するために必要な資料・情報を治験責任医師となるべき者に提供し、その作成に協力すること。
- 注)説明文書の改訂については、第54条第2項を参照すること。
(実施医療機関の長への文書の事前提出)
第10条
- 第10条 治験の依頼をしようとする者は、あらかじめ、次に掲げる文書を実施医療機関の長に提出しなければならない。
- 1)治験実施計画書(第7条第5項の規定により改訂されたものを含む。)
- 2)治験薬概要書(第8条第2項の規定により改訂されたものを含む。)及び治験使用薬(被験薬を除く。)に係る科学的知見を記載した文書
- 3)症例報告書の見本
- 4)説明文書
- 5)治験責任医師及び治験分担医師(以下「治験責任医師等」という。)となるべき者の氏名を記載した文書
- 6)治験の費用の負担について説明した文書
- 7)被験者の健康被害の補償について説明した文書
- 2 治験の依頼をしようとする者は、前項の規定による文書の提出に代えて、第4項で定めるところにより、当該実施医療機関の長の承諾を得て、前項各号に掲げる文書に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって次に掲げるもの(以下「電磁的方法」という。)により提出することができる。この場合において、当該治験の依頼をしようとする者は、当該文書を提出したものとみなす。
- 1)治験の依頼をしようとする者の使用に係る電子計算機と、実施医療機関の長の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用する方法のうちイ又はロに掲げるもの
- イ 治験の依頼をしようとする者の使用に係る電子計算機と実施医療機関の長の使用に係る電子計算機とを接続する電気通信回線を通じて送信し、受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法
- ロ 治験の依頼をしようとする者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された前項各号に掲げる事項を電気通信回線を通じて実施医療機関の長の閲覧に供し、当該実施医療機関の長の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに同項各号に掲げる事項を記録する方法(電磁的方法による文書の提出を受ける旨の承諾又は受けない旨の申出をする場合にあっては、治験の依頼をしようとする者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルにその旨を記録する方法)
- 2)磁気ディスク、シー・ディー・ロムその他これらに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルに前項各号に掲げる事項を記録したものを交付する方法
- 1)治験の依頼をしようとする者の使用に係る電子計算機と、実施医療機関の長の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用する方法のうちイ又はロに掲げるもの
- 3 前項各号に掲げる方法は、実施医療機関の長がファイルへの記録を出力することにより書面を作成することができるものでなければならない。
- 4 治験の依頼をしようとする者は、第2項の規定により第1項各号に掲げる文書を提出しようとするときは、あらかじめ、当該実施医療機関の長に対し、その用いる次に掲げる電磁的方法の種類及び内容を示し、書面又は電磁的方法による承諾を得なければならない。
- 1)第2項各号に規定する方法のうち治験の依頼をしようとする者が使用するもの
- 2)ファイルへの記録の方式
- 5 前項の承諾を得た治験の依頼をしようとする者は、当該実施医療機関の長から書面又は電磁的方法により電磁的方法による通知を受けない旨の申出があったときは、当該実施医療機関の長に対し、第一項各号に掲げる文書の提出を電磁的方法によってしてはならない。ただし、当該実施医療機関の長が再び前項の承諾をした場合は、この限りでない。
-
<第1項>
- 1 治験の依頼をしようとする者は、治験の依頼にあたっては、あらかじめ、実施医療機関の長に以下の最新の文書を提出すること。
- (1)治験実施計画書
- (2)治験薬概要書及び治験使用薬(被験薬を除く。)に係る科学的知見を記載した文書(既承認薬の添付文書、インタビューフォーム、学術論文等)
- (3)症例報告書の見本(治験実施計画書において、症例報告書に記載すべき事項が十分に読み取れる場合は、当該治験実施計画書をもって症例報告書の見本に関する事項を含むものと解してよい。)
- (4)説明文書(説明文書と同意文書は一体化した文書又は一式の文書として取り扱われたい(第2条の解説18の(1)の②及び③を参照)。)
- (5)治験責任医師等の氏名を記載した文書(治験責任医師となるべき者がその要件を満たすことを証明した履歴書及びその他の文書並びに治験分担医師となるべき者の氏名リスト(求めがあった場合には治験分担医師の履歴書))
- (6)治験の費用の負担について説明した文書(被験者への支払(支払がある場合)に関する資料)(第32条第1項及び第2項の解説11を参照)
- (7)被験者の健康被害に対する補償に関する資料
- (8)その他の必要な資料
- 注)治験責任医師となるべき者は、最新の履歴書及びその他の適切な文書、及び治験分担医師を置く場合には当該治験分担医師となるべき者の氏名リスト(求めがあった場合には治験分担医師の履歴書)を、治験の依頼をしようとする者に提出すること(第6条及び第42条参照)。
- 2 本条各号に規定する文書は、必ずしも個別の作成を求めるものではなく、記載すべき内容が確認できる場合にあっては、複数の文書を1つにまとめることが可能であること。
- 3 説明文書と同意文書は一体化した文書又は一式の文書として取り扱うこと(第2条の解説18の(1)の②及び③を参照)。
- 1 治験の依頼をしようとする者は、実施医療機関との間で治験の契約が締結されるまでは、実施医療機関に治験薬を交付してはならない。
(業務の委託)
第12条
- 第12条 治験の依頼をしようとする者は、治験の依頼及び管理に係る業務の全部又は一部を委託する場合には、次に掲げる事項を記載した文書により当該委託を受けた者(以下この節において「受託者」という。)との契約を締結しなければならない。
- 1)当該委託に係る業務の範囲
- 2)当該委託に係る業務の手順に関する事項
- 3)前号の手順に基づき当該委託に係る業務が適正かつ円滑に行われているかどうかを治験の依頼をしようとする者が確認することができる旨
- 4)受託者に対する指示に関する事項
- 5)前号の指示を行った場合において当該措置が講じられたかどうかを治験の依頼をしようとする者が確認することができる旨
- 6)受託者が治験の依頼をしようとする者に対して行う報告に関する事項
- 7)当該委託する業務に係る第14条の措置に関する事項
- 8)その他当該委託に係る業務について必要な事項
- 2 治験の依頼をしようとする者は、前項の規定による文書による契約の締結に代えて、第4項で定めるところにより、前項の受託者の承諾を得て、前項各号に掲げる事項を内容とする契約を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって次に掲げるもの(以下この条において「電磁的方法」という。)により締結することができる。この場合において、当該治験の依頼をしようとする者は、当該文書による契約を締結したものとみなす。
- 1)治験の依頼をしようとする者の使用に係る電子計算機と、受託者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用する方法のうちイ又はロに掲げるもの
- イ 治験の依頼をしようとする者の使用に係る電子計算機と受託者の使用に係る電子計算機とを接続する電気通信回線を通じて送信し、それぞれの使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法
- ロ 治験の依頼をしようとする者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された前項各号に掲げる事項を電気通信回線を通じて受託者の閲覧に供し、当該受託者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに同項各号に掲げる事項を記録する方法(電磁的方法による契約の締結を行う旨の承諾又は行わない旨の申出をする場合にあっては、治験の依頼をしようとする者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルにその旨を記録する方法)
- 2)磁気ディスク、シー・ディー・ロムその他これらに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルに前項各号に掲げる事項を記録したものを交付する方法
- 1)治験の依頼をしようとする者の使用に係る電子計算機と、受託者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用する方法のうちイ又はロに掲げるもの
- 3 前項各号に掲げる方法は、次に掲げる技術的基準に適合するものでなければならない。
- 1)治験の依頼をしようとする者及び受託者がファイルへの記録を出力することにより書面を作成することができるものであること。
- 2)ファイルに記録された文書に記載すべき事項について、改変が行われていないかどうかを確認することができる措置を講じていること。
- 4 治験の依頼をしようとする者は、第2項の規定により第1項各号に掲げる事項を内容とする契約を締結しようとするときは、あらかじめ、当該受託者に対し、その用いる次に掲げる電磁的方法の種類及び内容を示し、書面又は電磁的方法により承諾を得なければならない。
- 1)第2項各号に掲げる方法のうち治験の依頼をしようとする者が使用するもの
- 2)ファイルへの記録の方式
- 5 前項の規定による承諾を得た治験の依頼をしようとする者は、受託者から書面又は電磁的方法により電磁的方法による契約を締結しない旨の申出があったときは、受託者に対し、第1項各号に掲げる事項を内容とする契約の締結を電磁的方法によってしてはならない。ただし、受託者が再び前項の規定による承諾をした場合は、この限りでない。
- 1 治験の依頼をしようとする者は、治験の依頼及び管理に係る業務の全部又は一部を委託することができる(当該受託者は開発業務受託機関とも呼ばれる。)。ただし、治験計画の届出及び規制当局への副作用等の報告については、当該業務を、開発業務受託機関に委託することはできない。また、治験の依頼及び管理に係る業務を委託する場合においては、治験の依頼をしようとする者と当該受託者たる開発業務受託機関は文書により、委託業務の範囲、委託業務の手順に関する事項、治験の依頼をしようとする者が手順に基づき委託業務が適正かつ円滑に行われているかどうかを確認することができる旨等について記載した文書により契約を締結すること。
- 2 開発業務受託機関は、受託者たる開発業務受託機関が実施医療機関において業務を行う場合においては、治験依頼者とともに、当該受託業務により生じた健康被害の治療に要する費用その他の損失を補償するための手順を定め、当該手順書に従って健康被害の補償に関する業務を実施すること(第14条参照)。
- 3 治験依頼者が開発業務受託機関に委託した治験に関連する業務については、開発業務受託機関との間で取り交わした文書に全て明記すること。
- 4 治験に関連する業務のうち、開発業務受託機関に明確に委託されていないものは、全て治験依頼者が行うこと。
- 5 受託者たる開発業務受託機関は、当該受託業務を本基準に従って行うこと。
- 6 受託者たる開発業務受託機関は、業務終了後も開発業務受託機関で継続して保存すべき文書又は記録(データを含む。)及びその期間を治験依頼者との契約書に定めること。なお、保存すべき期間については、第26条を参照のこと。
- 7 受託者たる開発業務受託機関は、法第14条第6項後段及び法第80条の2第7項の規定による調査等の対象となる。治験依頼者は、規制当局による調査時に開発業務受託機関が保存すべき文書又は記録(データを含む。)の全ての記録を直接閲覧に供することを、開発業務受託機関との治験の契約書に明記すること。
- 8 受託者たる開発業務受託機関は、治験依頼者が行う監査及び規制当局による調査を受け入れること。受託者は、治験依頼者の監査担当者及び規制当局の求めに応じて、保存すべき文書又は記録(データを含む。)の全ての治験関連記録を直接閲覧に供すること。
- 9 治験の依頼をしようとする者(治験依頼者)は、治験の依頼及び管理に関する業務を開発業務受託機関に委託することができるが、治験データの品質と完全性に関する最終責任は常に治験依頼者が負うこと。開発業務受託機関は品質保証及び品質管理を履行すること。なお、治験依頼者は、開発業務受託機関によって他者へ再委託された業務全てが適切に監督されていることを保証すること。
(治験の契約)
第13条
- 第13条 治験の依頼をしようとする者及び実施医療機関(前条の規定により業務の全部又は一部を委託する場合にあっては、治験の依頼をしようとする者、受託者及び実施医療機関)は、次に掲げる事項について記載した文書により治験の契約を締結しなければならない。
- 1)契約を締結した年月日
- 2)治験の依頼をしようとする者の氏名及び住所
- 3)前条の規定により業務の全部又は一部を委託する場合にあっては、受託者の氏名、住所及び当該委託した業務の範囲
- 4)実施医療機関の名称及び所在地
- 5)契約担当者の氏名及び職名
- 6)治験責任医師の氏名
- 7)治験の期間
- 8)治験使用薬の管理に関する事項
- 9)記録(データを含む。)の保存に関する事項
- 10)この省令の規定により治験依頼者及び実施医療機関に従事する者が行う通知に関する事項
- 11)被験者の秘密の保全に関する事項
- 12)治験の費用に関する事項
- 13)実施医療機関が治験実施計画書を遵守して治験を行う旨
- 14)実施医療機関が治験依頼者の求めに応じて第41条第2項各号に掲げる記録(文書を含む。)を閲覧に供する旨
- 15)実施医療機関がこの省令、治験実施計画書又は当該契約に違反することにより適正な治験に支障を及ぼしたと認める場合(第46条に規定する場合を除く。)には、治験依頼者が治験の契約を解除できる旨
- 16)被験者の健康被害の補償に関する事項
- 17)その他治験が適正かつ円滑に行われることを確保するために必要な事項
- 2 前項の文書による契約については、前条第2項から第5項までの規定を準用する。この場合において、同条第2項中「前項の受託者」とあるのは「実施医療機関(この条の規定により業務の全部又は一部を委託する場合にあっては、実施医療機関及び受託者)(以下「実施医療機関等という。)」と、同項第1号並びに同条第3項第1号、同条第4項及び第5項中「受託者」とあるのは「実施医療機関等」と読み替えるものとする。
-
<第1項>
- 1 治験の契約は、実施医療機関の長が治験審査委員会の意見に基づいて治験の実施を了承した後に、治験の依頼をしようとする者と実施医療機関の間で文書により行うこと。なお、実施医療機関の契約者については、実施医療機関の長又は実施医療機関の長が選任した者のいずれでも差し支えないが、その責任は実施医療機関の長が負うこと。また、治験責任医師は契約書の内容を確認するが、必ずしも署名等は必要としない。
- 2 第12条の規定により治験の依頼をしようとする者が業務の全部又は一部を委託する場合であって、受託者たる開発業務受託機関が実施医療機関において業務を行うときには、治験の依頼をしようとする者、開発業務受託機関及び実施医療機関の三者の間で契約を文書により締結すること。なお、治験の依頼をしようとする者による治験の準備及び管理に関する業務、実施医療機関における治験の実施に関する業務が円滑に実施できる場合にあっては、治験の依頼をしようとする者及び実施医療機関の間、並びに治験の依頼をしようとする者及び開発業務受託機関の間で、適切な契約を文書により締結することで差し支えない。また、治験の依頼をしようとする者、開発業務受託機関及び実施医療機関の三者の間で合意の上、開発業務受託機関及び実施医療機関の間の二者の契約としても差し支えない。
- 3 契約書には、次に掲げる事項が含まれていること。なお、これら事項については、必ずしも一の契約書に全て含まれていなくても差し支えない(例えば、複数の治験に共通する事項等に関する基本的な契約書と、各治験の個別事項等に関する契約書を、別個に作成・締結することでも差し支えない。)。
また、実施医療機関と治験の依頼をしようとする者との契約を支援する業務に関しては、臨床研究中核病院等のネットワークの事務局等、当該実施医療機関以外の者が行っても差し支えない。- (1)契約を締結した年月日
- (2)治験の依頼をしようとする者(契約書には治験依頼者と記載して差し支えない。)の氏名及び住所(法人にあっては、名称及び主たる事業所の所在地)
- (3)開発業務受託機関に業務を委託する場合には、開発業務受託機関の氏名及び住所(法人にあっては、名称及び主たる事業所の所在地)並びに委託する業務の内容
- (4)実施医療機関の名称、所在地
- (5)契約者の氏名及び職名
- (6)治験責任医師の氏名
- (7)治験期間
- (8)治験使用薬の管理に関する事項(実施医療機関の長の指名した治験薬管理者等が第16条第6項又は第7項の規定により提供された手順書又は文書に従って治験使用薬又は治験薬を適切に管理する旨を含む。)
- (9)記録(データを含む。)の保存に関する事項(実施医療機関は、保存すべき文書又は記録を、治験依頼者によって保存の必要がなくなった旨の通知がなされるまで保存すること。なお、実施医療機関の長又は治験審査委員会の設置者が記録を保存すべき期間については、各々第41条及び第34条を参照のこと。また、治験依頼者がこれらの規定よりも長期間の保存を必要とする場合には、両者が協議するものであること。)
- (10)本基準の規定により治験依頼者及び実施医療機関に従事する者が行う通知に関する事項
- (11)被験者の秘密の保全に関する事項
- (12)治験の費用に関する事項(治験に係る金銭の支払いについては、治験依頼者と実施医療機関との間で、文書で取り決めておくこと。)
- (13)実施医療機関が本基準及び治験実施計画書を遵守して治験を行う旨
- (14)治験依頼者が行うモニタリング及び監査並びに治験審査委員会及び規制当局による調査を受け入れること。また、治験依頼者のモニター及び監査担当者並びに治験審査委員会及び規制当局の求めに応じて、原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供する旨
- (15)実施医療機関が本基準、治験実施計画書又は当該契約に違反することにより適正な治験に支障を及ぼしたと認める場合(第46条に規定する場合を除く。)には、治験依頼者が治験の契約を解除できる旨(第24条第1項参照)
- (16)治験に関連して健康被害が発生した場合の補償に関する事項
- (17)その他治験が適正かつ円滑に行われることを確保するために必要な事項
- ① 治験課題名
- ② 治験内容
- ③ 治験依頼者が提供したデータの記録及び報告の手続きに関する事項
- ④ その他必要な事項(治験依頼者に帰属する情報の秘密の保全に関する事項等)
- 4 第8号の「治験使用薬の管理に関する事項」とは、実施医療機関の長の指名した治験薬管理者が、第16条第6項又は第7項の規定により提供された手順書又は文書に従って治験依頼者により交付された治験使用薬又は治験薬を適切に管理する旨を含むものである。
- 5 第10号の趣旨は、本基準中に規定する第20条第2項、第20条第3項、第24条第2項、第24条第3項、第32条第6項、第40条第3項、第40条第4項及び第48条第2項に規定する通知が、適切な時期に適切な方法で行われなければならない旨である。
- 6 第11号「被験者の秘密の保全に関する事項」とは、法第80条の2第10項の規定により、治験依頼者又はその役員若しくは職員が、モニタリング、監査の際に得た被験者の秘密を漏らしてはならない旨、及び、これらの地位にあった者についても同様である旨を含むものである。
- 7 第12号「治験の費用に関する事項」には、費用算定が可能な内容を記載することで差し支えない。なお、本項の記載に基づく治験の費用の支払いは、治験の実績に応じた適正なものであること。
- 8 第14号は、実施医療機関がモニター又は監査担当者に対して第41条第2項各号に掲げる記録を直接閲覧させる旨である。
- 9 本条の規定により契約を締結した受託者(開発業務受託機関)は、法第14条第6項後段及び法第80条の2第7項の規定による調査等の対象となる。
- 10 治験依頼者は、実施医療機関の長、治験責任医師及びその他治験に関与する全ての者との合意を、実施医療機関との治験の契約書及び治験実施計画書の一部又は別個の合意文書として保存しておくこと。
- 11 治験依頼者は、モニタリング、監査並びに治験審査委員会及び規制当局の調査時に治験責任医師及び実施医療機関が原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供することを、実施医療機関との治験の契約書及び治験実施計画書又は他の合意文書に明記すること。
- 12 治験依頼者は、治験に関連する全ての施設及び原資料等の全ての治験関連記録を、治験依頼者によるモニタリング及び監査、並びに規制当局による調査のための直接閲覧が可能であるように全ての関係者との合意を治験が開始される前に得ておくこと。
-
<第2項>
- 1 治験依頼者は、第12条第2項から第5項までの規定を準用し、電磁的方法により契約を締結しようとするときは、あらかじめ、実施医療機関の承諾を得ること。なお、実施医療機関の承諾については、第1項解説1における実施医療機関の契約者と同様に取り扱うことで差し支えない。
- 注)治験依頼者は、治験の契約を締結する前に次の(1)から(3)について、治験実施中に(4)について対応する必要がある。
- (1)治験を依頼しようとする者は、治験審査委員会が治験の実施を承認した場合には、実施医療機関との間で治験の契約を締結する前に、実施医療機関の長から次の文書を入手すること。
- ① 当該治験審査委員会の名称と所在地が記された文書
- ② 当該治験審査委員会が本基準に従って組織され、活動している旨を当該治験審査委員会が自ら確認した文書
- ③ 当該治験審査委員会が承認したことを証する文書及びこれに基づく実施医療機関の長の指示、決定の文書、並びに治験を依頼しようとする者が変更の有無等の確認のために必要とする場合には、審査に用いられた治験実施計画書等の文書
- (2)治験を依頼しようとする者は、治験審査委員会が治験実施計画書、説明文書及びその他の手順について、何らかの修正を条件に治験の実施を承認した場合には、実施医療機関との間で治験の契約を締結する前に、実施医療機関の長から、当該治験審査委員会が修正を条件に承認したことを証する文書及びこれに基づく実施医療機関の長の指示、決定の文書を入手すること。(1)に規定するその他の文書の入手については、同規定を準用する。
- (3)治験を依頼しようとする者は、治験審査委員会が治験の実施を却下した場合には、実施医療機関の長から、当該治験審査委員会が却下したことを証する文書及びこれに基づく実施医療機関の長の決定の文書を入手すること。(1)に規定するその他の文書の入手については、同規定を準用する。
- (4)治験依頼者は、実施医療機関の長から、実施中の治験に関して治験審査委員会が実施した全ての継続審査等にかかる、承認したことを証する文書、修正を条件に承認したことを証する文書、又は既に承認した事項を取り消したこと(治験の中断又は中止を含む。)を証する文書及びこれらに基づく実施医療機関の長の指示、決定の文書を入手すること。(1)に規定するその他の文書の入手については、同規定を準用する。
- (1)治験を依頼しようとする者は、治験審査委員会が治験の実施を承認した場合には、実施医療機関との間で治験の契約を締結する前に、実施医療機関の長から次の文書を入手すること。
(被験者に対する補償措置)
第14条
- 第14条 治験の依頼をしようとする者は、あらかじめ、治験に係る被験者に生じた健康被害(受託者の業務により生じたものを含む。)の補償のために、保険契約の締結その他の必要な措置を講じておかなければならない。
- 1 治験の依頼をしようとする者は、治験に関連して被験者に生じた健康被害(治験に係る業務の全部又は一部を委託した場合における当該委託業務により生じた健康被害を含む。)の治療に要する費用その他の損失を補償するための手順を定めるとともに、その履行を確保するために、保険その他の必要な措置を講じておくこと。
- 2 本条は上記1を受けたものであり、括弧書きの「受託者」は第12条の受託者、いわゆる開発業務受託機関を指す。
- 注1)治験に関連して被験者に健康被害が生じた場合には、過失によるものであるか否かを問わず、被験者の損失を適切に補償すること。その際、因果関係の証明等について被験者に負担を課すことがないようにすること(第1条の解説参照)。
- 注2)開発業務受託機関は、治験依頼者とともに、当該受託業務により生じた健康被害の治療に要する費用その他の損失を補償するための手順を定め、当該手順書に従って健康被害の補償に関する業務を実施すること(第12条参照)。
(治験国内管理人)
第15条
- 第15条 本邦内に住所を有しない治験の依頼をしようとする者は、治験使用薬による保健衛生上の危害の発生又は拡大の防止に必要な措置を採らせるため、治験の依頼をしようとする者に代わって治験の依頼を行うことができる者を、本邦内に住所を有する者(外国法人で本邦内に事務所を有するものの当該事務所の代表者を含む。)のうちから選任し、この者(以下「治験国内管理人」という。)に治験の依頼に係る手続を行わせなければならない。
- 1 本邦内に住所を有しない治験の依頼をしようとする者に選任された治験国内管理人は、治験の依頼の基準に従い、本邦内における治験の依頼に係る一切の手続を行うとともに、厚生労働大臣に治験の計画の届出等を行うこと。
2-2 第二節 自ら治験を実施しようとする者による治験の準備に関する基準
(業務手順書等)
第15条の2
- 第15条の2 自ら治験を実施しようとする者は、治験実施計画書の作成、治験使用薬の管理、治験使用薬等の副作用情報等の収集、記録の保存その他の治験の実施の準備及び管理に係る業務に関する手順書を作成しなければならない。
- 2 自ら治験を実施しようとする者は、医師、歯科医師、薬剤師その他の治験の実施の準備及び管理に係る業務を行うことにつき必要な専門的知識を有する者を確保しなければならない。
-
〈第1項〉
- 1 自ら治験を実施しようとする者は、治験の準備に係る治験実施計画書の作成、治験薬概要書の作成、治験使用薬の管理、治験使用薬等の副作用情報等の収集等の業務、治験の管理に係る治験使用薬の管理、治験使用薬等の副作用情報等の収集、モニタリング及び監査の実施、総括報告書の作成及び記録の保存等の業務について手順書を作成すること。
- 2 第1項の「手順書」とは、治験に係る業務が恒常的に適正に実施されるよう標準的な手順を定めた文書である。なお、第15条の7第5号及び第6号、第26条の2第6項、第26条の5第2項、第26条の7第1項、第26条の9第1項等における「手順書」も同じ意味である。
なお、本条の以下の解説において自ら治験を実施する者とあるのは、自ら治験を実施しようとする者を含むものである。 - 3 多施設共同治験において、自ら治験を実施する者のうち治験責任医師と治験調整医師で分担して治験の実施の準備及び管理に係る業務を行う場合には、あらかじめ、業務の分担等を手順書に定めておく等により両者が行う業務を明確にしておくこと。なお、明確にされていない業務については、自ら治験を実施する者のうち治験責任医師である者が行うこと。また、治験調整医師に分担された業務についても、治験責任医師が把握できるようにしておくこと。
- 4 自ら治験を実施する者は、治験の全ての過程において品質マネジメントのためのシステムを履行し、被験者保護及び治験結果の信頼性確保に不可欠な活動に重点的に取り組むものとする。
品質マネジメントには、治験の実施並びにデータの作成、記録及び報告が、本基準及び治験実施計画書を遵守して行われることを保証するために、手順書に基づく品質保証及び品質管理のほか、以下のものが含まれる。
- ・効率的な治験実施計画書のデザイン
- ・データ収集及び処理に関するツール及び手順
- ・意思決定に不可欠な情報の収集
治験の品質保証及び品質管理のために使用する方法は、治験固有のリスク及び収集する情報の重要性に対して釣り合いのとれたものとすべきである。
また、自ら治験を実施する者は、実施した品質マネジメントについて総括報告書に記載すること。
このほか、品質マネジメントの詳細については、「治験における品質マネジメントに関する基本的考え方について」を参照のこと。
なお、「治験の品質保証」とは、治験の実施、データ作成、文書化(記録化)及び報告が、本基準及び治験実施計画書を遵守していることを保証するために設定された計画的かつ体系的な全活動をいう。また、「治験の品質管理」とは、治験関連の活動の質に求められる事項を充足しているか否かを検証するために治験の品質保証の一環として行われる実務的な手法及び活動をいう。 - 5 自ら治験を実施する者は、治験に関連する全てのデータの信頼性とその適正な処理を保証するために、データ取扱いの各段階に品質管理を適用すること。
- 6 自ら治験を実施する者は、治験に係る検体等の検査機関(実施医療機関の検査室等を含む。)において、検査が適切に実施されて治験に係るデータが信頼できることを保証するため、当該検査機関における精度管理等を保証する記録等を確認すること。
なお、確認すべき検査の範囲や具体的な確認方法は、各検査データの当該治験における位置づけ(主要評価項目であるかどうか等)を考慮すること。 - 7 自ら治験を実施する者は、第26条の2第6項に基づき、実施医療機関の治験薬管理者が治験使用薬の取扱い及び保管、管理並びにそれらの記録に際して従うべき指示を記載した手順書を定めること。当該手順書には、治験使用薬の受領、取扱い、保管、管理、処方並びに未使用治験使用薬の被験者からの返却及び自ら治験を実施する者による処分が、適切かつ確実に行われるように規定すること。
- 8 自ら治験を実施する者が作成すべき記録の保存に関する手順書には、実施医療機関及び当該治験に係る審査を行った治験審査委員会において保存すべき記録(第34条及び第41条参照)について、その保存の必要がなくなった場合には、その旨を実施医療機関の長及び実施医療機関の長を経由して治験審査委員会の設置者に通知することを含むこと。
なお、第26条の10第2項及び第3項に規定する治験の中断又は中止に関する自ら治験を実施する者から実施医療機関の長への文書による通知に関する事項(当該通知を受けた実施医療機関の長から治験責任医師及び治験審査委員会等への通知については、第40条第2項に規定されている。)及び当該被験薬に係る製造販売承認を得た場合に、治験薬提供者から自ら治験を実施する者へその旨が通知されるよう、治験薬提供者と契約を締結する等必要な措置を講じることについても規定されている必要がある。- (1)自ら治験を実施する者は、治験を中断又は中止する場合には、実施医療機関の長にその旨とその理由の詳細を速やかに文書で通知すること(第26条の10第2項参照)。
- (2)自ら治験を実施する者は、当該治験により収集された臨床試験の試験成績に関する資料が法第14条第3項に規定する申請書に添付されないことを知り得た場合には、その旨とその理由の詳細を実施医療機関の長に速やかに文書で通知すること(第26条の10第3項参照)。
- (3)実施医療機関の長は、自ら治験を実施する者が治験の中断又は中止若しくは当該治験により収集された臨床試験の試験成績に関する資料を法第14条第3項に規定する申請書に添付しないことを知った旨を通知してきた場合には、治験審査委員会等に対し速やかにその旨を文書で通知するとともに、中断又は中止について文書で詳細に説明すること(第40条第2項及び第3項参照)。
- (4)治験薬提供者は、自ら治験を実施する者が治験を実施した治験薬に係る医薬品についての製造販売承認申請に関する情報を自ら治験を実施する者に提供すること。
- 9 自ら治験を実施する者は、治験分担医師に症例報告書の変更又は修正に関する手引きを提供すること。
- 10 自ら治験を実施する者は、当該治験を実施する実施医療機関以外の全ての関連施設及び原資料等の全ての治験関連記録を、自ら治験を実施する者が指定したものによるモニタリング及び監査、並びに治験審査委員会及び規制当局による調査のための直接閲覧が可能であるように全ての関係者との合意を治験が開始される前に得ておくものとし、これに関する規定が手順書に定められていること。
- 11 自ら治験を実施する者は、実施医療機関及び治験に係るその他の施設又は自ら治験を実施する者のスタッフが本基準、治験実施計画書及び手順書を遵守していない場合には、遵守を確保するべく迅速な措置を講じること。被験者保護や治験結果の信頼性に重大な影響を与える又は与えるおそれがある不遵守が発覚した場合には、自ら治験を実施する者は、根本原因を分析し、適切な是正措置及び予防措置を講じること。
-
〈第2項〉
- 1 「治験の実施の準備及び管理に係る業務を行うことにつき必要な専門的知識を有する者」とは、治験に関する医学的な問題について適切な助言を行う医学の専門家、並びに治験実施計画書、治験薬概要書等の作成・改訂、データの取扱い、統計解析の実施、総括報告書の作成等、治験の全過程を通じて活用されるべき実施医療機関内部及び外部の専門家(例:生物統計学者、臨床薬理学者)を含むものである。
- 2 自ら治験を実施する者は、治験に関する業務の総括的な監督、治験実施計画書、症例報告書の見本(治験実施計画書において、症例報告書に記載すべき事項が十分に読み取れる場合は、当該治験実施計画書をもって症例報告書の見本に関する事項を含むものと解してよい。)及び治験薬概要書の作成・改訂、データの取扱い、検証及び統計解析の実施並びに治験の中間報告書(必要な場合)及び総括報告書等の作成等、治験の全過程を通じ、適格な者(例:生物統計学者、臨床薬理学者)を活用すること。
- 3 自ら治験を実施しようとする者は、治験の準備において治験に関連する全ての業務を確定し、適格な者に割り当てること。
- 1 「被験薬の品質、毒性及び薬理作用に関する試験その他治験の実施をするために必要な試験」とは、当該被験薬の物理的化学的性質、性状等に関する理化学試験等及び毒性、薬理作用、吸収、排泄等に関する動物試験等のいわゆる非臨床試験や臨床試験を指しているが、当該試験の具体的な項目、内容等については、当該治験の内容(治験のフェーズ、治験薬の投与経路及び投与期間、被験者の選択基準等)等を考慮のうえ、治験の実施時点における科学的水準に照らし適正なものであること。
なお、自ら治験を実施する者は、必要な資料又は情報の提供について、治験薬提供者と協議し、契約を締結する等必要な措置を講じ、その実行を担保すること。 - 2 自ら治験を実施しようとする者は、治験実施計画書の作成及び必要に応じて改訂を行うが、その際当該治験の目的並びに当該治験で採用される投与対象集団、投与経路、用法・用量、投与期間、観察項目及び評価項目等の妥当性を支持できるだけの品質、有効性及び安全性に関する十分なデータが理化学試験等、非臨床試験及び先行する臨床試験から得られており、当該治験の倫理的及び科学的妥当性が裏付けられていることについて、治験審査委員会において審議し、確認するよう、実施医療機関の長に依頼すること。また、そのための手続きを文書で定めること(第15条の2参照)。
(治験実施計画書)
第15条の4
- 第15条の4 自ら治験を実施しようとする者は、次に掲げる事項を記載した治験実施計画書を作成しなければならない。
- 1)自ら治験を実施しようとする者の氏名及び住所
- 2)治験の実施の準備及び管理に係る業務の全部又は一部を委託する場合にあっては、当該受託者の氏名、住所及び当該委託に係る業務の範囲
- 3)治験の実施に係る業務の一部を委託する場合にあっては、当該受託者の氏名、住所及び当該委託に係る業務の範囲
- 4)実施医療機関の名称及び所在地
- 5)治験の目的
- 6)治験使用薬の概要
- 7)治験薬提供者の氏名及び住所
- 8)治験の方法
- 9)被験者の選定に関する事項
- 10)原資料の閲覧に関する事項
- 11)記録(データを含む。)の保存に関する事項
- 12)治験調整医師に委嘱した場合にあっては、その氏名
- 13)治験調整委員会に委嘱した場合にあっては、これを構成する医師又は歯科医師の氏名
- 14)第26条の5に規定する効果安全性評価委員会を設置したときは、その旨
- 2 自ら治験を実施しようとする者は、当該治験が被験者に対して治験薬の効果を有しないこと及び第50条第1項の同意を得ることが困難な者を対象にすることが予測される場合には、その旨及び次に掲げる事項を治験実施計画書に記載しなければならない。
- 1)当該治験が第50条第1項の同意を得ることが困難と予測される者を対象にしなければならないことの説明
- 2)当該治験において、予測される被験者への不利益が必要な最小限度のものであることの説明
- 3 自ら治験を実施しようとする者は、当該治験が第50条第1項及び第2項の同意を得ることが困難と予測される者を対象にしている場合には、その旨及び次に掲げる事項を治験実施計画書に記載しなければならない。
- 1)当該被験薬が、生命が危険な状態にある傷病者に対して、その生命の危険を回避するため緊急に使用される医薬品として、製造販売の承認を申請することを予定しているものであることの説明
- 2)現在における治療方法では被験者となるべき者に対して十分な効果が期待できないことの説明
- 3)被験薬の使用により被験者となるべき者の生命の危険が回避できる可能性が十分にあることの説明
- 4)第26条の5に規定する効果安全性評価委員会が設置されている旨
- 4 自ら治験を実施しようとする者は、被験薬の品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために重要な情報を知ったときは、必要に応じ、治験実施計画書を改訂しなければならない。
-
<第1項>
- 1 自ら治験を実施しようとする者は、第15条の3に掲げる必要な試験の結果等に基づき、治験実施計画書を作成すること。この際、自ら治験を実施しようとする者は、治験実施計画書の内容を検討するために必要な治験薬概要書等の資料を、あらかじめ用意すること。
- 2 治験実施計画書には、作成及び改訂の日付並びに版表示、又は最新版の作成の日付及び版表示を記載すること。
- 3 治験実施計画書(改訂版を含む。)に通常含まれているべき具体的事項については、中央薬事審議会答申注1)の10を適宜参照すること。ただし、監査担当者の氏名、職名及び電話番号等は記載しなくても差し支えない。なお、治験実施計画書の具体的記載にあたって、「自ら治験を実施しようとする者」を「自ら治験を実施する者」と記載しても差し支えない。例えば、自ら治験を実施する者と記載して自ら治験を実施しようとする者の氏名、住所を記載して差し支えない。
また、一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関において共同で治験を実施する場合において、実施医療機関の名称及び所在地、治験責任医師となるべき者の氏名並びに実施医療機関を担当するモニター(モニターが複数である場合にはその代表者)の氏名及び電話番号等については、施設に特有の情報として、治験実施計画書の分冊として差し支えなく、当該各実施医療機関の長に対しては、当該分冊のうち、当該実施医療機関に係るもののみを提出することとして差し支えない。 - 4 治験実施計画書又はその分冊に記載されたモニター以外のモニター及び監査担当者が診療録の閲覧等を行う場合は、モニター等の氏名等を当該医療機関が把握できるようにすること。
- 注1)中央薬事審議会答申(平成9年3月13日中薬審第40号)は、現行の薬事・食品衛生審議会の改変前の組織である中央薬事審議会が答申したGCPであり、本基準の内容が示されたものである。
- 注2)自ら治験を実施しようとする者は、治験実施計画書の作成及び必要に応じて改訂を行うが、その際、当該治験の目的並びに当該治験で採用される投与対象集団、投与経路、用法・用量、投与期間、観察項目及び評価項目等の妥当性を支持できるだけの品質、有効性及び安全性に関する十分なデータが理化学試験等、非臨床試験及び先行する臨床試験から得られており、当該治験の倫理的及び科学的妥当性が裏付けられていることについて、治験審査委員会において審議し、確認するよう、実施医療機関の長に依頼すること。また、そのための手続きを文書で定めること(第15条の2参照)。
- 5 治験の実施の準備、管理及び実施に係る業務の全部又は一部を委託する場合にあっては、受託者の氏名(法人にあっては、その名称)、住所(法人にあっては、その主たる事務所の所在地)及び当該委託に係る業務の範囲も治験実施計画書に記載すること。
- 6 治験実施計画書には、治験薬提供者の氏名又は名称及び住所を明記すること。
-
<第2項>
- 1 次の2に掲げる場合を除き、被験者に対する直接の臨床的利益が予期されない非治療的な内容の治験においては、必ず被験者本人から同意を得ること(第50条第4項参照)。
- 2 非治療的な内容の治験において、次の(1)から(4)に掲げる事項が全て満たされる場合には、被験者となるべき者の同意を得ることが困難な者を対象として、被験者となるべき者の代諾者による同意を得て治験を行うことができる。このような治験は、例外が正当化される場合を除き、被験薬の適応となることが意図された疾病又は症状を有する患者において行われるべきである。また、治験責任医師又は治験分担医師は、このような治験における被験者に対しては、特に綿密な観察を行い、もし不当な苦痛を受けていると見受けられた場合には治験を中止すること。
- (1)治験の目的が、本人による同意が可能な被験者による治験では達成されないこと。
- (2)被験者に対する予見しうる危険性が低いこと。
- (3)被験者の福祉に対する悪影響が最小限とされ、かつ低いこと。
- (4)代諾者の同意に基づいて被験者を治験に組み入れる旨を明示した上で治験審査委員会に承認の申請がなされ、かかる被験者の参加を承認する旨が承認文書に記載されていること。
- 3 「当該治験が被験者に対して治験薬の効果を有しないこと及び第50条第1項の同意を得ることが困難な者を対象にすることが予測される場合」とは、例えば、同意の能力を欠く者を対象にした医薬品に係る治験において、これらの者を被験者として薬物動態試験を行う必要がある場合が考えられる。
- 4 「当該治験において、予測される被験者への不利益が必要な最小限度のものであること」とは、被験者に対する予見しうる危険性が低いこと、被験者への肉体的又は精神的な悪影響が、それらを避けるための努力が行われた上で、十分に低いことをいう。
- 5 代諾者の同意に関しては第50条第3項を参照すること(被験者の理解力に応じて説明を行い、可能であれば被験者からも同意を得るべきである。)。
-
<第3項>
- 1 「当該治験が第50条第1項及び第2項の同意を得ることが困難と予測される者を対象にしている場合」とは、次の(1)から(3)に掲げる点から、被験者又はその代諾者となるべき者から事前に同意を得ることが困難である緊急状況下における救命的な内容の治験である(第55条参照)。
- (1)被験者の状態から被験者の同意を得ることができないこと。
- (2)被験者の代諾者による同意が可能となる以前に、救急的に治験が開始される必要があること。
- (3)当該治験の被験者となりうる者をあらかじめ特定することが困難であること。
- 2 第4号の「効果安全性評価委員会」は、治験の進行等を適切な間隔で評価し、治験の継続の適否等について自ら治験を実施しようとする者に提言するために設置されるものであること。
- 3 このような緊急状況下における救命的な内容の治験において、被験者となるべき者による事前の同意を得ることが不可能で、かつ、被験者となるべき者の代諾者と連絡が取れない場合にも治験が行われることが計画されている場合には、その旨及び次の事項が治験実施計画書に記載されていること。
- (1)生命が危険な状態にある傷病者に対して、その生命の危険を回避するため緊急に使用される医薬品として承認申請することを予定しているものであること。
- (2)現在利用可能な治療方法では十分な効果が期待できないこと。
- (3)被験者となるべき者の生命の危険が回避できる可能性が十分にあること。なお、そのことを支持する適切なデータが得られている必要があること。また、当該治験への参加から生じ得る被験者に対する危険性が、現在利用可能な治療方法のリスク・ベネフィットに照らして合理的であること。
- (4)第26条の5に規定する効果安全性評価委員会が設置されていること。
- (5)治験責任医師又は治験分担医師が、速やかに、被験者(又は代諾者となるべき者)に対して当該治験に関する説明を行い、当該治験への継続参加について同意を得ること(第55条第2項参照)及び被験者の身元が明らかでない場合は治験の対象から除かれることについて、第15条の4第1項第8号の「治験の方法」及び第9号の「被験者の選定に関する事項」として治験実施計画書に記載されていること。また、治験責任医師がこの経過と結果を治験審査委員会に報告することについても記載されていること。
-
<第4項>
- 1 自ら治験を実施しようとする者は、当該治験を実施することの倫理的及び科学的妥当性について十分検討すること。治験実施計画書が改訂される場合も同様とする。
- 注)治験実施計画書(改訂されたものを含む。)は、第15条の7の規定により自ら治験を実施しようとする者から実施医療機関の長に提出され、第32条の規定により治験審査委員会に提出される。
なお、第15条の4第1項の規定に基づき治験実施計画書の分冊を作成しており、当該分冊に記載された当該実施医療機関以外の実施医療機関に特有の情報を改訂する場合を除いて差し支えないこと。 - 2 症例報告書の見本を作成する場合は、上記1の規定を準用する。ただし、レイアウト(電子情報処理組織の利用による症例報告書にあっては、その仕様)の変更を行う場合を除いて差し支えない。
(治験薬概要書)
第15条の5
- 第15条の5 自ら治験を実施しようとする者は、第15条の3の試験により得られた資料並びに被験薬の品質、有効性及び安全性に関する情報に基づいて、次に掲げる事項を記載した治験薬概要書を作成しなければならない。
- 1)被験薬の化学名又は識別記号
- 2)品質、毒性、薬理作用その他の被験薬に関する事項
- 3)臨床試験が実施されている場合にあっては、その試験成績に関する事項
- 2 自ら治験を実施しようとする者は、被験薬の品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために重要な情報を知ったときは、必要に応じ、前項の治験薬概要書を改訂しなければならない。
-
〈第1項〉
- 1 自ら治験を実施しようとする者は、治験分担医師及びその他治験に関与する者が、治験実施計画書の主要項目(投与量、投与回数・間隔、投与方法及び被験者の安全性を監視するための手順等)の合理的根拠を理解し、かつそれを遵守するための情報を提供するために、治験薬概要書を作成すること。また、治験薬概要書は、治験実施期間中の被験者の臨床上の管理に必要な知識も提供するものであること。治験薬提供者から治験薬概要書の提供を受ける場合については、自ら治験を実施する者は、その内容を確認すること。
- 2 自ら治験を実施しようとする者は、治験薬に係る品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために必要な情報を治験薬提供者からも収集し、その情報について検討し、治験薬概要書の作成に利用すること。
- 3 自ら治験を実施しようとする者は、治験薬提供者が行う治験薬に係る品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために必要な情報の収集に協力すること。
- 4 治験薬概要書に記載されるデータは、簡潔、客観的、公平な形で作成されるものであること。
- 5 治験薬概要書に記載すべき情報の種類や範囲は、被験薬の治験の段階に応じた適当なものであること。被験薬が市販され、その薬理学的性質が一般の医師に広く理解されている場合には、広範な情報を掲載した概要書は必要ない場合もありうる。
- 6 自ら治験を実施しようとする者は、治験の実施に必要な非臨床試験及び臨床試験の成績をまとめた治験薬概要書を手順書に従って作成すること。
- 7 第2号の「品質、毒性、薬理作用その他の被験薬に関する事項」とは、被験薬の物理的、化学的及び製剤学的性質、製剤組成、薬理、毒性、薬物動態、薬物代謝に関連する非臨床試験の成績を指す。なお、自ら治験を実施する者は、必要な資料又は情報の提供について、治験薬提供者と協議し、契約を締結する等必要な措置を講じ、その実行を担保すること。
- 8 治験薬概要書に通常含まれているべき具体的事項については、中央薬事審議会答申の11を参照すること(第7条第1項の解説2注1参照)。
-
〈第2項〉
- 1 自ら治験を実施しようとする者は、新たな情報が得られた場合等には、手順書に従って治験薬概要書を改訂すること。
- 2 自ら治験を実施しようとする者は、新たな重要な情報が得られた場合には、治験薬概要書の改訂に先立って、実施医療機関の長及び規制当局にこれらの情報を報告すること。
- 1 被験者の同意を得るに際しての説明文書は、自ら治験を実施しようとする者が作成すること。なお、自ら治験を実施しようとする者は、必要な資料又は情報の提供について、治験薬提供者と協議し、契約を締結する等必要な措置を講じ、その実行を担保すること。
- 注)説明文書に記載すべき事項については、第51条第1項を参照すること。
(実施医療機関の長への文書の事前提出等)
第15条の7
- 第15条の7 自ら治験を実施しようとする者は、あらかじめ、次に掲げる文書を実施医療機関の長に提出し、治験の実施の承認を得なければならない。
- 1)治験実施計画書(第15条の4第4項の規定により改訂されたものを含む。)
- 2)治験薬概要書(第15条の5第2項の規定により改訂されたものを含む。)及び治験使用薬(被験薬を除く。)に係る科学的知見を記載した文書
- 3)症例報告書の見本
- 4)説明文書
- 5)モニタリングに関する手順書
- 6)監査に関する計画書及び業務に関する手順書
- 7)治験分担医師となるべき者の氏名を記載した文書
- 8)治験使用薬の管理に関する事項を記載した文書
- 9)この省令の規定により自ら治験を実施する者及び実施医療機関に従事する者が行う通知に関する事項を記載した文書
- 10)治験の費用に関する事項を記載した文書
- 11)被験者の健康被害の補償に関する事項を記載した文書
- 12)実施医療機関が自ら治験を実施する者の求めに応じて第41条第2項各号に掲げる記録(文書を含む。)を閲覧に供する旨を記載した文書
- 13)実施医療機関がこの省令又は治験実施計画書に違反することにより適正な治験に支障を及ぼしたと認める場合(第46条に規定する場合を除く。)には、自ら治験を実施する者は治験を中止することができる旨を記載した文書
- 14)その他治験が適正かつ円滑に行われることを確保するために必要な事項を記載した文書
- 1 自ら治験を実施しようとする者(治験責任医師となるべき医師又は歯科医師に限る。以下この条において同じ。)は、あらかじめ(法第80条の2第2項の規定に基づき治験の計画を届け出る場合にあっては、届け出る前に)、各号に規定する最新の文書を実施医療機関の長に提出し、治験の実施について承認を得ること。
- 2 実施医療機関において実施医療機関の長の承認を得る過程で、第30条に規定するとおり、当該実施医療機関において治験を行うことの適否について治験審査委員会の意見を聴くこと。
- 3 第3号の「症例報告書の見本」については、第10条第1項の解説1の(3)を参照すること。
- 4 第4号の「説明文書」は、同意文書と一体化した文書又は一式の文書として取り扱うこと(第2条の解説18(1)の②及び③を参照)。
- 5 第5号の「モニタリングに関する手順書」とは、モニタリングが適切に行われることを保証するため、自ら治験を実施する者が作成する手順書をいう。その内容には、モニターを選定するための手続き(モニターの要件を含む。)、モニタリングの具体的な方法(モニタリング計画書で示すことも可能。)、モニタリング報告書の取扱い等※が含まれていること。
- ※これらの事項に係る記録をいう。
- 6 第6号の「監査に関する計画書及び業務に関する手順書」とは、監査が適切に行われることを保証するために自ら治験を実施する者が作成する計画書及び手順書であり、その内容には、監査担当者を選定するための手続き(監査担当者の要件を含む。)、監査の具体的な方法、監査報告書・監査証明書の取扱い等※が含まれていること。 ※これらの事項に係る記録をいう。
- 7 モニタリング、監査が中立かつ公平に実施されることが確保されるべきである。
- 8 自ら治験を実施しようとする者は、治験分担医師の氏名リスト(求めがあった場合には治験分担医師の履歴書)を実施医療機関の長に提出すること(第7号)。
- 注)治験責任医師となるべき者の履歴書も実施医療機関の長に提出すること。
- 9 第8号の「治験使用薬の管理に関する事項」には、実施医療機関の長の指名した治験薬管理者が、第26条の2第6項の規定により提供された手順書に従って治験使用薬を適切に管理する旨を含むこと。
- 10 第9号の趣旨は、本基準中(第26条の6第2項、第26条の10第2項及び第3項、第32条第7項、第40条第1項から第4項まで、第45条第2項及び第4項並びに第48条第3項)に規定する通知が、適切な時期に適切な方法で行われなければならない旨である。
- 11 第10号の「治験の費用に関する事項」とは、被験者への支払い(支払いがある場合)に関する資料をいう(第32条第1項及び第2項の解説11を参照)。
- 12 第11号の「補償」については、第15条の9に規定する措置等について記載すること。
- 13 第12号の「記録を閲覧に供する旨」とは、実施医療機関がモニター又は監査担当者に対して第41条第2項各号に掲げる記録を直接閲覧させるための規定があらかじめ整備されており、治験が承認・実施された場合にはかかる規定に従って直接閲覧が行われることである。また、実施医療機関は、自ら治験を実施する者が行う治験の成績が承認申請資料として使用された際に法第14条第6項後段及び法第80条の2第7項の規定による調査等の対象となり、これらの調査に供する必要があることについても理解する必要がある。
- 14 本条各号に規定する文書は、必ずしも個別の作成を求めるものではなく、記載すべき内容が確認できる場合にあっては、複数の文書を1つにまとめることが可能である。
(業務の委託)
第15条の8
- 第15条の8 自ら治験を実施しようとする者又は実施医療機関は、治験の実施の準備及び管理に係る業務の全部又は一部を委託する場合には、次に掲げる事項を記載した文書により当該委託を受けた者(以下この節において「受託者」という。)との契約を締結しなければならない。
- 1)当該委託に係る業務の範囲
- 2)当該委託に係る業務の手順に関する事項
- 3)前号の手順に基づき当該委託に係る業務が適正かつ円滑に行われているかどうかを自ら治験を実施しようとする者又は実施医療機関が確認することができる旨
- 4)受託者に対する指示に関する事項
- 5)前号の指示を行った場合において当該措置が講じられたかどうかを自ら治験を実施しようとする者又は実施医療機関が確認することができる旨
- 6)受託者が自ら治験を実施しようとする者又は実施医療機関に対して行う報告に関する事項
- 7)当該委託する業務に係る次条に規定する措置に関する事項
- 8)その他当該委託に係る業務について必要な事項
- 2 前項の規定による文書の契約の締結については、第12条第2項から第5項までの規定を準用する。この場合において、これらの規定中「治験の依頼をしようとする者」とあるのは「自ら治験を実施しようとする者又は実施医療機関」と読み替えるものとする。
- 1 自ら治験を実施しようとする者による治験に関しては、自ら治験を実施しようとする者が治験の実施の準備及び管理に係る業務の全部又は一部の委託契約を締結することが適切でない場合には、実施医療機関が当該契約を締結することが適当である。
- 2 自ら治験を実施しようとする者又は実施医療機関は、治験の実施の準備及び管理に係る業務の全部又は一部を、実施医療機関外部に委託することができる。ただし、治験の計画の届出及び規制当局への副作用等の報告については、当該業務を、開発業務受託機関に委託することはできない。また、治験の依頼及び管理に係る業務を委託する場合においては、自ら治験を実施しようとする者又は実施医療機関と当該受託者は文書により、委託業務の範囲、委託業務の手順に関する事項、自ら治験を実施しようとする者又は実施医療機関が、手順に基づき委託業務が適正かつ円滑に行われているかどうかを確認することができる旨等について記載した文書により契約を締結すること。
- 3 当該受託者は、受託者たる開発業務受託機関が実施医療機関において業務を行う場合においては、自ら治験を実施する者又は実施医療機関とともに、当該受託業務により生じた健康被害の治療に要する費用その他の損失を補償するための手順を定め、当該手順書に従って健康被害の補償に関する業務を実施すること(第15条の9参照)。
- 4 自ら治験を実施する者又は実施医療機関が当該受託者に委託した治験に関連する業務については、当該受託者との間で取り交わした文書に全て明記すること。
- 5 治験の実施の準備及び管理に係る業務のうち、当該受託者に明確に委託されていないものは、全て自ら治験を実施する者又は実施医療機関が行うこと。
- 6 受託者たる開発業務受託機関は、当該受託業務を本基準に従って行うこと。
- 7 受託者たる開発業務受託機関は、業務終了後も開発業務受託機関で継続して保存すべき文書又は記録(データを含む。)及びその期間を自ら治験を実施する者との契約書に定めること。なお、保存すべき期間については、第26条の12を参照のこと。
- 8 受託者たる開発業務受託機関は、法第14条第6項後段及び法第80条の2第7項の規定による調査等の対象となる。自ら治験を実施する者は、規制当局による調査時に開発業務受託機関が保存すべき文書又は記録(データを含む。)の全ての記録を直接閲覧に供することを、開発業務受託機関との治験の契約書に明記すること。
- 9 受託者たる開発業務受託機関は、自ら治験を実施する者が実施させる監査及び規制当局による調査を受け入れること。受託者は、監査担当者及び規制当局の求めに応じて、保存すべき文書又は記録(データを含む。)の全ての治験関連記録を直接閲覧に供すること。
- 10 自ら治験を実施しようとする者(自ら治験を実施する者)又は実施医療機関は、治験の実施の準備及び管理に関する業務を当該受託者に委託することができるが、治験データの品質と完全性に関する最終責任は常に自ら治験を実施する者が負うこと。当該受託者は品質保証及び品質管理を履行すること。なお、自ら治験を実施する者又は実施医療機関は、開発業務受託機関によって他者へ再委託された業務全てが適切に監督されていることを保証すること。
(被験者に対する補償措置)
第15条の9
- 第15条の9 自ら治験を実施しようとする者は、あらかじめ、治験に係る被験者に生じた健康被害(受託者の業務により生じたものを含む。)の補償のために、保険契約の締結その他の必要な措置を講じておかなければならない。
- 1 自ら治験を実施しようとする者は、治験に関連して被験者に生じた健康被害(治験の実施の準備、管理又は実施に係る業務の全部又は一部を委託した場合に生じたものを含む。)に対する補償措置として、保険への加入の措置、副作用等の治療に関する医療体制の提供その他必要な措置を講ずること。
なお、自ら治験を実施する者及び実施医療機関の長は、治験に関連して被験者に生じた健康被害に対する補償措置を履行するために、補償に係る手順書を定めておくこと。 - 2 本条は上記1を受けたものであり、括弧書きの「受託者」は第15条の8の受託者、いわゆる開発業務受託機関及び第39条の2の受託者、いわゆる治験施設支援機関を含む。
- 注1)治験に関連して被験者に健康被害が生じた場合には、過失によるものであるか否かを問わず、被験者の損失を適切に補償すること。その際、因果関係の証明等について被験者に負担を課すことがないようにすること(第1条の解説参照)。
- 注2)治験に関連して被験者に健康被害が生じた場合の補償措置については、必ずしも自ら治験を実施する者による保険への加入に基づく金銭の支払いに限られるものではなく、副作用の治療に対しては、医療の提供及びその体制の提供という手段も考慮しうるものである。また、障害手当、葬祭料等の金銭的な補償を行うか否か及び行う場合に許容される程度については、治験の計画の内容に応じて、当該治験に係る薬物の種類、対象疾患の特性、治験による被験者の便益及びリスク等を評価し、個別に自ら治験を実施する者が考慮すべきものであるが、被験者に対しあらかじめ文書により具体的に説明するとともに文書により同意を得ておくことは最低限必要と考えられる。
- 注3)開発業務受託機関は、自ら治験を実施する者及び実施医療機関の長とともに、当該受託業務により生じた健康被害の治療に要する費用その他の損失を補償するための手順を定め、当該手順書に従って健康被害の補償に関する業務を実施すること(第15条の8参照)。
- 注4)治験施設支援機関は、自ら治験を実施する者及び実施医療機関の長とともに、当該受託業務により生じた健康被害の治療に要する費用その他の損失を補償するための手順を定め、当該手順書に従って健康被害の補償に関する業務を実施すること(第39条の2参照)。
3.第三章 治験の管理に関する基準
3-1 第一節 治験依頼者による治験の管理に関する基準
(治験薬又は治験使用薬の管理)
第16条
- 第16条 治験依頼者は、治験薬の容器又は被包に次に掲げる事項(拡大治験を実施する場合にあっては、第1号及び第2号に掲げる事項に限る。)を邦文で記載しなければならない。
- 1)治験用である旨
- 2)治験依頼者の氏名及び住所(当該者が本邦内に住所を有しない場合にあっては、その氏名及び住所地の国名並びに治験国内管理人の氏名及び住所)
- 3)化学名又は識別記号
- 4)製造番号又は製造記号
- 5)貯蔵方法、有効期間等を定める必要があるものについては、その内容
- 2 治験依頼者は、治験薬に添付する文書、その治験薬又はその容器若しくは被包(内袋を含む。)には、次に掲げる事項を記載してはならない。ただし、拡大治験を実施する場合にあっては、この限りでない。
- 1)予定される販売名
- 2)予定される効能又は効果
- 3)予定される用法又は用量
- 3 治験依頼者は、被験者、治験責任医師等及び治験協力者が被験薬及び対照薬の識別をできない状態で実施医療機関に交付した治験薬について、緊急時に、治験責任医師等が被験薬及び対照薬の識別を直ちにできるよう必要な措置を講じておかなければならない。
- 4 治験依頼者は、輸送及び保存中の汚染や劣化を防止するため治験薬を包装して実施医療機関に交付しなければならない。
- 5 治験依頼者は、治験薬又は治験使用薬に関する次に掲げる記録を作成しなければならない。
- 1)治験薬の製造年月日、製造方法、製造数量等の製造に関する記録及び治験薬の安定性等の品質に関する試験の記録
- 2)実施医療機関ごとの治験使用薬の交付又は回収の数量及び年月日の記録
- 3)治験使用薬の処分の記録
- 6 治験依頼者は、治験の契約の締結後遅滞なく、実施医療機関における治験使用薬の管理に関する手順書を作成し、これを実施医療機関に交付しなければならない。
- 7 治験依頼者は、必要に応じ、治験薬の溶解方法その他の取扱方法を説明した文書を作成し、これを治験責任医師等、治験協力者及び第39条に規定する治験薬管理者に交付しなければならない。
- 8 第6項の規定による手順書の交付については、第10条第2項から第5項までの規定を準用する。この場合において、これらの規定中「治験の依頼をしようとする者」とあるのは、「治験依頼者」と読み替えるものとする。
- 9 第7項の文書の交付については、第10条第2項から第5項までの規定を準用する。この場合において、これらの規定中「治験の依頼をしようとする者」とあるのは「治験依頼者」と、「実施医療機関の長」とあるのは「治験責任医師等、治験協力者及び第39条に規定する治験薬管理者」と読み替えるものとする。
-
〈第1項〉
- 1 治験依頼者は、治験薬の容器又は被包に第16条第1項各号に掲げる事項を邦文で記載することとしているが、国際共同治験(新規の医薬品の世界規模での開発及び承認を目指して企画される治験であって、一つの治験に複数の国や地域の医療機関が参加し、共通の治験実施計画書に基づき、同時並行的に進行するもの)において複数の国や地域に英文で記載された共通の治験薬を用いる場合又は欧米等で承認のある未承認薬を用いたブリッジング試験等の場合であって、治験実施計画書にその旨を記載し、治験審査委員会の承認を得たものについては、英文で記載することで差し支えない。
なお、英文で記載する場合には、別途、邦文で記載された治験薬の溶解方法その他の取扱い方法を説明した文書(第16条第1項各号に掲げる事項を含むもの)を作成し、治験薬管理者に交付する等治験薬を適切に管理するための必要な措置を講じておくこと。
また、国際共同治験又は欧米等で承認のある未承認薬を治験薬として用いる試験等の場合であって、英文等で販売名等が記載されているものを治験薬として用いるときは、実施医療機関において適切に管理がなされるための必要な措置を講じておくこと。
-
〈第3項〉
- 1 治験依頼者は、盲検下の治験では、治験薬のコード化及び包装に際して、医療上の緊急時に当該治験薬がどの薬剤であるかを直ちに識別できるようにし、かつ盲検性が破られたことを検知できるようにしておくこと。
-
〈第4項〉
- 1 治験薬の包装形態は、輸送及び保存中に汚染や許容範囲外の劣化を防止し、使用の便宜を考慮したものであること。
-
〈第5項〉
- 1 治験依頼者は、治験薬の製造に関する記録、安定性等の品質に関する試験の記録、治験依頼者が交付する治験使用薬の交付・回収の記録及び治験依頼者が交付する治験使用薬の処分の記録を作成すること。治験薬の製造に関する記録には、治験薬GMP通知に定められた記録を含むこと。
- 2 治験依頼者は、治験薬が使用期間中安定であることを保証すること。
- 3 治験依頼者は、必要な場合には、治験薬がその規格を満たしていることを再確認できるだけの十分な量のロットサンプルを確保し、経時的にロットサンプルを分析した記録を作成、保存すること。安定性が確保されている間は、ロットサンプルを治験データの解析が終わるまでの期間保存すること。
- 4 治験依頼者は、治験依頼者が交付する治験使用薬の適正な取扱いを保証するため、次の事項を行うこと。
- (1)適切な時期に治験使用薬が実施医療機関に交付されるようにすること。
- (2)治験使用薬の出荷、受領、処分、返却及び廃棄の記録を保存すること。
- (3)治験使用薬の回収及びその記録作成のためのシステムを保持すること(例:欠陥品の回収、治験終了後の回収、使用期限切れの治験使用薬の回収)。
- (4)未使用の治験使用薬の処分及びその記録作成のためのシステムを保持すること。
-
〈第6項〉
- 1 治験依頼者は、交付する治験使用薬について、実施医療機関におけるそれらの取扱い及び保管、管理並びにそれらの記録に際して従うべき指示を記載した手順書を定め、これを実施医療機関に交付すること。交付先は、実施医療機関の指示に従うことで差し支えない。当該手順書には、治験使用薬の受領、取扱い、保管、管理、処方並びに未使用治験使用薬の被験者からの返却及び治験依頼者への返却又はその他の処分が、適切で確実に行われるために必要な指示を記載すること。
-
〈第7項〉
- 1 治験依頼者は、治験薬の許容される保存条件、使用期限、溶解液及び溶解方法並びに注入器具等取扱い方法を説明した文書を作成し、これを治験責任医師、治験分担医師、治験協力者、治験薬管理者等(モニターを含む。)に交付すること。
(治験薬の交付)
第17条
- 第17条 治験依頼者は、治験薬の品質の確保のために必要な構造設備を備え、かつ、適切な製造管理及び品質管理の方法が採られている製造所において製造された治験薬を、治験依頼者の責任のもと実施医療機関に交付しなければならない。ただし、拡大治験を実施する場合にあっては、実施医療機関が在庫として保管する医薬品の中から、治験薬として使用する医薬品を当該実施医療機関に選定させること又は治験依頼者自ら選定することができる。
- 2 治験依頼者は、前項ただし書の場合には、適切な製造管理及び品質管理の方法が採られている場所において、治験薬の容器又は被包に前条第1項第1号及び第2号に掲げる事項を邦文で記載しなければならない。
- 3 第39条に規定する治験薬管理者は、第1項ただし書の場合には、当該治験薬とそれ以外の医薬品とを区別して適切に管理しなければならない。
- 1 「治験薬の品質の確保のために必要な構造設備を備え、かつ、適切な製造管理及び品質管理の方法が採られている製造所」とは、治験薬GMP通知に定められた内容に適合する製造所をいう。
- 2 治験依頼者は、実施医療機関に対し適切な時期に治験薬を交付する責任を有する。
- 3 治験依頼者は、治験薬(実対照薬及びプラセボを含む。)が治験薬GMP通知に従って製造され、該当する場合には、盲検性が維持されるような方法でコード化され、表示されていることを保証すること。
- 4 治験依頼者は、治験薬の品質管理、運搬及び交付を確実に行うための必要な手順を定めておくこと。
- 5 治験依頼者は、運搬業者等を用いて実施医療機関に治験薬を交付する場合には、治験薬の品質管理、運搬及び交付を確実に行うために、当該運搬業者等と契約を締結する等必要な措置を講じておくこと。
(委嘱の文書の作成)
第18条
- 第18条 治験依頼者は、第2条第20項に規定する調整業務を治験調整医師又は治験調整委員会に委嘱する場合には、その業務の範囲、手順その他必要な事項を記載した文書を作成しなければならない。
- 1 治験依頼者は、多施設共同治験においては、治験調整医師を選定又は治験調整委員会を設置することができる。
- 2 調整業務とは、例えば、治験実施計画書の内容の細目についての多施設間の調整や治験中に生じた治験実施計画書の解釈上の疑義の調整等、多施設共同治験における実施医療機関の調整に係る業務である。
- 3 治験依頼者は、多施設共同治験において治験調整医師又は治験調整委員会に業務を委嘱する場合には、委嘱する業務の範囲、委嘱する業務の手順その他必要な事項を記載した文書を作成すること。
- 4 治験依頼者は、多施設共同治験の実施に当たり、次のことを保証すること。
- (1)全ての治験責任医師が、治験依頼者と合意し、治験審査委員会の意見に基づき各実施医療機関の長が承認した治験実施計画書を遵守して治験を実施していること。
- (2)症例報告書が全施設において必要なデータが収集できるようにデザインされていること。追加的データを収集する治験責任医師にはそれを記載するために設計された補足的な症例報告書が併せて提出されていること。
- (3)治験調整医師(治験調整医師を選定した場合)、治験調整委員会(治験調整委員会を設置した場合)及び治験責任医師の責務が治験開始前に文書で定められていること。
- (4)全ての治験責任医師に対し、治験実施計画書の遵守方法、臨床上及び検査上の所見の評価に関する統一基準の遵守方法並びに症例報告書の記入方法が説明されていること。
- (5)治験責任医師の間の連絡が容易であること。
(効果安全性評価委員会の設置)
第19条
- 第19条 治験依頼者は、治験の継続の適否又は治験実施計画書の変更について審議させるために効果安全性評価委員会を設置することができる。
- 2 治験依頼者は、前項の効果安全性評価委員会の審議に関する手順書を作成し、これに従って審議を行わせなければならない。
- 3 治験依頼者は、前項の審議を行ったときは、その審議の記録を作成し、これを保存しなければならない。
-
〈第1項〉
- 1 「効果安全性評価委員会」は、治験の進行、安全性データ及び重要な有効性エンドポイントを適当な間隔で評価し、治験依頼者に治験の継続、変更又は中止を提言することを目的として、治験依頼者が設置することができる委員会であり、「データモニタリング委員会」とも呼ばれる。有効性の検証を目的とした臨床試験等においては、治験依頼者、治験責任医師及び治験調整医師から独立した委員会として設置した場合には、とくに「独立データモニタリング委員会」とも呼ばれる。
-
〈第2項〉
- 1 治験依頼者は、効果安全性評価委員会と協議の上、審議に関する手順書を作成すること。
- 2 審議に関する手順書は、治験の進行、安全性データ及び重要な有効性エンドポイントを適切な間隔で適切に評価できるよう手順を定め、治験依頼者に治験の継続、変更及び中止又は中断等の提言が適切に行われることを確保するためのものである。
-
〈第3項〉
- 1 治験依頼者は、効果安全性評価委員会の了承のもとに、全ての審議及び会合の記録を作成し、その記録を保存すること。
(副作用情報等)
第20条
- 第20条 治験依頼者は、治験使用薬の品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために必要な情報を収集し、及び検討するとともに、実施医療機関の長に対し、これを提供しなければならない。
- 2 治験依頼者は、治験使用薬について法第80条の2第6項に規定する事項を知ったときは、その発現症例一覧等を当該治験使用薬ごとに、当該被験薬について初めて治験の計画を届け出た日等から起算して1年ごとに、その期間の満了後3月以内に治験責任医師及び実施医療機関の長に通知しなければならない。
- 3 治験依頼者は、前項に規定する事項のうち当該被験薬の治験薬概要書又は治験使用薬(被験薬を除く。)に係る科学的知見から予測できないものを知ったときは、直ちにその旨を治験責任医師及び実施医療機関の長に通知しなければならない。
- 4 治験依頼者は、治験使用薬の品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために重要な情報を知ったときは、必要に応じ、治験実施計画書及び治験薬概要書を改訂しなければならない。この場合において、治験実施計画書の改訂について治験責任医師の同意を得なければならない。
-
〈第1項〉
- 1 治験依頼者は、治験使用薬の安全性を継続的に評価する責任を有する。
- 2 治験依頼者は、被験者の安全に悪影響を及ぼし、治験の実施に影響を与え、又は治験継続に関する治験審査委員会の承認を変更する可能性のある情報を、治験に関与する全ての治験責任医師、実施医療機関の長に速やかに通知すること。
-
〈第2項〉〈第3項〉
- 1 治験依頼者は、治験使用薬について法第80条の2第6項の規定に基づく医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(昭和36年厚生省令第1号。以下「施行規則」という。)第273条第1項に掲げる事項、同項第2号イ(1)から(5)までに掲げる副作用・感染症症例(以下「副作用等症例」という。)であって治験薬概要書又は治験使用薬(被験薬を除く。)に係る科学的知見から予測できるもの、第2項第1号並びに第2号イ及びロに掲げる副作用等症例並びに第2項第2号イ(1)から(5)までに掲げる副作用等症例であって治験薬概要書又は治験使用薬(被験薬を除く。)に係る科学的知見から予測できるものを知ったときは、その治験安全性最新報告概要及び国内重篤副作用等症例の発現状況一覧等を当該治験使用薬ごとに、当該被験薬について初めて治験の計画を届け出た日等から起算して1年ごとに、治験責任医師及び実施医療機関の長に通知すること。期間内に副作用等症例の発現がなかった場合においても同様とする。
なお、当該通知は、期間の満了後3月以内に行うこと。 - 2 治験依頼者は、第20条第2項に規定する事項のうち当該治験使用薬の治験薬概要書又は治験使用薬(被験薬を除く。)に係る科学的知見から予測できないものを知ったときは、直ちに治験責任医師及び実施医療機関の長に通知すること。
なお、治験薬概要書又は治験使用薬(被験薬を除く。)に係る科学的知見から予測できる副作用等症例のうち規制当局より要請があったものについては、直ちに当該副作用等症例を治験責任医師及び実施医療機関の長へ通知すること。 - 3 通知するに当たっては、「治験中に得られる安全性情報の取り扱いについて」(平成7年3月20日付け薬審第227号厚生省薬務局審査課長通知)、「個別症例安全性報告を伝送するためのデータ項目及びメッセージ仕様について」(平成13年3月30日付け医薬安発第39号・医薬審発第334号厚生労働省医薬局安全対策課長・審査管理課長通知)、「独立行政法人医薬品医療機器総合機構に対する治験副作用等報告について」(令和2年8月31日付け薬生発0831第8号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)、「E2B(R3)実装ガイドに対応した市販後副作用等報告及び治験副作用等報告について」(令和2年8月31日付け薬生薬審発0831第12号・薬生安発0831第3号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長・医薬安全対策課長連名通知)、「治験副作用等症例の定期報告に係る留意事項について」(令和2年8月31日付け薬生薬審発0831第14号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)等を参照のこと(通知すべき副作用等の範囲及び取扱いについては施行規則第273条第1項及び第2項の定めによること。)。
- 4 あらかじめ、治験依頼者、治験審査委員会等及び実施医療機関の長の合意が得られている場合においては、第20条第2項及び第3項に関する通知に限り、治験依頼者は、治験責任医師及び実施医療機関の長に加えて治験審査委員会等にも同時に通知することができる。また、この場合においては、第40条第1項の規定に基づき実施医療機関の長が治験審査委員会等に文書により通知したものとみなす。
-
〈第4項〉
- 1 治験依頼者は、必要に応じ、治験実施計画書の改訂を行うこと。なお、治験依頼者がこれらを改訂する場合には、第7条第5項の規定を参照のこと。
- 2 治験依頼者は、新たな情報が得られた場合等には、手順書に従って、治験薬概要書を改訂すること。なお、新たな重要な情報が得られた場合には、治験薬概要書の改訂に先立って、治験責任医師、実施医療機関の長及び規制当局にこれらの情報を報告すること(第8条第2項参照)。
(モニタリングの実施)
第21条
- 第21条 治験依頼者は、モニタリングに関する手順書を作成し、当該手順書に従ってモニタリングを実施しなければならない。
- 2 前項の規定によりモニタリングを実施する場合には、実施医療機関において実地に行わなければならない。ただし、他の方法により十分にモニタリングを実施することができる場合には、この限りではない。
-
〈第1項〉
- 1 治験依頼者は、被験者の人権の保護、安全の保持及び福祉の向上が図られていること、治験が最新の治験実施計画書及び本基準を遵守して実施されていること、治験責任医師又は治験分担医師から報告された治験データ等が正確かつ完全で原資料等の治験関連記録に照らして検証できることを確認するため、モニタリングを実施すること。
- 2 治験依頼者は、治験のモニタリングの実施に当たって、優先順位を考慮した、リスクに基づく体系的な取組みを策定すべきである。リスクに基づくモニタリングについては、「リスクに基づくモニタリングに関する基本的考え方について」(令和元年7月5日付け薬生薬審発0705第7号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)を参照のこと。
モニタリングの有効性及び効率性を改善する様々な取組みを許容することを意図し、本項で説明するモニタリングの範囲及び内容は、柔軟なものとしている。治験依頼者は、オンサイトモニタリング、オンサイトモニタリングと中央モニタリングの組合せ又は、正当な場合には、中央モニタリングを選択することができる。治験依頼者は、選択したモニタリング戦略の根拠を文書化すべきである(モニタリング計画書への記載等)。 - 3 治験依頼者は、適切な訓練を受け、治験を十分にモニタリングするために必要な科学的及び臨床的知識を有するモニターを指名すること。また、モニターの要件を、モニタリングに関する手順書に記載しておくこと。
- 4 治験依頼者は、モニタリング、監査並びに治験審査委員会及び規制当局の調査時に治験責任医師及び実施医療機関が原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供することを、実施医療機関との治験の契約書及び治験実施計画書又は他の合意文書に明記すること。
- 5 治験依頼者は、モニタリング、監査並びに治験審査委員会及び規制当局の調査時に、被験者の医療に係る原資料が直接閲覧されることについて、各被験者が文書により同意していることを確認しておくこと。
- 6 治験依頼者は、モニターが実施医療機関及び治験の実施に係るその他の施設を訪問し、原資料を直接閲覧すること等により治験が適切にモニタリングされていることを保証すること。また、治験の目的、デザイン、盲検性、被験者に対する危険性のレベル、規模及びエンドポイント、当該実施医療機関及び治験の実施に係るその他の施設における実績等を考慮してモニタリングの適切な範囲及び方法を決定することとし、被験者保護及びデータの完全性に関する治験固有のリスクに応じたモニタリング計画書を作成すること。
モニタリング計画書では、モニタリング戦略、モニタリングにおける全ての関係当事者の責務、使用する様々なモニタリング方法及びその使用根拠を説明するとともに重要なデータ及びプロセスのモニタリングについて強調して説明すべきである。なお、実施医療機関その他の施設において、治験の品質保証及び品質管理が適切に履行できる場合にあっては、必ずしも全ての治験データ等について原資料との照合等の実施を求めるものではないこととする。 - 7 モニターは、治験使用薬、治験実施計画書、説明・同意文書、治験依頼者の手順書及び本基準を熟知し、これに従うこと。
- 8 モニターは、治験依頼者が確定した手順書及び当該治験のモニタリングに関して治験依頼者が特に定める手順に従うこと。
- 9 モニターは、次の事項が当該治験及び当該治験の実施に係る施設に関して適切でかつ必要である場合には、治験依頼者の要求に従ってそれらを行うことにより、治験が適正に実施され、必要な事項が正確に記録されていることを保証すること。
- (1)治験依頼者と治験責任医師、実施医療機関及び治験に係るその他の施設との間の情報交換の主役を務めること。
- (2)実施医療機関及び治験責任医師が治験を適切に実施するのに求められる要件を満たし、それが治験期間を通して維持されていること、また検査室や必要な装置及びスタッフを含む設備が、治験を安全かつ適正に実施するのに十分であり、それが治験期間を通して継続されていることを確認すること。
- (3)交付された治験使用薬に関し下記の点を確認すること。
- ① 保存期間、保存条件が許容できるものであり、治験期間を通して十分な量が交付されていること。
- ② 治験使用薬が適格な被験者のみに、治験実施計画書で規定された用量で投与されていること。
- ③ 被験者に対し、治験使用薬の適正な使用、取扱い、保存及び返却に関して必要な指示が与えられていること。
- ④ 実施医療機関及び治験の実施に係るその他の施設での治験使用薬の取扱い、保管及び管理が本基準及び治験依頼者の定めるところに従って適切に行われ、記録されていること。
- (4)治験責任医師等が実施医療機関の長の指示、決定及び承認された治験実施計画書に従って治験を実施していることを確認すること。
- (5)各被験者から、治験に参加する前に、治験への参加について自由意思による同意が文書により得られていることを確認すること。
- (6)治験責任医師が治験を適正に実施し、本基準を遵守するのに必要な治験薬概要書又は科学的知見を記載した文書の最新版等全ての文書及びその他の供給物を受領していることを確認すること。
- (7)実施医療機関の長、治験責任医師、治験分担医師、治験協力者及び治験薬管理者等が治験について十分情報を得ていることを確認すること。
- (8)治験責任医師、治験分担医師、治験協力者及び治験薬管理者等が治験実施計画書並びに治験依頼者と実施医療機関及び治験責任医師との間のその他の合意文書に基づいて治験における各々の役割を果たしており、このような役割を事前に取り決められた者以外に委任していないことを確認すること。
- (9)治験責任医師等が適格な被験者のみを治験に組み入れていることを確認すること。
- (10)被験者の登録状況を確認し、治験依頼者に報告すること。
- (11)正確かつ完全で、最新に至る原資料等の全ての治験関連記録が作成、保存されていることを確認すること。
- (12)実施医療機関の長及び治験責任医師又は治験分担医師が本基準で要求される全ての報告、通知及び提出を行い、それらの文書が正確、完全で、適切な時期に行われ、読みやすく、日付が記載されており、該当する治験を識別できることを確認すること。
- (13)症例報告書の内容と原資料等の治験関連記録類を相互に照合し、これらが正確であることを確認すること。その際、モニターは特に次の点を確認すること。
- ① 治験実施計画書が要求するデータが症例報告書に正確に記載され、それらが原資料と一致していること。
- ② 用量又は治療法の変更があった場合には、その全てが各々の被験者について記録されていること。
- ③ 有害事象、併用療法及び併発症が治験実施計画書に従って症例報告書に記載されていること。
- ④ 被験者が規定どおりに来院しなかった日、実施されなかった試験及び検査が症例報告書に明確に記載されていること。
- ⑤ 登録された被験者の全ての中止例、脱落例が症例報告書に記載され、その理由等が説明されていること。
- (14)治験責任医師に、症例報告書の記載ミス、記載漏れ又は判読不能事項を全て知らせること。また、適切な修正、追記又は削除がなされ、日付が記入され、それらが重大な場合にはその理由等が説明されており、かつ治験責任医師又は症例報告書を作成した治験分担医師によって、押印又は署名されていることを確認すること。
- (15)全ての有害事象が、治験実施計画書、治験審査委員会、治験依頼者及び本基準によって要求されている期間内に適切に報告されていることを確認すること。
- (16)実施医療機関において保存すべき文書又は記録をそれぞれの保存責任者が保存していることを確認すること。
-
〈第2項〉
- 1 モニタリングは、治験開始前、実施中及び終了後に実施医療機関及び治験に係るその他の施設において実地に行う。
- 2 「他の方法により十分にモニタリングを実施することができる場合」とは、例えば、治験責任医師等又は治験協力者等の会合及びそれらの人々に対する訓練や詳細な手順書の提供、統計学的にコントロールされた方法でのデータの抽出と検証、治験責任医師等との電話、ファックス等による交信等の手段を併用することにより、治験依頼者において、治験の実施状況を調査し、把握することが可能かつ妥当である場合である。
(モニターの責務)
第22条
- 第22条 モニタリングに従事する者(以下「モニター」という。)は、モニタリングの結果、実施医療機関における治験がこの省令又は治験実施計画書に従って行われていないことを確認した場合には、その旨を直ちに当該実施医療機関の治験責任医師に告げなければならない。
- 2 モニターは、モニタリングの実施の際、実施医療機関において実地に行い、又はこれと連絡を取ったときは、その都度次に掲げる事項を記載したモニタリング報告書を治験依頼者に提出しなければならない。
- 1)モニタリングを行った日時
- 2)モニタリングの対象となった実施医療機関
- 3)モニターの氏名
- 4)モニタリングの際に説明等を聴取した治験責任医師等の氏名
- 5)モニタリングの結果の概要
- 6)前項の規定により治験責任医師に告げた事項
- 7)前号の事項について講じられるべき措置及び当該措置に関するモニターの所見
-
〈第1項〉
- 1 モニターは、モニタリングの結果、本基準、治験実施計画書及び手順書からの逸脱事項を確認した場合には、治験責任医師及び必要に応じて実施医療機関の長に直ちに伝えること。また、そのような逸脱の再発を防止するための適切な措置を講じておくこと。
-
〈第2項〉
- 1 モニターは、実施医療機関及び治験に係るその他の施設への訪問又は治験に関連した連絡を行う度に、治験依頼者にモニタリング報告書を提出すること。当該報告及び(又は)中央モニタリングの報告について、点検及びフォローアップを実行できるよう、適切な時期に治験依頼者(治験及び実施医療機関に対する監督責任を有する適切な管理者及びスタッフを含む。)に提出すべきである。中央モニタリングの報告は、定期的に行い、実施医療機関及び治験に係るその他の施設への訪問又は治験に関連した連絡に係る報告とは独立して行うこともできる。
- 2 モニタリング報告書には、日時、場所(実施医療機関名)、モニターの氏名、治験責任医師又はその他の接触した相手の氏名、モニターが点検した内容の要約及び重要な発見事項又は事実、逸脱及び欠陥、結論、治験責任医師等に告げた事項並びに講じられた又は講じられる予定の措置及び本基準等の遵守を確保するために推奨される措置に関するモニターの見解等を記載すること。モニタリングの結果は、モニタリング計画書の遵守状況の検証に必要な情報を記録すべきである。
- 3 治験依頼者に指名された者は、モニタリング報告書に関して行った点検とフォローアップについて、文書化すること。
(監査)
第23条
- 第23条 治験依頼者は、監査に関する計画書及び業務に関する手順書を作成し、当該計画書及び手順書に従って監査を実施しなければならない。
- 2 監査に従事する者(以下「監査担当者」という。)は、監査に係る医薬品の開発に係る部門及びモニタリングを担当する部門に属してはならない。
- 3 監査担当者は、監査を実施した場合には、監査で確認した事項を記録した監査報告書及び監査が実施されたことを証明する監査証明書を作成し、これを治験依頼者に提出しなければならない。
-
〈第1項〉
- 1 監査の目的は、治験の品質保証のために、治験が本基準、治験実施計画書及び手順書を遵守して行われているか否かを通常のモニタリング及び治験の品質管理業務とは独立・分離して評価することにある。
- 2 治験依頼者は、治験のシステム及び個々の治験に対する監査について、監査の対象、方法及び頻度並びに監査報告書の様式と内容を記述した監査手順書を作成し、監査が当該手順書及び当該手順書に基づいた監査計画に従って行われることを保証すること。また、監査担当者の要件を当該手順書中に記載しておくこと。
- 3 治験のシステムに対する監査は、治験依頼者、実施医療機関及び治験の実施に係るその他の施設における治験のシステムが適正に構築され、かつ適切に機能しているか否かを評価するために行うものである。
- 4 個々の治験に対する監査は、当該治験の規制当局に対する申請上の重要性、被験者数、治験の種類、被験者に対する治験の危険性のレベル及びモニタリング等で見出されたあらゆる問題点を考慮して、治験依頼者、実施医療機関及び治験の実施に係るその他の施設に対する監査の対象及び時期等を決定した上で行うこと。
- 5 監査担当者も必要に応じて実施医療機関及び治験に係るその他の施設を訪問し、原資料を直接閲覧することにより治験が適切に実施されていること及びデータの信頼性が十分に保たれていることを確認すること。
- 6 治験依頼者は、モニタリング、監査並びに治験審査委員会及び規制当局の調査時に、治験責任医師及び実施医療機関が原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供することを実施医療機関との治験の契約書及び治験実施計画書又は他の合意文書に明記すること。
- 7 治験依頼者は、モニタリング、監査並びに治験審査委員会及び規制当局の調査時に、被験者の医療に係る原資料が直接閲覧されることについて、各被験者が文書により同意していることを確認すること。
-
〈第2項〉
- 1 治験依頼者は、治験の依頼及び治験の実施に直接係る業務とは無関係の者で、教育・訓練と経験により監査を適切に行いうる要件を満たしている者を監査担当者として指名すること。
-
〈第3項〉
- 1 監査担当者は、監査の記録に基づき監査報告書を作成し、記名押印又は署名の上、治験依頼者に提出すること。監査報告書には、報告書作成日、被監査部門名、監査の対象、監査実施日、監査結果(必要な場合には改善提案を含む。)及び当該報告書の提出先を記載すること。
- 2 監査機能の独立性と価値を保つために、規制当局は、通常の調査の際には監査報告書の閲覧を求めないこととする。ただし、重大なGCP省令不遵守が認められる場合には、監査報告書の閲覧を求めることができる。上記1の監査の記録についても同様とする。
- 3 監査担当者は、監査を行った治験について、監査が実施されたことを証明する監査証明書を作成し、証明した日付、証明者を明記の上、治験依頼者に提出すること。
(治験の中止等)
第24条
- 第24条 治験依頼者は、実施医療機関がこの省令、治験実施計画書又は治験の契約に違反することにより適正な治験に支障を及ぼしたと認める場合(第46条に規定する場合を除く。)には、当該実施医療機関との治験の契約を解除し、当該実施医療機関における治験を中止しなければならない。
- 2 治験依頼者は、治験を中断し、又は中止する場合には、速やかにその旨及びその理由を実施医療機関の長に文書により通知しなければならない。
- 3 治験依頼者は、当該治験により収集された臨床試験の試験成績に関する資料を法第14条第3項及び医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(昭和36年厚生省令第1号)第45条の4第1項に規定する申請書に添付しないことを決定した場合には、その旨及びその理由を実施医療機関の長に文書により通知しなければならない。
- 4 第2項及び前項の規定による文書による通知については、第10条第2項から第5項までの規定を準用する。この場合において、これらの規定中「治験の依頼をしようとする者」とあるのは、「治験依頼者」と読み替えるものとする。
-
〈第1項〉
- 1 治験依頼者は、モニタリング及び監査によって治験責任医師、実施医療機関又は治験に係るその他の施設による重大又は継続した不遵守が発見された場合には、当該治験責任医師、実施医療機関又は治験に係るその他の施設の治験への参加を打ち切ること。また、不遵守のため治験責任医師、実施医療機関又は治験に係るその他の施設の参加を打ち切った場合には、治験依頼者は規制当局に速やかに報告すること。
ただし、被験者の緊急の危険を回避するため、その他医療上やむを得ない理由のために治験実施計画書に従わなかった場合(第46条参照)を除く。
-
〈第2項〉
- 1 治験依頼者は、治験を中断し、又は中止する場合には、速やかにその旨及びその理由の詳細を治験に関与する全ての実施医療機関の長に文書により通知すること。
- 2 治験依頼者は、治験を中止する場合、又は被験薬の品質、有効性及び安全性に関する問題により治験を中断する場合には、その旨及びその理由の詳細を規制当局にも文書により通知すること。
-
〈第3項〉
- 1 治験依頼者は、治験により収集された臨床試験の試験成績に関する資料を承認申請書に添付しないこと、すなわち、被験薬の開発(効能・効果、用法・用量又は製剤のいずれか若しくは全てについて)を中止する場合には、その旨とその理由の詳細を治験に関与する全ての実施医療機関の長及び治験に係るその他の施設に速やかに文書で通知すること。
- 1 治験依頼者は、治験を終了したとき、又は中止したときは、その結果等を取りまとめた総括報告書を手順書に従って作成すること。
- 2 総括報告書の構成及び内容については、「治験の総括報告書の構成と内容に関するガイドライン」(平成8年5月1日付け薬審第335号厚生省薬務局審査課長通知)に従ったものであること。
- 3 総括報告書は、規制当局の求めに応じて提出できるよう保存しておくこと。
- 4 総括報告書は、第23条第3項に規定する当該治験に係る監査証明書を添付して保存すること。
(記録の保存等)
第26条
- 第26条 治験依頼者は、次に掲げる治験に関する記録(文書及びデータを含む。)を被験薬に係る医薬品についての製造販売の承認を受ける日(第24条第3項の規定により通知したときは、通知した日後3年を経過した日)又は治験の中止若しくは終了の後3年を経過した日のうちいずれか遅い日までの期間適切に保存しなければならない。
- 1)治験実施計画書、契約書、総括報告書その他この省令の規定により治験依頼者が作成した文書又はその写し
- 2)症例報告書、第32条第6項の規定により通知された文書その他この省令の規定により実施医療機関の長又は治験責任医師等から入手した記録
- 3)モニタリング、監査その他の治験の依頼及び管理に係る業務の記録(前2号及び第5号に掲げるものを除く。)
- 4)治験を行うことにより得られたデータ
- 5)第16条第5項の記録
- 2 本邦内に住所を有しない治験依頼者は、治験国内管理人に第16条第5項の記録を前項に定める期間保存させなければならない。
-
〈第1項〉
- 1 治験依頼者は、本条の規定により、第1項各号に掲げる治験に関する記録を当該被験薬に係る医薬品の製造販売承認日(第24条第3項の規定により、開発を中止した又は臨床試験の試験成績に関する資料が申請書に添付されないことを決定した旨の通知をした日から3年が経過した日)又は治験の中止若しくは終了の後3年を経過した日のうちいずれか遅い日までの期間適切に保存すること。
また、被験薬に係る医薬品が承認を受けた場合には、施行規則第101条の規定により、承認取得者は承認を受けた日から5年間(再審査に係るものであって、再審査が終了するまでの期間が承認を受けた日から5年を超えるものにあっては再審査が終了するまでの期間)適切に保存すること。
したがって、治験依頼者は、次の(1)又は(2)の日のうちいずれか遅い日までの間保存すること。- (1)当該被験薬に係る医薬品の製造販売承認日から5年が経過した日(開発が中止された場合には開発中止が決定された日から3年が経過した日)。ただし、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)の規定により承認後の再審査を受けなければならない医薬品で、かつ再審査が終了するまでの期間が5年を超えるものについては、再審査が終了する日。
- (2)治験の中止又は終了後3年が経過した日
- 2 本条の「記録」には、磁気媒体等に記録されたデータを含むこと。データを適切に保存するためには、セキュリティシステムの保持、データのバックアップの実施等が必要であること。
- 3 治験依頼者は、データの処理に電子データ処理システム(遠隔操作電子データシステムを含む。)を用いる場合には、次の事項を実施すること。
- (1)電子データ処理システムが、完全性、正確性、信頼性及び意図された性能についての治験依頼者の要件を満たしていることを保証し、文書化すること(すなわちバリデーションされること)。なお、その際には、システムの用途並びにシステムが被験者保護及び治験結果の信頼性に影響を与える可能性を考慮したリスク評価に基づいて行うこと。
- (2)当該システムを使用するための手順書を整備すること。当該手順書の対象範囲にはシステムのセットアップ、インストール及び使用方法を含むものとする。当該手順書には、システムバリデーション及び機能テスト、データの収集及び取扱い、システムの維持管理、システムの安全対策、変更管理、データのバックアップ、修復、危機管理計画並びにシステムの廃棄について記載すべきである。これらの電子データ処理システムの使用に関する治験依頼者、治験責任医師その他の当事者の責務を明確に示し、使用者に対し、システムの使用に関する教育・訓練を提供すべきである。
- (3)当該システムが、入力済みのデータを消去することなしに修正が可能で、データ修正の記録をデータ入力者及び修正者が識別されるログとして残せる(すなわち監査証跡、データ入力証跡、修正証跡が残る)ようにデザインされていることを保証すること。
- (4)データのセキュリティシステムを保持すること。
- (5)データのバックアップを適切に行うこと。
- (6)データの修正を行う権限を与えられた者の名簿を作成し、管理すること。
- (7)データの背景、内容及び構成を説明する全てのデータを含め、データの完全性を保証すること。この点は、ソフトウェアのアップグレード又はデータの移行等、電子データ処理システムを変更する場合に、特に重要である。
- (8)盲検化が行われている場合には、盲検性が保持されるようにすること。
- 4 治験依頼者は、処理中にデータの変換を行う場合には、処理前のデータと処理後のデータを常に対比し得ることを保証すること。
- 5 治験依頼者は、各被験者について報告された全てのデータの識別を可能にする明確な被験者識別コードを用いること。
-
〈第2項〉
- 1 本邦内に住所を有しない治験依頼者は、治験国内管理人に治験薬の製造や安定性等の品質等に関する第16条第5項に規定する記録を保存させること。
- 2 治験国内管理人は、治験使用薬による保健衛生上の危害の発生又は拡大の防止に必要な措置を採らせるため、治験の依頼をしようとする者に代わって治験の依頼を行うことのできる者である(第15条参照)趣旨に鑑み、第1項第1号から第4号までの記録又はその写しを適切に保存すること。
3-2 第二節 自ら治験を実施する者による治験の管理に関する基準
(治験薬又は治験使用薬の管理)
第26条の2
- 第26条の2 自ら治験を実施する者は、治験薬の容器又は被包に次に掲げる事項(拡大治験を実施する場合にあっては、第1号及び第2号に掲げる事項に限る。)を邦文で記載しなければならない。
- 1)治験用である旨
- 2)自ら治験を実施する者の氏名及び職名並びに住所
- 3)化学名又は識別記号
- 4)製造番号又は製造記号
- 5)貯蔵方法、有効期間等を定める必要があるものについては、その内容
- 2 自ら治験を実施する者は、治験薬に添付する文書、その治験薬又はその容器若しくは被包(内袋を含む。)には、次に掲げる事項を記載してはならない。ただし、拡大治験を実施する場合にあっては、この限りでない。
- 1)予定される販売名
- 2)予定される効能又は効果
- 3)予定される用法又は用量
- 3 自ら治験を実施する者は、被験者、治験分担医師及び治験協力者が被験薬及び対照薬の識別をできない状態で入手した治験薬について、緊急時に、治験分担医師が被験薬及び対照薬の識別を直ちにできるよう必要な措置を講じておかなければならない。
- 4 自ら治験を実施する者は、輸送及び保存中の汚染や劣化を防止するため必要な措置を講じておかなければならない。
- 5 自ら治験を実施する者は、治験薬又は治験使用薬に関する次に掲げる記録を作成し、又は入手しなければならない。
- 1)治験薬の製造年月日、製造方法、製造数量等の製造に関する記録及び治験薬の安定性等の品質に関する試験の記録
- 2)治験使用薬を入手し、又は治験薬提供者から提供を受けた場合にはその数量及び年月日の記録
- 3)治験使用薬の処分の記録
- 6 自ら治験を実施する者は、治験の実施の承認後遅滞なく、実施医療機関における治験使用薬の管理に関する手順書を作成し、これを実施医療機関に交付しなければならない。
- 7 自ら治験を実施する者は、必要に応じ、治験薬の溶解方法その他の取扱方法を説明した文書を作成し、これを治験分担医師、治験協力者及び第39条に規定する治験薬管理者に交付しなければならない。
-
<第1項>
- 1 自ら治験を実施する者は、治験薬の容器又は被包に第26条の2第1項各号に掲げる事項を邦文で記載することとしているが、国際共同治験において複数の国や地域に英文で記載された共通の治験薬を用いる場合又は欧米等で承認のある未承認薬を用いたブリッジング試験等の場合であって、治験実施計画書にその旨を記載し、治験審査委員会の承認を得たものについては、英文で記載することで差し支えないこと。
なお、英文で記載する場合には、別途、邦文で記載された治験薬の溶解方法その他の取扱い方法を説明した文書(第26条の2第1項各号に掲げる事項を含むもの)を作成し、治験薬管理者に交付する等治験薬を適切に管理するための必要な措置を講じておくこと。
また、国際共同治験又は欧米等で承認のある未承認薬を治験薬として用いる試験等の場合であって、英文等で販売名等が記載されているものを治験薬として用いるときは、実施医療機関において適切に管理がなされるための必要な措置を講じておくこと。
多施設共同治験を実施する場合であって、治験実施計画書に、自ら治験を実施する者又は治験調整医師の氏名及び職名並びに住所を記載する旨を記載し、治験審査委員会の承認を得たものについては、自ら治験を実施する者又は治験調整医師の氏名及び職名並びに住所を記載することで差し支えないこと。
-
〈第3項〉
- 1 自ら治験を実施する者は、盲検下の治験では、治験薬のコード化及び包装に際して、医療上の緊急時に当該治験薬がどの薬剤であるかを直ちに識別できるようにし、かつ盲検性が破られたことを検知できるようにしておくこと。
-
<第4項>
- 1 自ら治験を実施する者は、治験薬を入手し、又は治験薬提供者から治験薬の提供を受ける場合には、第4項の規定に従って輸送及び保存中の汚染や劣化を防止するため必要な措置を講じておくこと。
-
<第5項>
- 1 第5項の記録については、自ら治験薬を製造しない場合においては、治験薬提供者等から入手すること。また、第1号の記録には、治験薬GMP通知に定められた記録を含むこと。この場合には、治験薬GMP通知中、「治験依頼者」を「自ら治験を実施する者」に、「第17条第1項」を「第26条の3」に、「第24条第3項」を「第26条の10第3項」に読み替えるものとする。なお、第1号の記録内容が確認できる文書がある場合については、自ら治験を実施する者は、これらの記録に代えて当該文書を入手することで足るものとする。
- 2 自ら治験を実施する者が自ら治験薬を製造しない場合には、予定される使用期間中安定である治験薬を使用すること。
- 3 自ら治験を実施する者が自ら治験薬を製造しない場合には、治験薬がその規格を満たしていることを再確認できるだけの十分な量のロットサンプルを確保し、経時的にロットサンプルを分析した記録が保存されている治験薬を使用すること。安定性が確保されている間は、ロットサンプルが治験データの解析が終わるまでの期間保存されるよう措置を講じること。
- 4 自ら治験を実施する者が自ら治験使用薬を製造しない場合には、自ら治験を実施する者は、治験使用薬の適正な取扱いを保証するため、次の事項を行うこと。
- (1)適切な時期に治験使用薬を入手できるようにすること。
- (2)治験使用薬の受領、被験者からの返却及び処分の記録を保存すること。
- (3)治験使用薬の返品・処分及びその記録作成のためのシステムを保持すること(例:欠陥品の返品、使用期限切れの治験使用薬の処分)。
- (4)未使用の治験使用薬の処分及びその記録作成のためのシステムを保持すること。
-
<第6項>
- 1 第6項の「治験使用薬の管理に関する手順書」に、治験使用薬の受領、取扱い、保管、処方並びに未使用治験使用薬の被験者からの返却及び未使用治験使用薬の処分が適切かつ確実に行われるよう、治験使用薬の管理に関わる者が従うべき事項を規定しておくこと。
-
<第7項>
- 1 自ら治験を実施する者は、治験薬の許容される保存条件、使用期限、溶解液及び溶解方法並びに注入器具等取扱い方法を説明した文書を作成し、これを治験分担医師、治験協力者、治験薬管理者等(モニターを含む。)に交付すること。
なお、自ら治験を実施する者は、規制当局に治験計画の届出が受理されるまで、治験薬の提供を受けてはならない。ただし、「薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律の一部の施行について」(平成15年5月15日付け医薬発第0515017号厚生労働省医薬局長通知)の記のⅢの(2)のイに掲げる薬物にあっては、治験計画の届出提出後30日を経過した後でなければ、治験薬の提供を受けてはならない。
(治験薬の品質の確保)
第26条の3
- 第26条の3 自ら治験を実施する者は、治験薬の品質の確保のために必要な構造設備を備え、かつ、適切な製造管理及び品質管理の方法が採られている製造所において製造された治験薬を用いて治験を実施しなければならない。ただし、拡大治験を実施する場合にあっては、実施医療機関が在庫として保管する医薬品の中から、治験薬として使用する医薬品を当該実施医療機関に選定させること又は自ら治験を実施する者自ら選定することができる。
- 2 自ら治験を実施する者は、前項ただし書の場合には、適切な製造管理及び品質管理の方法が採られている場所において、治験薬の容器又は被包に前条第1項第1号及び第2号に掲げる事項を邦文で記載しなければならない。
- 3 第39条に規定する治験薬管理者は、第1項ただし書の場合には、当該治験薬とそれ以外の医薬品とを区別して適切に管理しなければならない。
- 1 「治験薬の品質の確保のために必要な構造設備を備え、かつ、適切な製造管理及び品質管理の方法が採られている製造所」とは、治験薬GMP通知に定められた内容に適合する製造所をいう。なお、自ら治験を実施する者が自ら治験薬を製造しない場合においては、自ら治験を実施する者は、本基準の要件を満たす治験薬の提供を受けられるよう、治験薬の品質確保に関して、治験薬提供者との間で文書等により、明確な取り決め等を行うこと。
(委嘱の文書の作成)
第26条の4
- 第26条の4 自ら治験を実施する者は、第2条第20項に規定する調整する業務を治験調整医師又は治験調整委員会に委嘱する場合には、その業務の範囲、手順その他必要な事項を記載した文書を作成しなければならない。
- 1 治験調整医師又は治験調整委員会に委嘱される業務とは、例えば、治験実施計画書の内容の細目についての多施設間の調整や治験中に生じた治験実施計画書の解釈上の疑義の調整等、多施設共同治験における実施医療機関間の調整に係る業務である。
- 2 多施設共同治験において治験調整医師又は治験調整委員会に委嘱することができる「治験の細目について調整する業務」には、法第80条の2第2項に規定する治験の計画の届出、GCP省令第26条の6第2項及び第48条第3項に規定する他の実施医療機関の治験責任医師への副作用情報等の通知に関する業務及び施行規則第273条に規定する厚生労働大臣への副作用等報告の業務を含むことと解される。
- 3 自ら治験を実施する者(治験責任医師となるべき医師又は歯科医師に限る。以下この項において同じ。)は、多施設共同治験において治験調整医師又は治験調整委員会に業務を委嘱する場合には、委嘱する業務の範囲、委嘱する業務の手順その他必要な事項を記載した文書を作成すること。
- 4 自ら治験を実施する者は、多施設共同治験の実施に当たり、次のことを保証すること。
- (1)全ての治験責任医師が、治験審査委員会の意見に基づき各実施医療機関の長が承認した治験実施計画書を厳密に遵守して治験を実施していること。
- (2)症例報告書が全施設において必要なデータが収集できるようにデザインされていること。追加的データを収集する治験責任医師にはそれを記載するために設計された補足的な症例報告書が併せて提出されていること。
- (3)治験調整医師(治験調整医師を選定した場合)、治験調整委員会(治験調整委員会を設置した場合)及び治験責任医師の責務が治験開始前に文書で定められていること。
- (4)全ての治験責任医師に対し、治験実施計画書の遵守方法、臨床上及び検査上の所見の評価に関する統一基準の遵守方法並びに症例報告書の記入方法が協議されていること。
- (5)治験責任医師の間の連絡が容易であること。
- (6)治験調整医師又は治験調整委員会は、多施設共同治験ごとの状況を考慮し、モニタリング、監査、治験使用薬の管理方法及び記録の保存等について、各実施医療機関の間で治験の品質においてばらつきが生じないよう調整すること。
(効果安全性評価委員会の設置)
第26条の5
- 第26条の5 自ら治験を実施する者は、治験の継続の適否又は治験実施計画書の変更について審議させるために効果安全性評価委員会を設置することができる。
- 2 自ら治験を実施する者は、前項の効果安全性評価委員会の審議に関する手順書を作成し、これに従って審議を行わせなければならない。
- 3 自ら治験を実施する者は、前項の審議を行ったときは、その審議の記録を作成し、これを保存しなければならない。
-
<第1項>
- 1 効果安全性評価委員会は、治験の継続の適否又は治験実施計画書の変更について審議するための委員会であり、治験の進行、安全性データ及び重要な有効性エンドポイントを適切な間隔で評価するものである。また、自ら治験を実施する者、治験責任医師等、治験調整医師、治験審査委員会の委員、治験薬提供者及び実施医療機関の長は効果安全性評価委員会の委員になることはできない。
-
<第2項>
- 1 自ら治験を実施する者は、効果安全性評価委員会と協議の上、審議に関する手順書を作成すること。
- 2 審議に関する手順書は、治験の進行、安全性データ及び重要な有効性エンドポイントを適切な間隔で適切に評価できるよう手順を定め、自ら治験を実施する者に治験の継続、変更、及び中断又は中止等の提言が適切に行われることを確保するためのものである。
-
〈第3項〉
- 1 自ら治験を実施する者は、効果安全性評価委員会の了承のもとに、全ての審議及び会 合の記録を作成し、その記録を保存すること。
(副作用情報等)
第26条の6
- 第26条の6 自ら治験を実施する者は、治験使用薬の品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために必要な情報を収集し、及び検討するとともに、実施医療機関の長に対し、これを提供しなければならない。
- 2 自ら治験を実施する者は、治験使用薬について法第80条の2第6項に規定する事項を知ったときは、直ちにその旨を実施医療機関の長(一の実施計画書に基づき共同で複数の実施医療機関において治験を実施する場合には他の実施医療機関の治験責任医師を含む。)に通知しなければならない。
- 3 自ら治験を実施する者は、治験使用薬の品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために重要な情報を知ったときは、必要に応じ、治験実施計画書及び治験薬概要書を改訂しなければならない。
-
〈第1項〉
- 1 自ら治験を実施する者は、治験使用薬の安全性を継続的に評価する責任を有する。
- 2 自ら治験を実施する者は、被験者の安全に悪影響を及ぼし、治験の実施に影響を与え、又は治験継続に関する治験審査委員会の承認を変更する可能性のある情報を、実施医療機関の長に速やかに通知すること。
- 3 自ら治験を実施する者は、当該治験使用薬に係る品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために必要な情報を治験薬提供者からも収集し、検討すること。
- 4 自ら治験を実施する者は、治験薬提供者が行う当該治験使用薬に係る品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために必要な情報の収集に協力すること。
-
〈第2項〉
- 1 第2項の「法第80条の2第6項に規定する事項」とは、施行規則第273条第1項及び第2項に規定する事項である。
- 2 通知するに当たっては、「治験中に得られる安全性情報の取り扱いについて」(平成7年3月20日付け薬審第227号厚生省薬務局審査課長通知)、「独立行政法人医薬品医療機器総合機構に対する治験副作用等報告について」(令和2年8月31日付け薬生発0831第8号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)、「自ら治験を実施した者による治験副作用等報告について」(令和2年8月31日付け薬生薬審発0831第13号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)、「治験副作用等症例の定期報告に係る留意事項について」(令和2年8月31日付け薬生薬審発0831第14号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)等を参照のこと(通知すべき副作用等の範囲及び取扱いについては施行規則第273条第1項及び第2項の定めによること。)。
- 3 あらかじめ、自ら治験を実施する者、治験審査委員会等及び実施医療機関の長の合意が得られている場合においては、第26条の6第2項に関する通知に限り、自ら治験を実施する者は、実施医療機関の長に加えて治験審査委員会等にも同時に通知することができる。また、この場合においては、第40条第1項の規定に基づき実施医療機関の長が治験審査委員会等に文書により通知したものとみなす。
-
〈第3項〉
- 1 第3項の規定により治験実施計画書の改訂を行う場合には、第15条の4第1項に定める手続きを準用すること。
- 2 自ら治験を実施する者は、新たな情報が得られた場合等には、手順書に従って、治験薬概要書を改訂すること。なお、新たな重要な情報が得られた場合には、治験薬概要書の改訂に先立って、実施医療機関の長及び規制当局にこれらの情報を報告すること(第15条の5第2項参照)。
(モニタリングの実施)
第26条の7
- 第26条の7 自ら治験を実施する者は、モニタリングに関する手順書を作成し、第27条第1項の治験審査委員会の意見を踏まえて、当該手順書に従って、モニタリングを実施させなければならない。
- 2 モニターは、モニタリングの対象となる実施医療機関においてその対象となる治験に従事してはならない。
- 3 第1項の規定によりモニタリングを実施する場合には、実施医療機関において実地に行わなければならない。ただし、他の方法により十分にモニタリングを実施することができる場合には、この限りではない。
-
〈第1項〉
- 1 自ら治験を実施する者は、被験者の人権の保護、安全の保持及び福祉の向上が図られていること、治験が最新の治験実施計画書及び本基準を遵守して実施されていること、治験責任医師又は治験分担医師から報告された治験データ等が正確かつ完全で原資料等の治験関連記録に照らして検証できることを確認するため、モニタリングを実施させること。
- 2 自ら治験を実施する者は、治験のモニタリングの実施に当たって、優先順位を考慮し、リスクに基づく体系的な取組みを策定すべきである。リスクに基づくモニタリングについては、「リスクに基づくモニタリングに関する基本的考え方について」を参照のこと。
モニタリングの有効性及び効率性を改善する様々な取組みを許容することを意図し、本項で説明するモニタリングの範囲及び内容は、柔軟なものとしている。
自ら治験を実施する者は、オンサイトモニタリング、オンサイトモニタリングと中央モニタリングの組合せ又は、正当な場合には、中央モニタリングを選択することができる。自ら治験を実施する者は、選択したモニタリング戦略の根拠を文書化すべきである(モニタリング計画書への記載等)。 - 3 自ら治験を実施する者は、治験を十分にモニタリングするために必要な科学的及び臨床的知識を有するモニターを指名すること。
- 4 自ら治験を実施する者は、モニタリング、監査並びに治験審査委員会及び規制当局の調査時に治験責任医師及び実施医療機関が原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供することを、治験実施計画書又は他の合意文書に明記すること。
- 5 自ら治験を実施する者は、モニタリング、監査並びに治験審査委員会及び規制当局の調査時に、被験者の医療に係る原資料が直接閲覧されることについて、各被験者が文書により同意していることを確認すること。
- 6 自ら治験を実施する者は、モニターが実施医療機関及び治験の実施に係るその他の施設を訪問し、原資料を直接閲覧すること等により治験が適切にモニタリングされていることを保証すること。また、治験の目的、デザイン、盲検性、被験者に対する危険性のレベル、規模及びエンドポイント、当該実施医療機関及び治験の実施に係るその他の施設における実績等を考慮してモニタリングの適切な範囲及び方法を決定することとし、被験者保護及びデータの完全性に関する治験固有のリスクに応じたモニタリング計画書を作成すること。
モニタリング計画書では、モニタリング戦略、モニタリングにおける全ての関係当事者の責務、使用する様々なモニタリング方法及びその使用根拠について説明するとともに、重要なデータ及びプロセスのモニタリングについても強調して説明すべきである。なお、実施医療機関及びその他の施設において、治験の品質保証及び品質管理が適切に履行できる場合にあっては、必ずしも全ての治験データ等について原資料の照合等の実施を求めるものではないこととする。 - 7 モニターは、治験使用薬、治験実施計画書、説明・同意文書、自ら治験を実施する者の手順書及び本基準を熟知し、これに従うこと。
- 8 モニターは、治験審査委員会で承認された、自ら治験を実施する者が作成した手順書及び当該治験のモニタリングに関して自ら治験を実施する者が特に定める手順に従うこと。
- 9 モニターは、次の事項が当該治験及び当該治験の実施に係る施設に関して適切でかつ必要である場合には、自ら治験を実施する者の要求に従ってそれらを行うことにより、治験が適正に実施され、必要な事項が正確に記録されていることを保証すること。
- (1)実施医療機関及び治験責任医師が治験を適切に実施するのに求められる要件を満たし、それが治験期間を通して維持されていること、また検査室や必要な装置及びスタッフを含む設備が、治験を安全かつ適正に実施するのに十分であり、それが治験期間を通して継続されていることを確認すること。
- (2)治験使用薬に関し下記の点を確認すること。
- ① 保存期間、保存条件が許容できるものであり、治験期間を通して十分な量が入手されていること。
- ② 治験使用薬が適格な被験者のみに、治験実施計画書で規定された用量で投与されていること。
- ③ 被験者に対し、治験使用薬の適正な使用、取扱い、保存及び返却に関して必要な指示が与えられていること。
- ④ 実施医療機関及び治験の実施に係るその他の施設での治験使用薬の取扱い、保管及び管理が本基準及び自ら治験を実施する者の定めるところに従って適切に行われ、記録されていること。
- (3)治験責任医師等が実施医療機関の長の指示、決定及び承認された治験実施計画書に従って治験を実施していることを確認すること。
- (4)各被験者から、治験に参加する前に、治験への参加について自由意思による同意が文書により得られていることを確認すること。
- (5)治験責任医師が治験を適正に実施し、本基準を遵守するのに必要な治験薬概要書又は科学的知見を記載した文書の最新版等全ての文書及びその他の供給物を受領していることを確認すること。
- (6)実施医療機関の長、治験分担医師、治験協力者及び治験薬管理者等が治験について十分情報を得ていることを確認すること。
- (7)治験責任医師、治験分担医師、治験協力者及び治験薬管理者等が治験実施計画書及び他の合意文書に基づいて治験における各々の役割を果たしており、このような役割を事前に取り決められた者以外に委任していないことを確認すること。
- (8)治験責任医師等が適格な被験者のみを治験に組み入れていることを確認すること。
- (9)正確かつ完全で、最新に至る原資料等の全ての治験関連記録が作成、保存されていることを確認すること。
- (10)実施医療機関の長及び治験責任医師又は治験分担医師が本基準で要求される全ての報告、通知及び提出を行い、それらの文書が正確、完全で、適切な時期に行われ、読みやすく、日付が記載されており、該当する治験を識別できることを確認すること。
- (11)症例報告書の内容と原資料等の治験関連記録類を相互に照合し、これらが正確であることを確認すること。その際、モニターは特に次の点を確認すること。
- ① 治験実施計画書が要求するデータが症例報告書に正確に記載され、それらが原資料と一致していること。
- ② 用量又は治療法の変更があった場合には、その全てが各々の被験者について記録されていること。
- ③ 有害事象、併用療法及び併発症が治験実施計画書に従って症例報告書に記載されていること。
- ④ 被験者が規定どおりに来院しなかった日、実施されなかった試験及び検査が症例報告書に明確に記載されていること。
- ⑤ 登録された被験者の全ての中止例、脱落例が症例報告書に記載され、その理由等が説明されていること。
- (12)治験責任医師に、症例報告書の記載ミス、記載漏れ又は判読不能事項を全て知らせること。また、適切な修正、追記又は削除がなされ、日付が記入され、それらが重大な場合にはその理由等が説明されており、かつ治験責任医師又は症例報告書を作成した治験分担医師によって、押印又は署名されていることを確認すること。
- (13)全ての有害事象が、治験実施計画書、治験審査委員会及び本基準によって要求されている期間内に適切に報告されていることを確認すること。
- (14)実施医療機関において保存すべき文書又は記録をそれぞれの保存責任者が保存していることを確認すること。
-
<第2項>
- 1 自ら治験を実施する者は、実施医療機関に属する者をモニターに指定する場合には、当該治験の実施(実施の準備及び管理を含む。)に従事しない者を選任すること。なお、実施医療機関外部にモニタリングを委託することも可能である。
-
<第3項>
- 1 モニタリングは、治験開始前、実施中及び終了後に実施医療機関及び治験に係るその他の施設において実地に行う必要がある。
- 2 「他の方法により十分にモニタリングを実施することができる場合」とは、例えば、治験責任医師等又は治験協力者等の会合及びそれらの人々に対する訓練や詳細な手順書の提供、統計学的にコントロールされた方法でのデータの抽出と検証、治験責任医師等との電話、ファックス等による連絡等の手段を併用することにより、治験の実施状況を調査し把握することが可能かつ適当である場合である。
(モニターの責務)
第26条の8
- 第26条の8 モニターは、モニタリングの結果、実施医療機関における治験がこの省令又は治験実施計画書に従って行われていないことを確認した場合には、その旨を直ちに当該実施医療機関の治験責任医師に告げなければならない。
- 2 モニターは、モニタリングを実地に実施したときは、その都度次に掲げる事項を記載したモニタリング報告書を自ら治験を実施する者及び当該モニタリングに係る実施医療機関の長に提出しなければならない。
- 1)モニタリングを行った日時
- 2)モニターの氏名
- 3)モニタリングの際に説明等を聴取した治験責任医師等の氏名
- 4)モニタリングの結果の概要
- 5)前項の規定により治験責任医師に告げた事項
- 6)前号の事項について講じられるべき措置及び当該措置に関するモニターの所見
-
〈第1項〉
- 1 モニターは、モニタリングの結果、本基準、治験実施計画書及び手順書からの逸脱事項を確認した場合には、治験責任医師及び必要に応じて実施医療機関の長に直ちに伝えること。また、そのような逸脱の再発を防止するための適切な措置を講じておくこと。
-
<第2項>
- 1 モニターは、実施医療機関において実地にモニタリングを行い、原資料を直接閲覧すること等により治験が適切に実施されていること及びデータの信頼性が十分に保たれていることを確認し、その都度モニタリング報告書を自ら治験を実施する者及び実施医療機関の長に提出すること。実地におけるモニタリング及び(又は)中央モニタリングの報告は、点検及びフォローアップを実行できるように、適切な時期に自ら治験を実施する者(治験及び実施医療機関に対する監督責任を有する適切な管理者及びスタッフを含む。)に提出すべきである。中央モニタリングの報告は、定期的に行い、実地におけるモニタリングとは独立して行うこともできる。
- 2 モニタリング報告書には、日時、場所(実施医療機関名)、モニターの氏名、治験責任医師又はその他の接触した相手の氏名、モニターが点検した内容の要約及び重要な発見事項又は事実、逸脱及び欠陥、結論、治験責任医師等に告げた事項並びに講じられた又は講じられる予定の措置及び本基準等の遵守を確保するために推奨される措置に関するモニターの見解等を記載すること。モニタリングの結果は、モニタリング計画書の遵守状況の検証に必要な情報を記録すべきである。
- 3 自ら治験を実施する者に指名された者は、モニタリング報告書に関して行った点検とフォローアップについて、文書化すること。
(監査)
第26条の9
- 第26条の9 自ら治験を実施する者は、監査に関する計画書及び業務に関する手順書を作成し、第27条第1項の治験審査委員会の意見を踏まえて、当該計画書及び手順書に従って監査を実施させなければならない。
- 2 監査担当者は、当該監査に係る治験を実施する医療機関において当該治験の実施(その準備及び管理を含む。)及びモニタリングに従事してはならない。
- 3 監査担当者は、監査を実施した場合には、監査で確認した事項を記録した監査報告書及び監査が実施されたことを証明する監査証明書を作成し、これを自ら治験を実施する者及び実施医療機関の長に提出しなければならない。
-
〈第1項〉
- 1 監査の目的は、治験の品質保証のために、治験が本基準、治験実施計画書及び手順書を遵守して行われているか否かを通常のモニタリング及び治験の品質管理業務とは独立・分離して評価することにある。
- 2 自ら治験を実施する者は、治験のシステム及び個々の治験に対する監査のそれぞれについて、監査の対象、方法及び頻度並びに監査報告書の様式と内容を記述した監査手順書を作成し、監査が当該手順書及び当該手順書に基づいた監査計画に従って行われることを保証すること。また、監査担当者の要件は、第1項の「業務に関する手順書」に記載されていること。監査の方法(直接閲覧の頻度を含む。)は、治験の内容(治験のデザイン、実施期間等)を考慮して手順書中に適切に設定すること。
- 3 治験のシステムに対する監査は、実施医療機関及び治験の実施に係るその他の施設における治験のシステムが適正に構築され、かつ適切に機能しているか否かを評価するために行うものである。
- 4 個々の治験に対する監査は、当該治験の規制当局に対する申請上の重要性、被験者数、治験の種類、被験者に対する治験の危険性のレベル及びモニタリング等で見出されたあらゆる問題点を考慮して、実施医療機関及び治験の実施に係るその他の施設に対する監査の対象及び時期等を決定した上で行うこと。
- 5 監査担当者は、必要に応じて実施医療機関において実地に監査を行い、原資料を直接閲覧すること等により治験が適切に実施されていること及びデータの信頼性が十分に保たれていることを確認すること。
- 6 自ら治験を実施する者は、モニタリング、監査並びに治験審査委員会及び規制当局の調査時に実施医療機関が原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供することを、治験実施計画書又は他の合意文書に明記すること。
- 7 自ら治験を実施する者は、モニタリング、監査並びに治験審査委員会及び規制当局の調査時に、被験者の医療に係る原資料が直接閲覧されることについて、各被験者が文書により同意していることを確認すること。
-
〈第2項〉
- 1 自ら治験を実施する者は、教育・訓練と経験により監査を適切に行いうる要件を満たしている者を監査担当者として指名すること。
- 2 自ら治験を実施する者は、実施医療機関に属する者を監査担当者に指定する場合には、当該治験の実施(実施の準備及び管理を含む。)及びモニタリングに従事しない者を選任すること。なお、実施医療機関外部に監査を委託することも可能である。
-
〈第3項〉
- 1 監査担当者は、監査の記録に基づき監査報告書を作成し、記名押印又は署名の上、自ら治験を実施する者及び実施医療機関の長に提出すること。監査報告書には、報告書作成日、被監査部門名、監査の対象、監査実施日、監査結果(必要な場合には改善提案を含む。)及び当該報告書の提出先を記載すること。
- 2 監査機能の独立性と価値を保つために、規制当局は、通常の調査の際には監査報告書の閲覧を求めないこととする。ただし、重大なGCP省令不遵守が認められる場合には、監査報告書の閲覧を求めることができる。上記1の監査の記録についても同様とする。
- 3 監査担当者は、監査を行った治験について、監査が実施されたことを証明する監査証明書を作成し、証明した日付、証明者を明記の上、自ら治験を実施する者及び実施医療機関の長に提出すること。
(治験の中止等)
第26条の10
- 第26条の10 自ら治験を実施する者は、実施医療機関がこの省令又は治験実施計画書に違反することにより適正な治験に支障を及ぼしたと認める場合(第46条に規定する場合を除く。)には、当該実施医療機関における治験を中止しなければならない。
- 2 自ら治験を実施する者は、治験を中断し、又は中止する場合には、速やかにその旨及びその理由を実施医療機関の長に文書により通知しなければならない。
- 3 自ら治験を実施する者は、当該治験により収集された臨床試験の試験成績に関する資料が法第14条第3項の申請書に添付されないことを知り得た場合には、その旨及びその理由を実施医療機関の長に文書により通知しなければならない。
-
〈第1項〉
- 1 自ら治験を実施する者は、モニタリング等により指摘を受ける等実施医療機関が本基準又は治験実施計画書に違反し、適正な治験に支障を及ぼしたと認める場合には、治験を中止すること。また、不遵守のため治験を中止した場合には、自ら治験を実施する者は規制当局に速やかに報告すること。
ただし、被験者の緊急の危険を回避するため、その他医療上やむを得ない理由のために治験実施計画書に従わなかった場合(第46条参照)を除く。
-
<第2項>
- 1 自ら治験を実施する者は、治験を中断し、又は中止する場合には、速やかにその旨及びその理由の詳細を実施医療機関の長に文書により通知すること。
- 2 自ら治験を実施する者は、治験を中止する場合、又は被験薬の品質、有効性及び安全性に関する問題により治験を中断する場合には、その旨及びその理由の詳細を規制当局にも文書により通知すること。
-
<第3項>
- 1 治験薬提供者は、自ら治験を実施する者が治験を実施した治験薬に係る医薬品についての製造販売の承認申請に関する情報を自ら治験を実施する者に提供すること。
- 1 自ら治験を実施する者は、治験を終了したとき、又は中止したときは、その結果等を取りまとめた総括報告書を手順書に従って作成すること。なお、多施設共同治験にあっては、各実施医療機関の自ら治験を実施する者が共同で作成することができる。
- 2 総括報告書の構成及び内容については、「治験の総括報告書の構成と内容に関するガイドライン」(平成8年5月1日付け薬審第335号厚生省薬務局審査課長通知)に従ったものであること。
- 3 総括報告書は、規制当局の求めに応じて提出できるよう保存すること。
- 4 総括報告書は、第26条の9第3項に規定する当該治験に係る監査証明書を添付して保存すること。
(記録の保存等)
第26条の12
- 第26条の12 自ら治験を実施する者は、次に掲げる治験に関する記録(文書及びデータを含む。)を、治験薬提供者が被験薬に係る医薬品についての製造販売の承認を受ける日(第26条の10第3項の規定により通知したときは、通知した日後3年を経過した日)又は治験の中止若しくは終了の後3年を経過した日のうちいずれか遅い日までの期間適切に保存しなければならない。
- 1)治験実施計画書、承認書、総括報告書その他この省令の規定により自ら治験を実施する者が作成した文書又はその写し
- 2)症例報告書、第32条第7項の規定により通知された文書その他この省令の規定により実施医療機関の長又は治験分担医師から入手した記録
- 3)モニタリング、監査その他の治験の実施の基準及び管理に係る業務の記録(前2号及び第5号に掲げるものを除く。)
- 4)治験を行うことにより得られたデータ
- 5)第26条の2第5項に規定する記録
- 1 自ら治験を実施する者は、本条の規定により、各号に掲げる治験に関する記録を当該被験薬に係る医薬品の製造販売承認日(第26条の10第3項の規定により、開発を中止した又は臨床試験の試験成績に関する資料が申請書に添付されないことを決定した旨の通知をした日から3年が経過した日)又は治験の中止若しくは終了の後3年を経過した日のうちいずれか遅い日までの期間適切に保存すること。
なお、当該記録の保存については、自ら治験を実施する者が実施医療機関の長にその業務を依頼することができる。また、当該自ら治験を実施する者が実施医療機関に所属しなくなった場合については、その所属する実施医療機関の長が当該記録の保存業務を担うことができる。 - 2 当該被験薬に係る医薬品が承認を受けた場合には、施行規則第101条の規定により、承認取得者は当該記録を所定の期間保存する必要があることから、治験薬提供者は当該記録の取扱いについて自ら治験を実施する者と契約を締結する等必要な措置を講じておくこと。
- 3 本条の「記録」には、磁気媒体等に記録されたデータを含むこと。データを適切に保存するためには、セキュリティシステムの保持、データのバックアップの実施等が必要であること。
- 4 自ら治験を実施する者は、実施医療機関及び当該治験に係る審査を行った治験審査委員会において保存すべき記録について、その保存の必要がなくなった場合には、その旨を実施医療機関の長及び治験審査委員会の設置者に通知すること。
- 5 自ら治験を実施する者は、データの処理に電子データ処理システム(遠隔操作電子データシステムを含む。)を用いる場合には、次の事項を実施すること。
- (1)電子データ処理システムが、完全性、正確性、信頼性及び意図された性能についての自ら治験を実施する者の要件を満たしていることを保証し、文書化すること(すなわちバリデーションされること。)。なお、その際には、システムの用途並びにシステムが被験者保護及び治験結果の信頼性に影響を与える可能性を考慮したリスク評価に基づいて行うこと。
- (2)当該システムを使用するための手順書を整備すること。当該手順書の対象範囲にはシステムのセットアップ、インストール及び使用方法を含むものとする。当該手順書には、システムバリデーション及び機能テスト、データの収集及び取扱い、システムの維持管理、システムの安全対策、変更管理、データのバックアップ、修復、危機管理計画並びにシステムの廃棄について記載すべきである。これらの電子データ処理システムの使用に関する自ら治験を実施する者、治験責任医師その他の当事者の責務は明確に示し、使用者に対し、システムの使用に関する教育・訓練を提供すべきである。
- (3)当該システムが、入力済みのデータを消去することなしに修正が可能で、データ修正の記録をデータ入力者及び修正者が識別されるログとして残せる(すなわち監査証跡、データ入力証跡、修正証跡が残る)ようにデザインされていることを保証すること。
- (4)データのセキュリティシステムを保持すること。
- (5)データのバックアップを適切に行うこと。
- (6)データの修正を行う権限を与えられた者の名簿を作成し、管理すること。
- (7)データの背景、内容及び構成を説明する全てのデータを含め、データの完全性を保証すること。この点は、ソフトウェアのアップグレード又はデータの移行等、電子データ処理システムを変更する場合に、特に重要である。
- (8)盲検化が行われている場合には、盲検性が保持されるようにすること。
- 6 自ら治験を実施する者は、処理中にデータの変換を行う場合には、処理前のデータと処理後のデータを常に対比し得ることを保証すること。
- 7 自ら治験を実施する者は、各被験者について報告された全てのデータの識別を可能にする明確な被験者識別コードを用いること。
4.第四章 治験を行う基準
4-1 第一節 治験審査委員会
(治験審査委員会の設置)
第27条
- 第27条 実施医療機関の長は、治験を行うことの適否その他の治験に関する調査審議を次に掲げるいずれかの治験審査委員会に行わせなければならない。
- 1)実施医療機関の長が設置した治験審査委員会
- 2)一般社団法人又は一般財団法人が設置した治験審査委員会
- 3)特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)第2条第2項に規定する特定非営利活動法人が設置した治験審査委員会
- 4)医療関係者により構成された学術団体が設置した治験審査委員会
- 5)私立学校法(昭和24年法律第270号)第3条に規定する学校法人(医療機関を有するものに限る。)が設置した治験審査委員会
- 6)独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条第1項に規定する独立行政法人(医療の提供等を主な業務とするものに限る。)が設置した治験審査委員会
- 7)国立大学法人法(平成15年法律第112号)第2条第1項に規定する国立大学法人(医療機関を有するものに限る。)が設置した治験審査委員会
- 8)地方独立行政法人法(平成15年法律第118号)第2条第1項に規定する地方独立行政法人(医療機関を有するものに限る。)が設置した治験審査委員会
- 2 前項第2号から第4号までに掲げる治験審査委員会は、その設置をする者(以下「治験審査委員会の設置者」という。)が次に掲げる要件を満たすものでなければならない。
- 1)定款その他これに準ずるものにおいて、治験審査委員会を設置する旨の定めがあること。
- 2)その役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。次号において同じ。)のうちに医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療関係者が含まれていること。
- 3)その役員に占める次に掲げる者の割合が、それぞれ3分の1以下であること。
- イ 特定の医療機関の職員その他の当該医療機関と密接な関係を有する者
- ロ 特定の法人の役員又は職員その他の当該法人と密接な関係を有する者
- 4)治験審査委員会の設置及び運営に関する業務を適確に遂行するに足りる財産的基礎を有していること。
- 5)財産目録、貸借対照表、損益計算書、事業報告書その他の財務に関する書類をその事務所に備えて置き、一般の閲覧に供していること。
- 6)その他治験審査委員会の業務の公正かつ適正な遂行を損なうおそれがないこと。
-
〈第1項〉
- 1 実施医療機関の長は、次の(1)から(8)に掲げる治験審査委員会より、治験ごとに適切な治験審査委員会を選択し、調査審議の依頼を行うこと。
- (1)実施医療機関の長が設置した治験審査委員会(複数の医療機関の長が共同で設置したもの及び他の医療機関の長が設置したものを含む。)(第1号)
- (2)一般社団法人又は一般財団法人(以下「一般社団法人等」という。)が設置した治験審査委員会(第2号)
- (3)特定非営利活動促進法の規定により設立された特定非営利活動法人が設置した治験審査委員会(第3号)
- (4)医療関係者により構成された学術団体が設置した治験審査委員会(第4号)
- (5)学校法人のうち附属病院等を有する私立大学が設置した治験審査委員会(第5号)
- (6)独立行政法人のうち医療の提供等を主な業務とする独立行政法人(独立行政法人国立病院機構本部、独立行政法人労働者健康福祉機構本部等)が設置した治験審査委員会(第6号)
- (7)国立大学法人のうち附属病院等を有する国立大学が設置した治験審査委員会(第7号)
- (8)地方独立行政法人のうち附属病院等を有する公立大学等の地方独立行政法人が設置した治験審査委員会(第8号)
- 2 実施医療機関の長は、適切な治験審査委員会を選択するために必要な手順を定めるとともに、調査審議を行うために十分な人員が確保され、かつ、倫理的、科学的及び医学的・薬学的観点から審議及び評価することができる治験審査委員会を、治験ごとに適切に選択し、調査審議の依頼を行うこと。
また、実施医療機関の長は、治験審査委員会に関する必要な情報を入手する等して、治験の開始から終了に至るまで一貫性のある調査審議を行うことができる治験審査委員会を選択し、調査審議の依頼を行うこと。 - 3 治験審査委員会は、以下の事項を適切に判断できるものであること。
- (1)実施医療機関が十分な臨床観察及び試験検査を行うことができるか否か。
- (2)緊急時に必要な措置を採ることができるか否か。
- (3)治験責任医師等が当該治験を実施する上で適格であるか否か。
- (4)その他調査審議の対象となる治験が倫理的及び科学的に妥当であるか否か及び当該治験が当該実施医療機関において実施又は継続するのに適当であるか否か。
- 4 治験審査委員会は、上記3の(1)から(4)までの判断を行うに当たり、当該実施医療機関の職員等から必要な情報を入手する等により、これを的確に行うこと。
- 1 第1号においては、治験審査委員会の設置及び運営は、公益事業、特定非営利活動に係る事業等として行われるべきものであり、収益事業として行われるべきではないことから、定款又は前項第4号の学術団体(以下「学会」という。)のうち法人格を有しないものにあってはこれに準ずるものにおいて、治験審査委員会を設置及び運営する旨を公益事業、特定非営利活動に係る事業等として明記すること。なお、治験審査委員会の設置及び運営に係る具体的内容については、定款等に明記することで差し支えないこと。
治験審査委員会の設置及び運営が一般社団法人等又は特定非営利活動法人の目的を達成するために必要な事業であるか否かは、あらかじめ、それぞれ当該法人の主務官庁又は所轄庁に確認しておくことが適当である。 - 2 第3号は、被験者の安全性や治験の信頼性が損なわれるおそれがないよう役員構成について一定の要件を求めたものである。
- (1)第3号イの「当該医療機関と密接な関係を有する者」には、当該医療機関を設置する者(法人である場合は、その役員)、当該医療機関の長その他当該医療機関と雇用関係のある者等が含まれる。
- (2)第3号ロの「特定の法人」には、営利法人のみならず、一般社団法人等、特定非営利活動法人その他の非営利法人を含む。また、「当該法人と密接な関係を有する者」には、当該法人の役員及び職員のほか、当該法人の子会社の役員、職員等当該法人に対し、従属的地位にある者を含む。
- 3 第4号の趣旨は、治験審査委員会を設置する者(以下「治験審査委員会の設置者」という。)は、会費収入、財産の運用収入、恒常的な賛助金収入等の安定した収入源を有するものであること。ただし、製薬企業、開発業務受託機関(CRO)、治験施設支援機関(SMO)、医薬品に係る業界団体等からの賛助金(物品の贈与、便宜の供与等を含む。)等については、治験審査委員会による治験の実施又は継続の適否についての意見に影響が及ばないと一般に認められる範囲にとどめること。
- 4 第5号は、法人格を有しない学会においては、第5号に掲げる書類に準ずる財務に関する書類を事務所に備えて置き、一般の閲覧に供することが必要である。
- 5 第6号の「その他治験審査委員会の業務の公正かつ適正な遂行を損なうおそれがないこと」には以下の事項が含まれる。
- (1)治験審査委員会の設置者の役員に、当該治験審査委員会に調査審議の依頼を行う実施医療機関の長又は当該実施医療機関の治験責任医師、治験分担医師若しくは治験協力者又は当該治験審査委員会による調査審議の対象となる治験の治験依頼者の役員、職員その他の治験依頼者と密接な関係を有する者若しくは自ら治験を実施する者その他の自ら治験を実施する者と密接な関係を有する者を含んでいないこと。なお、完全に含まないことが現実的でなく、一部含んでいたとしても調査審議に透明性・中立性が確保されることが保証される場合にあっては、その限りでない。
ただし、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の一部を改正する省令(平成20年厚生労働省令第24号)による改正前のGCP省令第27条第1項の規定により、当該実施医療機関に治験審査委員会を設置することができないと判断した場合であって、当該実施医療機関の長が役員となっている一般社団法人等、特定非営利活動法人又は学会が設置する治験審査委員会に調査審議を行わせる場合には、この限りではない。 - <参考>
- 第27条 実施医療機関の長は、治験を行うことの適否その他の治験に関する調査審議を行わせるため、実施医療機関ごとに一の治験審査委員会を設置しなければならない。ただし、当該実施医療機関が小規模であること、医療又は臨床試験に関する専門的知識を有する者の確保が困難であることその他の事由により当該実施医療機関に治験審査委員会を設置することができない場合において、当該治験審査委員会の設置に代えて次に掲げる治験審査委員会に当該調査審議を行わせるときはこの限りでない。
- 1)当該実施医療機関の長が他の医療機関の長と共同で設置した治験審査委員会
- 2)民法(明治29年法律第89号)第34条の規定により設立された法人が設置した治験審査委員会
- 3)特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)第2条第2項に規定する特定非営利活動法人が設置した治験審査委員会
- 4)医療関係者により構成された学術団体が設置した治験審査委員会
- 5)他の医療機関の長が設置した治験審査委員会(第1号に掲げるものを除く。)
- 2 (略)
- (2)治験審査委員会の設置者の役員に、当該治験審査委員会による調査審議の対象となる治験との関連の有無を問わず、製薬企業、開発業務受託機関(CRO)、治験施設支援機関(SMO)、医薬品に係る業界団体等の医薬品の開発に関わる営利法人や営利団体の役員、職員その他の当該法人又は団体と密接な関係を有する者を含んでいないこと。
- (3)治験審査委員会の設置者の役員に、一般社団法人等、特定非営利活動法人及び学会のうち、当該法人等の事業として当該治験審査委員会による調査審議の対象となる治験における薬物の開発に関連する事業を行うものの役員、職員又は会員その他当該法人等と密接な関係を有する者を含んでいないこと。
- (4)治験審査委員会の設置者の役員構成は、上記(1)から(3)に定めるほか、被験者の安全性や治験の信頼性が損なわれるおそれがあるとの疑念を抱かせるものでないこと。
- (5)治験審査委員会の設置者が収益事業を行う場合においては、当該収益事業は、以下の条件を満たす必要があること。
- ① 治験審査委員会の設置及び運営に必要な財産、資金、要員、施設等を圧迫するものでないこと。
- ② 収益事業の経営は健全なものであり、赤字を生じないこと。
- ③ 収益事業からの収入については、一般社団法人等、特定非営利活動法人又は学会の健全な運営のための資金等に必要な額を除き、治験審査委員会の設置及び運営を含む公益事業、特定非営利活動に係る事業等に用いること。
- (6)治験審査委員会の運営を有償で行う場合は、実施医療機関からの審査料を対価とすること。この場合においては、対価の引下げ、治験審査委員会の質の向上のための人的投資等により収入と支出の均衡を図り、一般社団法人等、特定非営利活動法人又は学会の健全な運営に必要な額以上の利益を生じないようにすること。
- (7)役員、社員又は職員等の人件費、退職金等は、一般社団法人等、特定非営利活動法人又は学会の資産及び収支の状況並びに民間の給与水準と比べて不当に高額に過ぎないものであること。また、治験審査委員会の委員への報酬(旅費、日当等を含む。)は、一般の標準的な額から不当に高額に過ぎないものであること。さらに、人件費の管理費に占める割合が適正なものであること。
- (8)治験の開始から終了に至るまで、継続的に治験に関する調査審議を行う体制を整えていること。特定非営利活動法人及び法人格を有しない学会においては、合併の規定を設けることが望ましいこと。
- (9)治験審査委員会の設置者の行う事業として、調査審議の対象となる治験に係る薬物の開発に関わっていないこと。この場合の「調査審議の対象となる治験に係る薬物の開発」とは、当該治験の広告業務、治験施設支援機関の業務等を含む。
- (10)調査審議の対象となる治験に関連する製薬企業、開発業務受託機関(CRO)、治験施設支援機関(SMO)その他当該治験と利害関係を有する者からの賛助金等(物品の贈与、便宜の供与等を含む。)を受けていないこと。ただし、適切な利益相反マネジメントの実施等により、治験審査委員会による治験の実施又は継続に係る意見に影響が及ばないと一般に認められる場合はこの限りでない。
- (11)調査審議の対象となる治験に関連する営利企業の株式を保有していないこと。ただし、適切な利益相反マネジメントの実施等により、治験審査委員会による治験の実施又は継続に係る意見に影響が及ばないと一般に認められる場合はこの限りでない。
- (12)治験審査委員会の設置者が公益法人である場合にあっては、「公益法人の設立許可及び指導監督基準」(平成8年9月20日閣議決定)に定める基準に適合していること。
○ 改正前のGCP省令(抜粋)
(治験審査委員会の設置)
- (1)治験審査委員会の設置者の役員に、当該治験審査委員会に調査審議の依頼を行う実施医療機関の長又は当該実施医療機関の治験責任医師、治験分担医師若しくは治験協力者又は当該治験審査委員会による調査審議の対象となる治験の治験依頼者の役員、職員その他の治験依頼者と密接な関係を有する者若しくは自ら治験を実施する者その他の自ら治験を実施する者と密接な関係を有する者を含んでいないこと。なお、完全に含まないことが現実的でなく、一部含んでいたとしても調査審議に透明性・中立性が確保されることが保証される場合にあっては、その限りでない。
-
〈第2項〉
(治験審査委員会の構成等)
第28条
- 第28条 治験審査委員会は、次に掲げる要件を満たしていなければならない。
- 1)治験について倫理的及び科学的観点から十分に審議を行うことができること。
- 2)5名以上の委員からなること。
- 3)委員のうち、医学、歯学、薬学その他の医療又は臨床試験に関する専門的知識を有する者以外の者(次号及び第5号の規定により委員に加えられている者を除く。)が加えられていること。
- 4)委員のうち、実施医療機関と利害関係を有しない者が加えられていること。
- 5)委員のうち、治験審査委員会の設置者と利害関係を有しない者が加えられていること。
- 2 治験審査委員会の設置者は、次に掲げる事項について記載した手順書、委員名簿並びに会議の記録及びその概要を作成し、当該手順書に従って業務を行わせなければならない。
- 1)委員長の選任方法
- 2)会議の成立要件
- 3)会議の運営に関する事項
- 4)第31条第1項の適否の審査の実施時期に関する事項
- 5)会議の記録に関する事項
- 6)記録の保存に関する事項
- 7)その他必要な事項
- 3 治験審査委員会の設置者は、前項に規定する当該治験審査委員会の手順書、委員名簿及び会議の記録の概要を公表しなければならない。
- 4 治験審査委員会の設置者は、治験審査委員会の事務を行う者を選任しなければならない。
-
〈第1項〉
- 1 治験審査委員会は、治験について倫理的、科学的及び医学的・薬学的観点から審議及び評価するのに必要な資格及び経験を、委員会全体として保持できる適切な数の委員により構成するものとし、次に掲げる条件を全て満たしていること。
- (1)少なくとも5人の委員からなること。
- (2)少なくとも委員の1人は、医学・歯学・薬学等の自然科学以外の領域に属していること。
- (3)少なくとも委員((2)に定める委員を除く。)の1人は、実施医療機関及び治験の実施に係るその他の施設と関係を有していないこと。
- (4)少なくとも委員((2)に定める委員を除く。)の1人は、治験審査委員会の設置者と関係を有していないこと。
- 2 治験審査委員会の委員は、実施医療機関の長又は第27条第1項の治験審査委員会の設置者が選任すること。
- 3 委員の数は、少なくとも5名と規定しているが、委員の数がこれよりも多い場合には、同項第3号、第4号又は第5号の委員の数を増やす等により、委員構成を適正な割合に保つことが必要である。
- 4 実施医療機関の長は、自らが設置する治験審査委員会に出席することはできるが、委員になること並びに審議及び採決に参加してはならない。
- 5 実施医療機関の職員等は、「実施医療機関と利害関係を有しない者」に該当しない。
ただし、例えば、実施医療機関が複数の学部を有する大学の医学部の附属病院である場合に、他学部(法学部等)の教員で実施医療機関と業務上の関係のない場合には、「実施医療機関と利害関係を有しない者」の対象と考えられる。 - 6 第4号及び第5号に該当する委員は、同一人物であることもあり得るが、別人であるか複数であることが望ましい。
- 7 治験審査委員会の設置者の役員、職員又は会員等は、「治験審査委員会の設置者と利害関係を有しない者」に該当しない。
- 8 治験審査委員会の各委員は、ヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則、GCP省令、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律、その他治験に係る法令及び行政通知等の内容を理解していること。
- 9 治験審査委員会は、男女両性で構成されることが望ましい。
- 10 治験審査委員会は、委員以外の特別な分野の専門家に出席を求め、その協力を得ることができる。
-
〈第2項〉
- 1 治験審査委員会の設置者は、治験審査委員会と協議の上、通常の手続きに関する手順書、委員名簿並びに会議の記録及びその概要を作成すること。
- 2 上記1の手順書には、以下の事項を含む手続きを規定すること。また、専門治験審査委員会にあっては、治験の実施又は継続の適否の判断の前提となる特定の専門的事項に関する調査審議の手続きについて以下の事項を準用すること。
- (1)委員長の選任方法
- (2)会議の成立要件
- (3)会議の運営に関する事項
- ① 会議の開催日程を決定し、委員に通知し、会議を運営すること。
- ② 治験審査委員会が、次の事項について実施医療機関の長に速やかに文書をもって確実に通知すること。
- ア 治験に関する治験審査委員会の決定
- イ 決定の理由
- ウ 委員会の決定に対する異議申立て手続き
- ③ 治験に関する治験審査委員会の意見に関する事項(原則として、次のいずれかに該当するかを示す等)
- ア 承認する。
- イ 修正の上で承認する。
- ウ 却下する。
- エ 既に承認した事項を取り消す(治験の中断又は中止を含む。)。
なお、専門治験審査委員会においては、治験の実施又は継続の適否の判断の前提となる特定の専門的事項について、上記の意見の提示の仕方が適切でない場合は、上記以外の陳述等により意見を述べることも妨げられるものではない。
- ④ 治験審査委員会により既に承認された進行中の治験に関わる軽微な変更に関して、迅速審査と承認を行う場合の条件(迅速審査の適用範囲、判断する者、審査方法、次回に開催される治験審査委員会への報告等)を定めること。
なお、この場合の「進行中の治験に関わる軽微な変更」とは、治験の実施に影響を与えない範囲で、被験者に対する精神的及び身体的侵襲の可能性がなく、被験者への危険を増大させない変更をいう。 - ⑤ その他会議の運営について必要な事項
- (4)第31条第1項の継続審査(治験を継続して行うことの適否に関する審議)の実施時期に関する事項
- ① 継続審査について、適切な頻度を決定すること。
- ② 治験審査委員会は、実施中の各治験について、被験者に対する危険の程度に応じて、治験の期間が1年を超える場合には少なくとも1年に1回以上の頻度で治験が適切に実施されているか否かを継続的に審査すること。必要に応じて、治験の実施状況について調査すること。
- (5)会議の記録及びその概要に関する事項
- (6)記録の保存に関する事項
- (7)その他必要な事項
- ① 治験審査委員会が治験の実施を承認し、これに基づく実施医療機関の長の指示、決定が文書で通知される前に被験者を治験に参加させないよう求める規定を定めること。
- ② 被験者に対する緊急の危険を回避するため等医療上やむを得ない場合、又は変更が事務的事項に関するものである場合(例:治験依頼者の組織・体制の変更、実施医療機関の名称・診療科名の変更、実施医療機関及び治験依頼者の所在地又は電話番号の変更、モニターの変更)を除き、治験審査委員会から承認の文書を得る前に治験実施計画書からの逸脱又は変更を開始しないよう求める規定を定めること。
- ③ 治験責任医師又は治験依頼者が以下の事項を実施医療機関の長を経由して治験審査委員会に速やかに文書で報告するよう求める規定を定めること。
- ア 被験者に対する緊急の危険を回避する等医療上やむを得ない事情のために行った治験実施計画書からの逸脱又は変更
- イ 被験者に対する危険を増大させるか又は治験の実施に重大な影響を及ぼす治験に関するあらゆる変更
- ウ 全ての重篤で予測できない副作用等
- エ 被験者の安全又は当該治験の実施に悪影響を及ぼす可能性のある新たな情報
- オ 治験期間中、審査の対象となる文書が追加、更新又は改訂された場合は、これを速やかに提出するよう求める規定を定めること。
- ④ 被験者に対して直接の臨床的利益が期待できない非治療的な内容の治験であって、被験者の同意を得ることが困難な者を対象とすることが予測される治験(第7条第2項又は第15条の4第2項参照)について承認する場合には、かかる被験者の参加を承認する旨を承認文書に記載する旨の規定を定めること。
- ⑤ 緊急状況下における救命的な内容の治験において、被験者による事前の同意を得ることが不可能で、かつ、被験者の代諾者と連絡がとれない場合にも治験が行われることが予測される治験(第7条第3項、第15条の4第3項及び第55条第2項参照)について承認する場合には、かかる場合に、治験責任医師等が速やかに被験者又は代諾者となるべき者に対して説明した経緯と結果を治験審査委員会に報告するよう承認文書に記載する旨の規定を定めること。
- ⑥ 第32条第3項の規定により、治験審査委員会が事態の緊急性ゆえに速やかに意見を述べなければならない事項について、あらかじめ、第28条第2項に規定する手順書により明確にしておくことが適当であること。
- 3 第2号の「会議の成立要件」は、少なくとも第1項の要件を満たし、第1項第3号から第5号の委員の出席の扱いを明確にしておく必要があること。被験者の人権の保護に係る事項を調査審議する治験審査委員会の責務に鑑み、これらの委員の出席は、会議の成立に欠かせないものであること。また、「会議の成立要件」には、審議及び採決には委員名簿の過半数ただし最低でも5名以上の委員の出席が必要である旨を明確にしておく必要がある。
- 4 治験審査委員会は、調査審議を行おうとする全ての治験について、適切に対応した手順書、委員名簿を備えておくこと。
- 5 治験審査委員会の設置者が、多数の委員候補を常時確保し、その中から新たに調査審議を行おうとする治験ごとに適切な委員を選任し、委員名簿を作成することは差し支えないこと。当該委員名簿の委員構成は治験の開始から終了に至るまで一貫性のある調査審議を行うことができるものであること。この場合にあっても、委員名簿の過半数の委員が出席していること及び第28条第1項を満たしていること。
- 6 治験審査委員会の設置者は、以下の(1)から(3)を踏まえて会議の記録の概要を作成すること。
なお、進行中の治験に関わる軽微な変更の迅速審査については、その結果を治験審査委員会へ報告することが手順書で規定されている場合には、会議の記録の概要を作成する必要はないこと。- (1)「会議の記録の概要」には、開催日時、開催場所、出席委員名、議題及び審議結果を含む主な議論の概要が含まれること。
- (2)上記(1)の議題には、成分記号(一般名が付されている場合にはその名称を含む。)、治験依頼者名又は自ら治験を実施する者の氏名、開発の相及び対象疾患名(第Ⅲ相試験に限る。)が含まれること。
なお、議題の例としては、「○○○株式会社の依頼による肺がん患者を対象としたABC-123(一般名)の第Ⅲ相試験」等が考えられること。 - (3)上記(1)の審議結果を含む主な議論の概要については、単に審議結果のみを記載するのではなく、質疑、応答等の主な内容を簡潔に記載すること。
なお、特に議論がなかった場合には、審議結果のみ記載することで差し支えないこと。
- 7 第3号の「会議の運営に関する事項」には、既に承認された進行中の治験に係る軽微な変更について迅速審査を行う場合の条件等の事項が含まれていること。
- 8 第5号の「会議の記録」には、審議の結論(承認、不承認等)だけでなく、審議及び採決に参加した委員名及び議事要旨が記載されていること。
-
<第3項>
- 1 治験審査委員会の設置者は、治験審査委員会の手順書、委員名簿及び会議の記録の概要(以下「治験審査委員会の手順書等」という。)を公表するための必要な手順を定めておくこと。
- 2 治験審査委員会の設置者は、治験審査委員会の開催(生物学的同等性試験等の調査審議のために開催した場合を含む。)ごとに、その会議の記録の概要を公表すること。
- 3 治験審査委員会の手順書等は、実施医療機関等のホームページで公表することが望ましいが、ホームページを有しない場合には、治験審査委員会の手順書等を事務所に備えて置くこと等により一般の閲覧に供していることで差し支えないこと。
- 4 委員名簿には、職業、資格及び所属が含まれること。委員が資格等を特に有していない場合には、その部分について記載の必要はないこと。
- 5 治験審査委員会の設置者は、治験依頼者等より、上記〈第2項〉6の会議の記録の概要に治験依頼者等の知的財産権を侵害する内容が含まれていないか事前に確認したい旨の求めがあった場合には、求めに応じるとともに、必要があればマスキング等の措置を講じた上で公表すること。
- 6 治験審査委員会の設置者は、治験審査委員会の手順書又は委員名簿の変更があった場合には、直ちに、既存の公表内容を更新するとともに、その履歴が確認できるよう記録を残しておくこと。
また、会議の記録の概要については、治験審査委員会の開催後2か月以内を目途に公表すること。 - 7 治験審査委員会の設置者は、実施医療機関の長が適切な治験審査委員会を選択できるよう、治験審査委員会の開催予定日について、あらかじめ公表することが望ましいこと。
-
〈第4項〉
- 1 治験審査委員会の設置者は、治験審査委員会の事務を行う者を選任し、その組織(以下「治験審査委員会事務局」という。)を設けること。
- 2 治験審査委員会事務局は、第38条の「治験に係る業務に関する事務を行う者」が兼ねることができる。
(治験審査委員会の会議)
第29条
- 第29条 次に掲げる委員は、審査の対象となる治験に係る審議及び採決に参加することができない。
- 1)治験依頼者の役員又は職員その他の治験依頼者と密接な関係を有する者
- 2)自ら治験を実施する者又は自ら治験を実施する者と密接な関係を有する者
- 3)実施医療機関の長、治験責任医師等又は治験協力者
- 2 審議に参加していない委員は、採決に参加することができない。
-
〈第1項〉
- 1 当該治験の治験依頼者又は治験責任医師と関係のある委員は、治験審査委員会における当該治験に関する事項の審議及び採決に参加してはならない。
- 2 「その他の治験依頼者と密接な関係を有する者」とは、例えば、治験依頼者の親会社又は子会社の役員若しくは職員、及び当該治験の準備、依頼又は管理に係る業務の全部又は一部を受託する開発業務受託機関の職員等がこれに該当する。
- 3 「自ら治験を実施しようとする者又は自ら治験を実施する者と密接な関係を有する者」とは、例えば、自ら治験を実施する者の上司又は部下等がこれに該当するものと考えられる。なお、自ら治験を実施する者と実施医療機関内で共同研究を行っている者については、当該共同研究が当該治験と関係がないことが確認できる場合には、これに該当しないと考えられる。また、治験薬提供者又は例えば、当該治験薬提供者から継続的に報酬を得ている者その他当該治験薬提供者と密接な関係を有する者はこれに該当するものと考えられる。
- 4 治験審査委員会における審議品目の説明は、治験実施計画書及び治験薬概要書等に精通している者が行うことが適当であることから、治験責任医師(治験責任医師の出席が困難な場合にあっては治験分担医師)が行うことが望ましいこと。
なお、必要がある場合には、治験依頼者が治験審査委員会に出席し、補足説明等を行うことは差し支えないこと。 - 5 多施設共同治験において、各実施医療機関の長が一つの治験審査委員会(いわゆる「セントラルIRB」)に調査審議の依頼を行う場合には、当該治験に参加する実施医療機関より治験調整医師等の適切な治験責任医師を選出し、その者が各実施医療機関の治験責任医師を代表して治験審査委員会において説明することで差し支えないこと。
- 6 治験責任医師は、その関与する治験について、治験審査委員会に情報を提供することは許されるが、当該治験の審議及び採決には参加してはならない。治験分担医師及び治験協力者も同様である。
- 7 実施医療機関の長は、当該実施医療機関の長が設置した治験審査委員会以外の治験審査委員会の委員になることはできるが、自らの医療機関で行う治験についての審議及び採決には参加してはならない。
-
〈第2項〉
- 1 治験審査委員会の採決には、審議に参加した委員のみが参加を許される。
- 2 治験審査委員会は、あらかじめ開催が通知され、手順書に規定する定足数以上の委員が出席した会議においてその意思を決定する。
(治験審査委員会の審査)
第30条
- 第30条 実施医療機関の長は、当該実施医療機関において治験を行うことの適否について、あらかじめ、第27条第1項の治験審査委員会の意見を聴かなければならない。
- 2 実施医療機関の長は、前項の治験審査委員会(当該実施医療機関の長が設置した第27条第1項第1号に掲げる治験審査委員会及び同項第5号から第8号までに掲げる治験審査委員会のうち当該実施医療機関を有する法人が設置したものを除く。)に調査審議を行わせることとする場合には、あらかじめ、次に掲げる事項を記載した文書により当該治験審査委員会の設置者との契約を締結しなければならない。
- 1)当該契約を締結した年月日
- 2)当該実施医療機関及び当該治験審査委員会の設置者の名称及び所在地
- 3)当該契約に係る業務の手順に関する事項
- 4)当該治験審査委員会が意見を述べるべき期限
- 5)被験者の秘密の保全に関する事項
- 6)その他必要な事項
- 3 前項の契約の締結については、第12条第2項から第5項までの規定を準用する。この場合において、これらの規定中「治験の依頼をしようとする者」とあるのは「実施医療機関の長」と、「受託者」とあるのは「第27条第1項の治験審査委員会(当該実施医療機関の長が設置した同項第1号に掲げる治験審査委員会及び同項第5号から第8号までに掲げる治験審査委員会のうち当該実施医療機関を有する法人が設置したものを除く。)の設置者」と読み替えるものとする。
- 4 実施医療機関の長は、第1項の規定により第27条第1項の治験審査委員会の意見を聴くに当たり、治験を行うことの適否の判断の前提となる特定の専門的事項を調査審議させるため必要があると認めるときは、当該治験審査委員会の承諾を得て、当該専門的事項について当該治験審査委員会以外の治験審査委員会(第27条第1項各号に掲げるもの(同項第2号から第4号までに掲げるものにあっては、同条第2項各号に掲げる要件を満たすものに限る。)に限る。)の意見を聴くことができる。
- 5 実施医療機関の長は、前項の規定により意見を聴いた治験審査委員会(以下「専門治験審査委員会」という。)が意見を述べたときは、速やかに当該意見を第1項の規定により意見を聴いた治験審査委員会に報告しなければならない。
- 6 実施医療機関の長は、第4項の規定により専門治験審査委員会(当該実施医療機関の長が設置した第27条第1項第1号に掲げる治験審査委員会及び同項第5号から第8号までに掲げる治験審査委員会のうち当該実施医療機関を有する法人が設置したものを除く。)の意見を聴く場合には、あらかじめ、次に掲げる事項を記載した文書により当該専門治験審査委員会の設置者との契約を締結しなければならない。
- 1)当該契約を締結した年月日
- 2)当該実施医療機関及び当該専門治験審査委員会の設置者の名称及び所在地
- 3)当該契約に係る業務の手順に関する事項
- 4)当該専門治験審査委員会が調査審議を行う特定の専門的事項の範囲及び当該専門治 験審査委員会が意見を述べるべき期限
- 5)被験者の秘密の保全に関する事項
- 6)その他必要な事項
- 7 前項の契約の締結については、第12条第2項から第5項までの規定を準用する。この場合において、これらの規定中「治験の依頼をしようとする者」とあるのは「実施医療機関の長」と、「受託者」とあるのは「第30条第5項に規定する専門治験審査委員会(当該実施医療機関の長が設置した第27条第1項に掲げる治験審査委員会及び同項第5号から第8号までに掲げる治験審査委員会のうち当該実施医療機関を有する法人が設置したものを除く。)の設置者」と読み替えるものとする。
- 8 実施医療機関の長は、第1項又は第4項の規定により、第27条第1項の治験審査委員会(当該実施医療機関の長が設置した同項第1号に掲げる治験審査委員会を除く。)に意見を聴くときは、第28条第2項に規定する当該治験審査委員会の手順書及び委員名簿を入手しなければならない。
-
〈第1項〉
- 1 実施医療機関の長は、当該実施医療機関において治験を行うことの適否について、あらかじめ、第27条第1項の治験審査委員会の意見を聴くこと。
- 2 実施医療機関の長は、2つ以上の治験審査委員会の意見を聴くことができる。
- 3 実施医療機関の長は、治験を行うことの適否について治験審査委員会の意見を聴く際は、第32条第1項各号に掲げられた文書を当該治験審査委員会に提出すること。
-
〈第2項〉
- 1 実施医療機関の長は、当該実施医療機関の長が設置した治験審査委員会及び第27条第1項第5号から第8号までに掲げる治験審査委員会のうち当該実施医療機関を有する法人が設置したものに意見を聴く場合を除き、当該治験審査委員会の設置者と契約を締結すること。
- 2 当該実施医療機関の長が他の医療機関の長と共同で設置した治験審査委員会は、当該実施医療機関の長が設置した第27条第1項第1号に掲げる治験審査委員会に含まれると解されることから、実施医療機関の長は、第30条第2項に規定する治験審査委員会の設置者との契約を締結する必要はないこと。
- 3 実施医療機関の長及び治験審査委員会の設置者は、当該治験審査委員会が適正に治験の実施又は継続の適否等について意見を述べるために必要な情報の授受の手順等について、あらかじめ契約に盛り込んでおくこと(第3号)。
- 4 調査審議の対象となる治験の特性に応じて、当該治験の実施又は継続の適否等についての意見を治験審査委員会が述べるべき期限について、あらかじめ契約に盛り込んでおくこと(第4号)。
- 5 被験者の秘密の保全を担保するために講ずる措置の内容等について、あらかじめ契約に盛り込んでおくこと(第5号)。
- 6 治験審査委員会の設置者は、業務終了後も治験審査委員会で継続して保存すべき文書又は記録(データを含む。)及びその期間を実施医療機関との契約書に定めること。なお、保存すべき期間については、第34条を参照のこと。
- 7 治験審査委員会の設置者は、法第14条第6項後段及び法第80条の2第7項の規定による調査等の対象となる。実施医療機関は、規制当局による調査時に治験審査委員会が保存すべき文書又は記録(データを含む。)の全ての記録を直接閲覧に供することを、治験審査委員会の設置者との治験の契約書に明記すること。
- 8 治験審査委員会の設置者は、実施医療機関が行う監査及び規制当局による調査を受け入れること。治験審査委員会は、実施医療機関の監査担当者及び規制当局の求めに応じて、保存すべき文書又は記録(データを含む。)の全ての治験関連記録を直接閲覧に供すること。また、治験依頼者が治験審査委員会の監査を行う場合は、実施医療機関及び治験審査委員会の設置者と事前に合意すること。
-
〈第3項〉
- 1 本条第2項の規定による契約は、電磁的方法により行うことができること。
-
〈第4項〉
- 1 実施医療機関の長が治験の実施又は継続の適否について調査審議を行わせるために治験審査委員会に意見を聴く場合において、実施医療機関の長が、特定の専門的事項について他の治験審査委員会の意見を聴く必要があると認めるときは、当該他の治験審査委員会の意見を聴くことができること。なお、第4項の規定により意見を聴く治験審査委員会は、第27条第1項の治験審査委員会(第2号から第4号までに掲げるものにあっては、第27条第2項に規定する要件を満たすものに限る。)であること。
- 2 実施医療機関の長は、治験の実施の適否の判断の前提となる特定の専門的事項について他の治験審査委員会の意見を聴くことが必要であると判断するに当たっては、当該治験の実施の適否について調査審議を行わせるために第1項の規定により意見を聴く治験審査委員会の意見を聴くことが適当である。この場合において、実施医療機関の長及び当該治験審査委員会が他の治験審査委員会の意見を聴くことが適当であると判断する場合には、両者協議の上、適切な治験審査委員会を選択すること。
- 3 実施医療機関の長は、第4項の規定により専門的事項について他の治験審査委員会の意見を聴くに当たっては、少なくとも以下の点を考慮すること。
- (1)第1項に規定する治験審査委員会が、調査審議の対象となる治験の実施又は継続の適否について調査審議を十分に行うに足りる専門性を有しているか否か。
- (2)上記(1)において専門性が不足している場合、不足している専門性は外部から科学的な意見を聴くことのみにより補完されるものであるか否か、外部から倫理的妥当性についての意見も含めて聴くことにより補完されるものであるか否か。
- (3)上記(1)において不足している専門性について、例えば、治験審査委員会の委員に新たに専門家を加える等の方法により補完することはできないか。
- (4)上記(1)において不足している専門性を補完する方法として上記(3)において考慮したものは、治験の開始から終了に至るまで継続的に治験に関する調査審議を行うことができるものであるか否か。
- (5)上記(1)において不足している専門性を補完する方法として上記(3)において考慮したものが、他の治験審査委員会に特定の専門的事項についての調査審議を行わせることである場合には、当該他の治験審査委員会と治験審査委員会の間で無用な審議の重複を避ける一方で、必要な情報は共有するといった適切な役割分担と連携が可能であるか否か。
- 4 治験の実施又は継続の適否の判断の前提となる特定の専門的事項を調査審議させる治験審査委員会は、当該事項を専門的見地から十分に審議できるものであること。
-
〈第6項〉
- 1 実施医療機関の長は、第30条第4項の規定により特定の専門的事項について、当該実施医療機関の長が設置した治験審査委員会及び第27条第1項第5号から第8号までに掲げる治験審査委員会のうち当該実施医療機関を有する法人が設置したものに意見を聴く場合を除き、当該治験審査委員会の設置者と契約を締結すること。
- 2 当該実施医療機関の長が他の医療機関の長と共同で設置した治験審査委員会は、当該実施医療機関の長が設置した第27条第1項第1号に掲げる治験審査委員会に含まれると解されることから、実施医療機関の長は、第30条第6項に規定する専門治験審査委員会の設置者との契約を締結する必要はないこと。
- 3 実施医療機関の長及び専門治験審査委員会の設置者は、当該専門治験審査委員会が適正に特定の専門的事項についての意見を述べるために必要な情報の授受の手順等について、あらかじめ契約に盛り込んでおくこと(第3号)。
- 4 専門治験審査委員会が調査審議を行う対象となる特定の専門的事項の範囲及び当該専門的事項の特性に応じて専門治験審査委員会が意見を述べるべき期限について、あらかじめ契約に盛り込んでおくこと(第4号)。
- 5 専門治験審査委員会の設置者が被験者の秘密の保全を担保するために講ずる措置の内容等についてあらかじめ契約に盛り込んでおくこと(第5号)。
- 6 専門治験審査委員会の設置者は、業務終了後も専門治験審査委員会で継続して保存すべき文書又は記録(データを含む。)及びその期間を実施医療機関との契約書に定めること。なお、保存すべき期間については、第34条を参照のこと。
- 7 専門治験審査委員会の設置者は、法第14条第6項後段及び法第80条の2第7項の規定による調査等の対象となる。実施医療機関は、規制当局による調査時に専門治験審査委員会が保存すべき文書又は記録(データを含む。)の全ての記録を直接閲覧に供することを、専門治験審査委員会の設置者との治験の契約書に明記すること。
- 8 専門治験審査委員会の設置者は、実施医療機関が行う監査及び規制当局による調査を受け入れること。専門治験審査委員会の設置者は、実施医療機関の監査担当者及び規制当局の求めに応じて、保存すべき文書又は記録(データを含む。)の全ての治験関連記録を直接閲覧に供すること。
また、治験依頼者が専門治験審査委員会の監査を行う場合は、実施医療機関及び専門治験審査委員会の設置者と事前に合意すること。
-
〈第7項〉
- 1 第6項の規定による契約は、電磁的方法により行うことができること。
-
〈第8項〉
- 1 実施医療機関の長は、第1項の規定により、当該実施医療機関の長が設置した治験審査委員会以外の治験審査委員会に意見を聴くときは、第28条第2項に規定する当該治験審査委員会の標準業務手順書及び委員名簿をあらかじめ入手しておくこと。また、第4項の規定により、第1項の規定により意見を聴く治験審査委員会に加えて、他の治験審査委員会に意見を求める場合も同様とすること。
(継続審査等)
第31条
- 第31条 実施医療機関の長は、治験の期間が1年を越える場合には、1年に1回以上、当該実施医療機関において治験を継続して行うことの適否について、前条第1項の規定により意見を聴いた治験審査委員会(当該治験を継続して行うことの適否の判断の前提となる特定の専門的事項について前条第4項の規定により意見を聞いた専門治験審査委員会がある場合にあっては、同条第1項の規定により意見を聴いた治験審査委員会及び当該専門治験審査委員会)の意見を聴かなければならない。
- 2 実施医療機関の長は、第20条第2項及び第3項、第26条の6第2項並びに第48条第2項及び第3項の規定により通知を受けたとき、第54条第3項の規定により報告を受けたときその他実施医療機関の長が必要があると認めたときは、当該実施医療機関において治験を継続して行うことの適否について、前条第1項の規定により意見を聴いた治験審査委員会(当該治験を継続して行うことの適否の判断の前提となる特定の専門的事項について前条第4項の規定により意見を聞いた専門治験審査委員会がある場合にあっては、同条第1項の規定により意見を聴いた治験審査委員会及び当該専門治験審査委員会)の意見を聴かなければならない。
- 3 前2項の規定により専門治験審査委員会の意見を聴く場合については、前条第5項の規定を準用する。
- 4 実施医療機関の長は、第26条の8第2項に規定するモニタリング報告書を受け取ったとき又は第26条の9第3項に規定する監査報告書を受け取ったときは、当該実施医療機関において治験が適切に行われているかどうか又は適切に行われたかどうかについて、前条第1項の規定により意見を聴いた治験審査委員会の意見を聴かなければならない。
-
〈第1項〉(第28条第2項第4号参照)
- 1 実施医療機関の長は、治験の期間が1年を越える場合には、1年に1回以上、当該実施医療機関において治験を継続して行うことの適否について第30条第1項の規定により意見を聴いた治験審査委員会の意見を聴く他、当該治験を継続して行うことの適否の判断の前提となる特定の専門的事項について第30条第4項の規定により意見を聴いた専門治験審査委員会がある場合には、当該専門治験審査委員会の意見を聴くこと。
- 2 治験審査委員会及び第30条第4項の規定により意見を聴いた専門治験審査委員会がある場合には当該専門治験審査委員会は、実施中の各治験について、被験者に対する危険の程度に応じて、少なくとも1年に1回の頻度で治験が適切に実施されているか否かを継続的に審査すること。また、必要に応じて、治験の実施状況について調査すること。
- 3 継続審査を行う治験審査委員会は、第30条第1項の規定により意見を聴いた治験審査委員会及び第30条第4項の規定により意見を聴いた専門治験審査委員会がある場合には当該専門治験審査委員会である。
-
〈第2項〉
- 1 実施医療機関の長は、副作用情報等の報告等を受けたときは、当該実施医療機関において治験を継続して行うことの適否について第30条第1項の規定により意見を聴いた治験審査委員会の意見を聴くこと。
また、当該治験を継続して行うことの適否の判断の前提となる特定の専門的事項について第30条第4項の規定により意見を聴いた専門治験審査委員会がある場合には、当該専門治験審査委員会の意見を聴くこと。
なお、実施医療機関の長は、治験安全性最新報告概要及び国内重篤副作用等症例の発現状況一覧において副作用等症例の発現がなかった場合は、治験審査委員会の意見を聴かなくてもよいこと。ただし、この場合にあっても、治験審査委員会に情報を提供することが望ましい。 - 2 治験審査委員会又は専門治験審査委員会の意見を聴く場合には、これらの治験審査委員会が事態の緊急性に応じて速やかに意見を述べることができるよう、実施医療機関の長は、第30条第2項若しくは第30条第6項の規定による契約又は第28条第2項に規定する手順書において治験審査委員会との連絡方法等について明らかにしておくこと。
- 3 実施医療機関の長は、重篤で予測できない副作用等について治験依頼者から通知を受けたとき(第20条第3項参照)、重篤な有害事象について治験責任医師から報告又は通知を受けたとき(第48条第2項)、治験に継続して参加するかどうかについて被験者の意思に影響を与えるものと認められる情報を入手し、説明文書を改訂した旨治験責任医師から報告を受けたとき(第54条第3項参照)、その他実施医療機関の長が必要であると認めたときは、第30条第1項の規定により意見を聴いた治験審査委員会の意見を、第30条第4項の規定により意見を聴いた専門治験審査委員会がある場合には当該専門治験審査委員会の意見を聴くこと。
なお、この場合の「実施医療機関の長が必要であると認めたとき」とは、治験の実施に影響を与えるもので、被験者に対する精神的及び身体的侵襲の可能性があり、被験者への危険を増大させる変更をいう。 - 注1)実施医療機関の長は、治験期間を通じて、治験審査委員会の審査の対象となる文書(第32条第1項参照)を最新のものにすること。治験依頼者から追加、更新又は改訂された当該文書が提出された場合には治験審査委員会及び治験責任医師に、治験責任医師から追加、更新又は改訂された当該文書が提出された場合には治験審査委員会及び治験依頼者に、それらの当該文書の全てを速やかに提出すること。
- 注2)治験依頼者は、治験期間を通じて、治験審査委員会の審査の対象となる文書のうち、治験依頼者が提出すべき文書を最新のものにすること。当該文書が追加、更新又は改訂された場合には、その全てを速やかに実施医療機関の長に提出すること。なお、治験実施計画書の改訂にあっては、第7条第1項の規定に基づき治験実施計画書の分冊を作成しており、当該分冊に記載された当該実施医療機関以外の実施医療機関に特有の情報を改訂する場合を除いて差し支えないこと。
- 注3)治験責任医師は、治験実施前及び治験期間を通じて、治験審査委員会の審査の対象となる文書のうち、治験責任医師が提出すべき文書を最新のものにすること。当該文書が追加、更新又は改訂された場合には、その全てを速やかに実施医療機関の長に提出すること。
- 4 実施医療機関の長は、自ら治験を実施する者の行う治験について治験中の副作用に関する報告を受けたとき(第26条の6第2項参照)、治験使用薬の副作用によると疑われる死亡その他重篤な有害事象の発生を認め治験責任医師から報告を受けたとき(第48条第3項参照)、その他必要と認めるときは、治験の継続の適否について治験審査委員会の意見を、第30条第4項の規定により意見を聴いた専門治験審査委員会がある場合には当該専門治験審査委員会の意見を聴くこと。
-
〈第3項〉
- 1 実施医療機関の長は、第1項又は第2項の規定により意見を聴いた専門治験審査委員会が意見を述べたときは、速やかに当該意見を特定の専門的事項について意見を聴かれた治験審査委員会に報告すること。
-
〈第4項〉
- 1 実施医療機関の長は、自ら治験を実施する者の行う治験について、モニタリングの報告書又は監査報告書を受け取ったときは、当該実施医療機関における治験の実施の適切性について、治験審査委員会の意見を聴くこと。
なお、本項の趣旨は、モニタリング又は監査が適切に実施されたことを確認するための規定であり、自ら治験を実施する者が行う治験が適切に行われたことについて、モニタリング又は監査に関して、治験審査委員会による確認も合わせて実施することにより、モニタリング、監査及び治験審査委員会が相互に点検する趣旨のものである。 - 注)第30条第1項の規定により、2つ以上の治験審査委員会の意見を聴いた場合には、治験の継続審査等についても、同様の治験審査委員会に意見を聴くこと。
(治験審査委員会の責務)
第32条
- 第32条 第27条第1項の治験審査委員会(以下本条において「治験審査委員会」という。)は、第30条第1項の規定により実施医療機関の長から意見を聴かれたときは、審査の対象とされる治験が倫理的及び科学的に妥当であるかどうかその他当該治験が当該実施医療機関において行うのに適当であるかどうかを、次に掲げる資料に基づき審査し、文書により意見を述べなければならない。
- 1)第10条第1項各号又は第15条の7各号に掲げる文書
- 2)被験者の募集の手順に関する資料
- 3)第7条第5項又は第15条の4第4項に規定する情報その他治験を適正に行うために重要な情報を記載した文書
- 4)治験責任医師等となるべき者の履歴書
- 5)その他当該治験審査委員会が必要と認める資料
- 2 専門治験審査委員会は、第30条第4項の規定により実施医療機関の長から意見を聴かれたときは、審査の対象とされる特定の専門的事項について前項各号に掲げる資料(当該専門治験審査委員会が必要と認めるものに限る。)に基づき審査し、文書により意見を述べなければならない。
- 3 治験審査委員会及び専門治験審査委員会は、前条第1項又は第2項の規定により実施医療機関の長から意見を聴かれたときは、治験審査委員会にあっては当該実施医療機関において当該治験が適切に行われているかどうかを調査した上で当該実施医療機関において治験を継続して行うことの適否を、専門治験審査委員会にあっては意見を聴かれた特定の専門的事項について調査した上で当該治験を継続して行うことの適否の判断の前提となる専門的事項を審査し、文書により意見をそれぞれ審査し、意見を聴かれた事項に係る事態の緊急性に応じて速やかに、文書により意見を述べなければならない。
- 4 治験審査委員会は、前条第4項の規定により、実施医療機関の長から意見を聴かれたときは、当該実施医療機関において当該治験が適切に行われているかどうか又は適切に行われていたかどうかについて審査し、文書により意見を述べなければならない。
- 5 第30条第4項の規定により実施医療機関の長が専門治験審査委員会の意見を聴いた場合においては、治験審査委員会は、第1項又は第3項の規定により意見を述べるに当たり、同条第5項(前条第3項において準用する場合を含む。)の規定により報告された当該専門治験審査委員会の意見を踏まえて、これを行わなければならない。
- 6 実施医療機関の長は、第1項又は第3項の規定による治験審査委員会の意見を治験の依頼をしようとする者又は治験依頼者及び治験責任医師となるべき者又は治験責任医師に文書により通知しなければならない。
- 7 実施医療機関の長は、第1項、第3項又は第4項の規定による治験審査委員会の意見を自ら治験を実施しようとする者又は自ら治験を実施する者に文書により通知しなければならない。
- 8 第6項の規定による文書による通知については、第10条第2項から第5項までの規定を準用する。この場合において、これらの規定中「治験の依頼をしようとする者」とあるのは「実施医療機関の長」と、「実施医療機関の長」とあるのは「治験の依頼をしようとする者又は治験依頼者」と読み替えるものとする。
-
〈第1項〉〈第2項〉
- 1 治験審査委員会は、全ての被験者の人権の保護、安全の保持及び福祉の向上を図ること。社会的に弱い立場にある者を被験者とする可能性のある治験には特に注意を払うこと。
- 2 治験審査委員会は、その責務の遂行のために、審査対象として以下の文書の最新のものを実施医療機関の長等から入手すること(専門治験審査委員会にあっては、専門治験審査委員会が必要と認めるものに限る。)。
- (1)治験の依頼をしようとする者による治験においては、第10条第1項各号に掲げる文書。
- ① 治験実施計画書
- ② 治験薬概要書及び治験使用薬(被験薬を除く。)に係る科学的知見を記載した文書
- ③ 症例報告書の見本(治験実施計画書において、症例報告書に記載すべき事項が十分に読み取れる場合は、当該治験実施計画書をもって症例報告書の見本に関する事項を含むものと解してよい。)
- ④ 説明文書(説明文書と同意文書は一体化した文書又は一式の文書として取り扱われたい(第2条の解説18の(1)の②及び③を参照。)
- ⑤ 治験責任医師等の氏名を記載した文書(治験責任医師となるべき者がその要件を満たすことを証明した履歴書及びその他の文書並びに治験分担医師となるべき者の氏名リスト(治験審査委員会が必要と認める場合には治験分担医師の履歴書))
- ⑥ 治験の費用の負担について説明した文書(被験者への支払い(支払いがある場合)に関する資料)
なお、治験審査委員会が必要と認める場合、治験依頼者から支払われることが予定されている治験費用に関する資料の提出を求めることができる。 - ⑦ 被験者の健康被害の補償について説明した文書
- ⑧ その他必要な文書
- (2)自ら治験を実施しようとする者による治験においては、第15条の7各号に掲げる文書。
- ① 治験実施計画書
- ② 治験薬概要書及び治験使用薬(被験薬を除く。)に係る科学的知見を記載した文書(第15条の5第2項の規定により改訂されたものを含む。)
- ③ 症例報告書の見本(治験実施計画書において、症例報告書に記載すべき事項が十分に読み取れる場合は、当該治験実施計画書をもって症例報告書の見本に関する事項を含むものと解してよい。)
- ④ 説明文書
- ⑤ モニタリングに関する手順書
- ⑥ 監査に関する計画書及び業務に関する手順書
- ⑦ 治験分担医師となるべき者の氏名を記載した文書
- ⑧ 治験使用薬の管理に関する事項を記載した文書
- ⑨ この省令の規定により自ら治験を実施する者及び実施医療機関に従事する者が行う通知に関する事項を記載した文書
- ⑩ 治験の費用に関する事項を記載した文書(第15条の7の解説11を参照)
- ⑪ 被験者の健康被害の補償に関する事項を記載した文書
- ⑫ 実施医療機関が自ら治験を実施する者の求めに応じて第41条第2項各号に掲げる記録(文書を含む。)を閲覧に供する旨を記載した文書
- ⑬ 実施医療機関がこの省令又は治験実施計画書に違反することにより適正な治験に支障を及ぼしたと認める場合(第46条に規定する場合を除く。)には、自ら治験を実施する者は治験を中止することができる旨を記載した文書
- ⑭ その他治験が適正かつ円滑に行われることを確保するために必要な事項を記載した文書
- 注)第20条第4項又は第26条の6第3項により治験実施計画書・治験薬概要書が、第54条第2項により説明文書が改訂される場合がある。
- (3)被験者の募集手順(広告等)に関する資料。
- (4)被験者の安全等に係る報告(第7条第5項又は第15条の4第4項に規定する情報その他治験を適正に行うために重要な情報を記載した文書)(第31条第2項参照)。
- (5)治験責任医師となるべき者の履歴書(調査審議に必要な場合には治験分担医師の履歴書)。治験責任医師等となるべき者の履歴書には、当該治験責任医師等の学歴とともに、過去に治験責任医師等その他医学的な専門家として治験に参加した経歴等や学会の認定医等の情報も含んだものであることが望ましい。
- (6)その他治験審査委員会が必要と認める資料(企業との連携がある場合、利益相反に関する資料等)。
- (1)治験の依頼をしようとする者による治験においては、第10条第1項各号に掲げる文書。
- 3 治験審査委員会は、第30条第1項又は第4項の規定により、意見を聴かれたときは、倫理的、科学的及び医学的・薬学的観点から治験の実施について適切な期間内に審査を行い、その意見を文書で表明し、実施医療機関の長に通知すること。文書には審査対象の治験、審査した資料、審査日及び当該治験に対する治験審査委員会の意見が原則として次の(1)から(3)のいずれに該当するかについて明確に示されていること。
- (1)承認する。
- (2)修正の上で承認する。
- (3)却下する。
- 4 治験審査委員会は、実施医療機関が十分な臨床観察及び試験検査を行うことができ、かつ、緊急時に必要な措置を採ることができる等当該治験を適切に実施することができるか否かを検討すること。
- 5 治験審査委員会は、治験責任医師等が当該治験を実施する上で適格であるか否かをその最新の履歴書等により検討すること。
- 6 治験審査委員会は、被験者の人権の保護、安全の保持及び福祉の向上を図る上で追加の情報が意味のある寄与をすると判断した場合には、説明文書に求められる事項(第51条参照)以上の情報を被験者に提供するように要求することができる。
- 7 被験者の代諾者の同意に基づき、被験者に対して直接の臨床的利益が予期されない非治療的な内容の治験が行われることが計画されている場合(第7条第2項及び第15条の4第2項参照)には、治験審査委員会は、提出された治験実施計画書及びその他の文書が、関連する倫理的問題に適切に配慮しており、かつ、第7条第2項又は第15条の4第2項の規定に従っているものであることを確認すること。なお、治験審査委員会の承認文書中に、同意を得ることが困難な者を対象とすることを承認する旨が明記されていること(第28条第2項参照)。
- 8 被験者及びその代諾者の事前の同意を得ることが不可能な緊急状況下における救命的な内容の治験が行われることが計画されている場合(第7条第3項及び第15条の4第3項参照)には、治験審査委員会は、提出された治験実施計画書及びその他の文書が、関連する倫理的問題に適切に配慮しており、かつ、第7条第3項又は第15条の4第3項の規定に従っているものであることを確認すること。なお、治験審査委員会の承認文書中に、被験者及び代諾者の同意なしに治験に参加する際の人権の保護、安全の保持及び福祉の向上を図るための方法が明記されていること(第28条第2項参照)。
- 9 治験審査委員会は、被験者に対する金銭等の支払いがある場合には、その支払額及び支払方法を審査し、これらが被験者に治験への参加を強制したり、不当な影響を及ぼさないことを確認すること。被験者への金銭等の支払いは、参加期間等によって案分されなければならず、被験者が治験を完遂しなければ支払いが全くなされないような方法は不適当である。
- 10 治験審査委員会は、被験者に対する金銭等の支払いがある場合には、その支払額、支払方法、支払時期等の情報が説明文書に記述されていることを確認し、参加期間等による案分の方法が明記されていることを確認すること。
- 11 治験審査委員会は、必要と認める場合は、実施医療機関の長に治験依頼者から支払われることが予定されている治験費用又は自ら治験を実施する者が確保する治験費用に関する資料の提出を求め、その内容及び支払方法又は確保の方法を審査し、これらが適正であるか否かを確認することができる。
この場合において、治験依頼者等は、求められた資料を実施医療機関の長に提出すること。 - 12 専門治験審査委員会は、第30条第4項の規定により実施医療機関の長から意見を聴かれた場合には、当該意見を聴かれた専門的事項の科学的、倫理的妥当性について意見を述べること。なお、専門治験審査委員会においては、治験の実施の適否の判断の前提となる特定の専門的事項に関する調査審議について、3から11までの規定を準用すること。
-
〈第3項〉
- 1 治験審査委員会及び専門治験審査委員会は、第31条第1項又は第2項の規定により意見を聴かれた場合には、それぞれ意見を聴かれた事項に係る事態の緊急性に応じて、速やかに意見を述べること。
- 2 治験審査委員会は、第31条第1項又は第2項の規定により実施医療機関の長から治験 の継続の適否について意見を聴かれたときは、当該治験の実施状況について必要に応じて調査した上、倫理的、科学的及び医学的・薬学的観点から、治験の継続について事態の緊急性に応じて速やかに審査を行い、その意見を文書で表明し、実施医療機関の長に通知すること。文書には審査対象の治験、審査した資料、審査日及び当該治験に対する治験審査委員会の意見が原則として次の(1)から(3)のいずれに該当するかについて明確に示されていること。
- (1)承認する。
- (2)修正の上で承認する。
- (3)既に承認した事項を取り消す(治験の中断又は中止を含む。)。
なお、専門治験審査委員会においては、治験の継続の適否の判断の前提となる特定の専門的事項について、上記の意見の提示の仕方が適切でない場合は、上記以外の陳述等により意見を述べることも妨げられるものではない。
- 3 治験審査委員会及び専門治験審査委員会が、事態の緊急性ゆえに速やかに意見を述べる事項について、あらかじめ、第28条第2項に規定する手順書により明確にしておくこと。
- 4 治験依頼者による治験においては、あらかじめ、治験依頼者、治験審査委員会等及び実施医療機関の長の合意が得られている場合には、第20条第2項及び第3項に関する治験を継続して行うことの適否についての意見に限り、治験審査委員会等は、実施医療機関の長に加えて治験責任医師及び治験依頼者にも同時に文書により意見を述べることができる。この場合、本条第6項の規定に基づき、治験審査委員会等の意見を実施医療機関の長が治験依頼者及び治験責任医師に文書により通知したものとみなす。
- 5 自ら治験を実施する者が実施する治験においては、あらかじめ、自ら治験を実施する者、治験審査委員会等及び実施医療機関の長の合意が得られている場合には、第26条の6第2項に関する治験を継続して行うことの適否についての意見に限り、治験審査委員会等は、実施医療機関の長に加えて自ら治験を実施する者にも同時に文書により意見を述べることができる。この場合、本条第7項の規定に基づき、治験審査委員会等の意見を実施医療機関の長が自ら治験を実施する者に文書により通知したものとみなす。
-
〈第4項〉
- 1 治験審査委員会は、自ら治験を実施する者が実施する治験について、実施医療機関の長から意見を聴かれたときは、当該治験が適切に行われているかどうか又は適切に行われていたかどうかについて適切な期間内に審査し、文書により実施医療機関の長に意見を述べること。
なお、本項の趣旨は、モニタリング又は監査が適切に実施されたことを確認するための規定であり、自ら治験を実施する者が行う治験が適切に行われたことについて、モニタリング又は監査に関して、治験審査委員会による確認も合わせて実施することにより、モニタリング、監査及び治験審査委員会が相互に点検する趣旨のものである。
-
〈第5項〉
- 1 治験審査委員会は、第30条第4項の規定により実施医療機関の長が専門治験審査委員会の意見を聴いた場合には、第30条第5項(第31条第3項において準用する場合を含む。)の規定により実施医療機関の長から報告された専門治験審査委員会の意見を踏まえて、当該実施医療機関における地域的特性、当該実施医療機関において被験者となる集団の特性等その他当該実施医療機関に固有の事項について考慮した上で、当該治験を実施又は継続することの適否についての意見を述べること。
- 2 実施医療機関の長に対して治験の実施又は継続の適否について最終的な意見を述べる治験審査委員会は、第30条第1項の規定により意見を聴く治験審査委員会である。
- 3 治験審査委員会は、専門治験審査委員会の意見を十分に尊重した上で、治験の実施又は継続の適否についての意見を述べること。
-
〈第6項〉〈第7項〉
- 1 実施医療機関の長は、治験審査委員会が治験の実施を承認する決定を下し、その旨を通知してきた場合には、これに基づく実施医療機関の長の指示、決定を、当該治験審査委員会が承認したことを証する文書とともに、治験の依頼をしようとする者による治験においては治験の依頼をしようとする者及び治験責任医師となるべき者に、自ら治験を実施しようとする者による治験においては自ら治験を実施しようとする者に、文書で通知すること。
- 2 実施医療機関の長は、治験審査委員会が治験実施計画書、説明文書及びその他の手順について、何らかの修正を条件に治験の実施を承認する決定を下し、その旨を通知してきた場合には、これに基づく実施医療機関の長の指示、決定を、当該治験審査委員会が修正を条件に承認したことを証する文書とともに、治験の依頼をしようとする者による治験においては治験の依頼をしようとする者及び治験責任医師となるべき者に、自ら治験を実施しようとする者による治験においては自ら治験を実施しようとする者に、文書で通知すること。
- 3 実施医療機関の長は、治験審査委員会が治験の実施を却下する決定を下し、その旨を通知してきた場合には、治験の実施を了承できない旨の実施医療機関の長の決定を、治験審査委員会が却下したことを証する文書とともに、治験の依頼をしようとする者による治験においては治験の依頼をしようとする者及び治験責任医師となるべき者に、自ら治験を実施しようとする者による治験においては自ら治験を実施しようとする者に、速やかに文書で通知すること。また、実施医療機関の長は、治験審査委員会の決定について、治験の依頼をしようとする者による治験においては治験の依頼をしようとする者及び治験責任医師となるべき者に、自ら治験を実施しようとする者による治験においては自ら治験を実施しようとする者に、文書で詳細に説明すること。
- 4 実施医療機関の長は、治験審査委員会が実施中の治験の継続審査等において、治験の継続を承認する決定を下し、又は治験実施計画書、説明文書及びその他の手順について何らかの修正を条件に治験の継続を承認する決定を下し、その旨を通知してきた場合には、これに基づく実施医療機関の長の指示、決定を、当該治験審査委員会が承認したことを証する文書又は修正を条件に承認したことを証する文書とともに、治験依頼者による治験においては治験依頼者及び治験責任医師に、自ら治験を実施する者による治験においては自ら治験を実施する者に、文書で通知すること。
- 5 実施医療機関の長は、治験審査委員会が実施中の治験の継続審査等において、治験審査委員会が既に承認した事項の取消し(治験の中断又は中止を含む。)の決定を下し、その旨を通知してきた場合には、これに基づく実施医療機関の長の指示、決定を、治験審査委員会が取り消したことを証する文書とともに、治験依頼者による治験においては治験責任医師及び治験依頼者に、自ら治験を実施する者による治験においては自ら治験を実施する者に、速やかに通知すること。また、実施医療機関の長は、治験審査委員会の決定について、治験依頼者による治験においては治験責任医師及び治験依頼者に、自ら治験を実施する者による治験においては自ら治験を実施する者に、文書で詳細に説明すること。
(治験審査委員会の意見)
第33条
- 第33条 実施医療機関は、第30条第1項の規定により意見を聴いた治験審査委員会が、治験を行うことが適当でない旨の意見を述べたときは、治験の依頼を受け、又は治験の実施を承認してはならない。
- 2 実施医療機関は、第31条第1項又は第2項の規定により意見を聴いた治験審査委員会が、治験を継続して行うことが適当でない旨の意見を述べたときは、治験の契約を解除し、又は治験を中止しなければならない。
- 3 実施医療機関の長は、第31条第4項の規定により意見を聴いた治験審査委員会が、当該実施医療機関において当該治験が適切に行われていない旨又は適切に行われていなかった旨の意見を述べたときは、必要な措置を講じなければならない。
-
〈第1項〉
- 1 実施医療機関の長は、第30条第1項の規定により意見を聴いた治験審査委員会が治験の実施を却下する決定を下し、その旨を通知してきた場合には、治験の実施を了承することはできないため、治験の依頼を受けてはならない。
- 2 実施医療機関の長は、第30条第1項の規定により意見を聴いた治験審査委員会が治験を行うことが適当でない旨の意見を述べた場合には、自ら治験を実施する者による治験の実施を承認してはならない。
-
〈第2項〉
- 1 実施医療機関の長は、第31条第1項又は第2項の規定により意見を聴いた治験審査委員会が治験を継続して行うことが適当でない旨の意見を述べたときは、治験の継続を了承することはできないため、治験の契約を解除すること。
- 2 実施医療機関の長は、第31条第1項又は第2項の規定により意見を聴いた治験審査委員会が治験を継続して行うことが適当でない旨の意見を述べたときは、自ら治験を実施する者の実施する治験を中止すること。
-
〈第3項〉
- 1 実施医療機関の長は、第31条第4項の規定により意見を聴いた治験審査委員会が、当該治験が適切に行われていない旨又は適切に行われていなかった旨の意見を述べたときは、治験を中止させることを含め、必要な措置を講じること。
- 注)第30条第1項の規定により、2つ以上の治験審査委員会の意見を聴いた場合には、第30条の規定は、いずれの治験審査委員会にも適用されるものであること。
(記録の保存)
第34条
- 第34条 治験審査委員会を設置した者は、第28条第2項に規定する手順書、委員名簿並びに会議の記録及びその概要、第30条第2項及び第6項の規定による契約に関する資料、第32条第1項各号に掲げる資料、同条第2項に規定する資料並びに第40条第1項から第4項までの規定による治験審査委員会及び専門治験審査委員会に対する通知を、被験薬に係る医薬品についての製造販売の承認を受ける日(第24条第3項又は第26条の10第3項に規定する通知を受けたときは、通知を受けた日)又は治験の中止若しくは終了の後3年を経過した日のうちいずれか遅い日までの期間保存しなければならない。
- 1 治験審査委員会の設置者は、手順書、委員名簿、会議の記録及びその概要、第30条第2項及び第6項の規定による契約書、第32条第1項各号に掲げる提出された資料、第32条第2項の規定による専門治験審査委員会が必要と認めた資料、第40条第1項から第4項までの規定による治験審査委員会及び専門治験審査委員会への通知を、以下の(1)又は(2)の日のうちいずれか遅い日までの期間保存すること。ただし、治験依頼者等がこれよりも長期間の保存を必要とする場合には、保存期間及び保存方法について治験依頼者等と協議すること。
これらの記録は、規制当局の要請に応じて提示できるようにしておくこと。- (1)当該被験薬に係る医薬品の製造販売承認日(第24条第3項又は第26条の10第3項の規定により、開発を中止した又は臨床試験の試験成績に関する資料が申請書に添付されないことを決定した旨の通知を受けた場合にはその通知を受けた日)
- 注)実施医療機関の記録保存責任者は、当該通知を受けた日から3年が経過した日まで保存することとされていることから、治験審査委員会の設置者においても、同様に取り扱うことが望ましい(第41条第2項参照)。
- (2)治験の中止又は終了後3年が経過した日
4-2 第二節 実施医療機関
(実施医療機関の要件)
第35条
- 第35条 実施医療機関は、次に掲げる要件を満たしていなければならない。
- 1)十分な臨床観察及び試験検査を行う設備及び人員を有していること。
- 2)緊急時に被験者に対して必要な措置を講ずることができること。
- 3)治験責任医師等、薬剤師、看護師その他治験を適正かつ円滑に行うために必要な職員が十分に確保されていること。
- 1 実施医療機関は、十分な臨床観察及び試験検査を行うことができ、かつ、緊急時に必要な措置を採ることができる等、当該治験を適切に実施し得るものであること。通常、次の条件を満たすことが必要である。
- (1)当該治験を安全に、かつ、科学的に実施するための設備が備わっていること。
- (2)治験責任医師、治験分担医師、当該治験に関係する薬剤師、検査技師、放射線技師、栄養士及び看護職員等必要な職員が十分揃っていること。
- (3)治験薬管理者が治験使用薬の性質及び治験実施計画書を理解し、当該治験使用薬の適切な保管、管理、調剤等を実施し得ること。
- (4)記録等の保存を適切に行い得ること。
- 2 「治験責任医師等、薬剤師、看護師その他治験を適正かつ円滑に行うために必要な職員」とは、治験に直接関与する治験責任医師等及び治験協力者のみを限定的に指すものではないこと。必要な人員が十分に確保されているか否かは、実施医療機関全体として治験を適正かつ円滑に実施することができるかどうかを、治験の内容等に応じて判断すべきである。また、記録等の保存を適切に行い得るかどうかも含むものであること。
(実施医療機関の長)
第36条
- 第36条 実施医療機関の長は、治験に係る業務に関する手順書を作成しなければならない。
- 2 実施医療機関の長は、当該実施医療機関における治験がこの省令、治験実施計画書、治験依頼者が治験を依頼する場合にあっては治験の契約書、自ら治験を実施する者が治験を実施する場合にあっては第15条の7第5号から第11号までに規定する文書及び前項の手順書に従って適正かつ円滑に行われるよう必要な措置を講じなければならない。
- 3 実施医療機関の長は、被験者の秘密の保全が担保されるよう必要な措置を講じなければならない。
-
〈第1項〉〈第2項〉
- 1 「治験に係る業務に関する手順書」は、実施医療機関ごとに定められているべきである。なお、この手順書は個々の治験ごとに作成する必要はなく、治験に係る業務が恒常的に又は均質にかつ適正に実施されるよう標準的な手順を定めたものであること。
- 2 「必要な措置」には、治験責任医師が作成した治験分担医師及び治験協力者のリストの了承、実施医療機関において適切な情報伝達を行わせること、実施医療機関において人事異動等による治験責任医師等の変更がある場合には治験依頼者に事前に連絡すること等が挙げられる。
- (1)実施医療機関の長は、治験責任医師が治験関連の重要な業務の一部を治験分担医師又は治験協力者に分担させる場合には、治験責任医師が作成した治験分担医師及び治験協力者のリストを了承すること(第43条第1項参照)。
実施医療機関の長は、了承した治験分担医師及び治験協力者のリストを治験責任医師に提出すること。
また、実施医療機関の長又は治験責任医師は、治験依頼者による治験においては治験依頼者に治験分担医師及び治験協力者のリストを提出すること。 - (2)実施医療機関の長は、治験期間を通じて、治験審査委員会の審査の対象となる文書(第32条第1項及び第2項参照)を最新のものにすること。治験依頼者による治験においては治験依頼者から、若しくは自ら治験を実施する者による治験においては自ら治験を実施する者から、追加、更新又は改訂された当該文書が提出された場合には治験審査委員会及び治験責任医師に、治験責任医師から、追加、更新又は改訂された当該文書が提出された場合には治験審査委員会及び治験依頼者による治験においては治験依頼者に、若しくは自ら治験を実施する者による治験においては自ら治験を実施する者に、それらの当該文書の全てを速やかに提出すること。
- (3)治験責任医師は、治験審査委員会が治験の実施を承認し、又は何らかの修正を条件に治験の実施を承認し、これに基づく実施医療機関の長の指示、決定が文書で通知された後に(第32条第6項及び第7項参照)、その指示、決定に従って治験を開始すること。
- (4)治験責任医師は、治験審査委員会が実施中の治験の継続を承認し、又は何らかの修正を条件に治験の継続を承認し、これに基づく実施医療機関の長の指示、決定が文書で通知された場合には(第32条第6項及び第7項参照)、その指示、決定に従って治験を継続すること。
- (5)治験責任医師は、治験審査委員会が実施中の治験に関して承認した事項を取り消し(治験の中断又は中止を含む。)、これに基づく実施医療機関の長の指示、決定が文書で通知された場合には(第32条第6項及び第7項参照)、その指示、決定に従うこと。
- (6)実施医療機関の長は、治験の依頼をしようとする者又は治験依頼者から次の文書の入手を求める旨の申出があった場合には、これに応じること。
- ① 治験の依頼をしようとする者は、治験審査委員会が治験の実施を承認した場合には、実施医療機関との間で治験の契約を締結する前に、実施医療機関の長から次の文書を入手すること。
- ア 治験審査委員会の名称と所在地が記された文書
- イ 治験審査委員会が本基準に従って組織され、活動している旨を当該治験審査委員会が自ら確認した文書
- ウ 治験審査委員会の審議・採決の出席者リスト
- エ 治験審査委員会が承認したことを証する文書及びこれに基づく実施医療機関の長の指示、決定の文書、並びに治験の依頼をしようとする者が変更の有無等の確認のために必要とする場合には、審査に用いられた治験実施計画書等の文書(第32条第1項参照)
- ② 治験の依頼をしようとする者は、治験審査委員会が治験実施計画書、説明文書及びその他の手順について、何らかの修正を条件に治験の実施を承認した場合には、実施医療機関との間で治験の契約を締結する前に、実施医療機関の長から、当該治験審査委員会が修正を条件に承認したことを証する文書及びこれに基づく実施医療機関の長の指示、決定の文書を入手すること。上記①に規定するその他の文書の入手については、同規定を準用すること。
- ③ 治験の依頼をしようとする者は、治験審査委員会が治験の実施を却下した場合には、実施医療機関の長から、当該治験審査委員会が却下したことを証する文書及びこれに基づく実施医療機関の長の決定の文書を入手すること。上記①に規定するその他の文書の入手については、同規定を準用すること。
- ④ 治験依頼者は、実施医療機関の長から、実施中の治験に関して治験審査委員会が実施した全ての継続審査等にかかる、承認したことを証する文書、修正を条件に承認したことを証する文書又は既に承認した事項を取り消したこと(治験の中断又は中止を含む。)を証する文書及びこれらに基づく実施医療機関の長の指示、決定の文書を入手すること。上記①に規定するその他の文書の入手については、同規定を準用すること。
- ① 治験の依頼をしようとする者は、治験審査委員会が治験の実施を承認した場合には、実施医療機関との間で治験の契約を締結する前に、実施医療機関の長から次の文書を入手すること。
- (7)実施医療機関の長は、自ら治験を実施しようとする者又は自ら治験を実施する者から次の文書の入手を求める旨の申出があった場合には、これに応じること。
- ① 自ら治験を実施しようとする者は、治験審査委員会が治験の実施を承認した場合には、治験計画届書を規制当局に提出する前に、実施医療機関の長から次の文書を入手すること。
- ア 治験審査委員会の名称と所在地が記された文書
- イ 治験審査委員会が本基準に従って組織され、活動している旨を当該治験審査委員会が自ら確認した文書
- ウ 治験審査委員会が承認したことを証する文書及びこれに基づく実施医療機関の長の指示、決定の文書、並びに自ら治験を実施しようとする者が変更の有無等の確認のために必要とする場合には、審査に用いられた治験実施計画書等の文書(第32条第1項参照)
- ② 自ら治験を実施しようとする者は、治験審査委員会が治験実施計画書、説明文書及びその他の手順について、何らかの修正を条件に治験の実施を承認した場合には、治験計画届書を規制当局に提出する前に、実施医療機関の長から、当該治験審査委員会が修正を条件に承認したことを証する文書及びこれに基づく実施医療機関の長の指示、決定の文書を入手すること。上記①に規定するその他の文書の入手については、同規定を準用すること。
- ③ 自ら治験を実施しようとする者は、治験審査委員会が治験の実施を却下した場合には、実施医療機関の長から、当該治験審査委員会が却下したことを証する文書及びこれに基づく実施医療機関の長の決定の文書を入手すること。上記に規定するその他の文書の入手については、同規定を準用すること。
- ④ 自ら治験を実施する者は、実施医療機関の長から、実施中の治験に関して治験審査委員会が実施した全ての継続審査等にかかる、承認したことを証する文書、修正を条件に承認したことを証する文書又は既に承認した事項を取り消したこと(治験の中断又は中止を含む。)を証する文書及びこれらに基づく実施医療機関の長の指示、決定の文書を入手すること。上記①に規定するその他の文書の入手については、同規定を準用すること。
- ① 自ら治験を実施しようとする者は、治験審査委員会が治験の実施を承認した場合には、治験計画届書を規制当局に提出する前に、実施医療機関の長から次の文書を入手すること。
- (8)実施医療機関の長及び治験責任医師は、被験者の治験参加期間中及びその後を通じ、治験に関連した臨床上問題となる全ての有害事象に対して、十分な医療が被験者に提供されることを保証すること。また、治験責任医師又は治験分担医師は、有害事象に対する医療が必要となったことを知った場合には、被験者にその旨を伝えること。
- (9)実施医療機関の長は、自ら治験を実施する者が治験を実施する場合にあっては第15条の7第1項第5号から第14号までに規定する文書及び手順書に従って適正かつ円滑に行われるよう必要な措置を講ずること。なお、「必要な措置」には、治験責任医師が作成した治験分担医師及び治験協力者のリストを了承し、当該リストを自ら治験を実施する者に提出すること、実施医療機関において適切に情報伝達を行わせること等が挙げられる。
- (1)実施医療機関の長は、治験責任医師が治験関連の重要な業務の一部を治験分担医師又は治験協力者に分担させる場合には、治験責任医師が作成した治験分担医師及び治験協力者のリストを了承すること(第43条第1項参照)。
-
〈第3項〉
- 1 実施医療機関の長は、被験者の秘密の保全が担保されるような必要な措置を講じること。法第80条の2第10項の規定により、自ら治験を実施する者が、モニタリング、監査の際に得た被験者の秘密を漏らしてはならない旨及びこれらの地位にあった者についても同様である旨を含むこと。
(モニタリング等への協力)
第37条
- 第37条 実施医療機関の長は、治験依頼者が実施し、又は自ら治験を実施する者が実施させるモニタリング及び監査並びに第27条第1項の治験審査委員会及び第30条第5項の専門治験審査委員会(専門治験審査委員会にあっては、第30条第4項の規定により意見を聴く場合に限る。以下「治験審査委員会等」という。)による調査に協力しなければならない。
- 2 実施医療機関の長は、前項のモニタリング、監査又は調査が実施される際には、モニター、監査担当者又は治験審査委員会等の求めに応じ、第41条第2項各号に掲げる治験に関する記録を閲覧に供しなければならない。
-
〈第1項〉〈第2項〉
- 1 実施医療機関の長は、治験依頼者によるモニタリング、監査並びに治験審査委員会及び規制当局による調査を受け入れ、これに協力すること。また、モニター、監査担当者、治験審査委員会又は規制当局の求めに応じ、原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供すること。
なお、実施医療機関の長は、これらによる調査が適切かつ速やかに行われるよう協力すること。 - 注1)モニタリングには、治験の実施を開始する前に、実施医療機関及び治験責任医師等が治験を適切に実施するのに求められる要件を満たしているか否かを確認することが含まれる。
- 注2)治験責任医師は、治験依頼者によるモニタリング、監査並びに治験審査委員会及び規制当局による調査を受け入れ、協力すること。治験責任医師は、モニター、監査担当者、治験審査委員会又は規制当局の求めに応じて、原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供すること(第42条参照)。なお、治験責任医師は、これらによる調査が適切かつ速やかに行われるよう協力すること。
- 2 実施医療機関の長は、自ら治験を実施する者の指定する者によるモニタリング、監査並びに治験審査委員会及び規制当局による調査を受け入れ、これに協力すること。なお、実施医療機関の長は、これらによる調査が適切かつ速やかに行われるよう協力すること。
- 1 実施医療機関の長は、治験の実施に関する事務及び支援を行う者を指定し、その組織(以下「治験事務局」という。)を設けること。
なお、臨床研究中核病院等が他の実施医療機関とネットワークを形成する場合においては、複数の実施医療機関の長が共同で治験事務局を設置して差し支えないが、その責任は各実施医療機関の長が負うこと。 - 2 「治験に係る業務に関する事務」とは、実施医療機関の長の指示により行う、以下の(1)から(7)に掲げる事務である。
- (1)当該実施医療機関の長が設置した治験審査委員会(当該実施医療機関の長が他の医療機関の長と共同で設置したものを含む。)の委員の指名に関する業務
- (2)治験の契約に係る手続き等の業務
- (3)治験の実施に必要な手順書を作成すること。
- (4)治験審査委員会の審査の対象となる文書(第32条第1項及び第2項参照)及びその他の通知又は報告が、治験依頼者又は治験責任医師から実施医療機関の長に提出された場合には、それらを当該治験審査委員会、治験依頼者又は治験責任医師に提出すること。当該文書が追加、更新又は改訂された場合にも同様とする。
- (5)治験審査委員会の意見に基づく実施医療機関の長の指示、決定に関する通知文書を作成し、治験責任医師及び治験依頼者に伝達すること。
- (6)記録の保存(治験審査委員会事務局を兼ねる場合には、第34条に定める記録を含む。)
- (7)その他治験に関する業務の円滑化を図るために必要な事務及び支援。例えば、実施医療機関内の治験に関与する部門との連携、治験責任医師等の履歴書等の管理、治験依頼者への文書の発送等が該当する。
- 3 治験事務局は、第28条の「治験審査委員会の事務を行う者」が兼ねることができる。
- 1 実施医療機関における治験使用薬の管理責任は、実施医療機関の長が負うこと。
- 2 実施医療機関の長は、治験依頼者による治験又は自ら治験を実施する者による治験において、実施医療機関で全ての治験使用薬を適正に管理させるため、原則として、当該実施医療機関の薬剤師を治験薬管理者として選任すること。
なお、治験薬管理者として薬剤師を選任できない場合には、当該実施医療機関の医師又は歯科医師を選任すること。 - 3 実施医療機関の長又は治験薬管理者は、治験依頼者又は自ら治験を実施する者の定めるところにより(第16条第6項、第7項並びに第26条の2第6項及び第7項参照)、また、本基準を遵守して治験使用薬を保管、管理すること。
- 4 実施医療機関の長又は治験薬管理者は、治験依頼者が作成した治験使用薬の取扱い及び保管、管理並びにそれらの記録に際して従うべき指示を記載した手順書(第16条第6項参照)に従い、実施医療機関に交付された治験使用薬の受領、実施医療機関での在庫、被験者ごとの使用状況及び未使用治験使用薬の治験依頼者への返却又はそれに代わる処分に関して、記録を作成し、保存すること。これらの記録には、日付、数量、製造番号又は製造記号、使用期限(必要な場合)並びに治験薬及び被験者識別コードを含むこと。また、治験薬以外の治験依頼者が交付しない治験使用薬であって、実施医療機関が在庫として保管するものの中から使用する治験使用薬については、治験依頼者は、実施医療機関において定められた取扱い、保管、管理、処方等に係る手順等に基づき対応すること。
また、治験実施計画書に規定された量の治験使用薬が被験者に投与され、全ての治験使用薬の数量が正しく管理されたことを示す記録を作成し、保存すること。 - 5 実施医療機関の長又は治験薬管理者は、自ら治験を実施する者が作成した若しくは入手した、又は治験薬提供者から提供を受けた治験使用薬の取扱い及び保管、管理並びにそれらの記録に際して従うべき指示を記載した手順書(第26条の2第6項参照)に従い、治験使用薬の入手方法及び受領、実施医療機関での在庫、被験者ごとの使用状況及び返却又は処分に関して、記録(日付、数量、製造番号又は製造記号、使用期限(必要な場合)並びに治験薬及び被験者識別コードを含むもの)を作成し、保存すること。
また、治験実施計画書に規定された量の治験使用薬が被験者に投与され、自ら治験を実施する者から受領した全ての治験使用薬の数量が正しく管理されたことを示す記録を作成し、保存すること。
(業務の委託等)
第39条の2
- 第39条の2 実施医療機関(自ら治験を実施する者が治験を実施する場合にあっては、治験責任医師又は実施医療機関。以下この条において同じ。)は、治験の実施に係る業務の一部を委託する場合には、次に掲げる事項を記載した文書により当該業務を受託する者との契約を締結しなければならない。
- 1)当該委託に係る業務の範囲
- 2)当該委託に係る業務の手順に関する事項
- 3)前号の手順に基づき当該委託に係る業務が適正かつ円滑に行われているかどうかを実施医療機関が確認することができる旨
- 4)当該受託者に対する指示に関する事項
- 5)前号の指示を行った場合において当該措置が講じられたかどうかを実施医療機関が確認することができる旨
- 6)当該受託者が実施医療機関に対して行う報告に関する事項
- 7)その他当該委託に係る業務について必要な事項
- 1 治験の実施に係る業務の一部を委託する場合には、実施医療機関(自ら治験を実施する者が治験を実施する場合にあっては、治験責任医師又は実施医療機関。以下この条の解説において同じ。)が、当該業務の受託者と契約を締結すること。また、実施医療機関は、当該受託者が委託した治験業務を遂行しうる要件を満たしていることを保証するとともに、実施された治験業務及び作成されたデータの信頼性を保証する措置を講じること。
- 2 自ら治験を実施する者による治験にあっては、治験責任医師が実施医療機関における業務の一部の委託契約を締結することが適切でない場合には、実施医療機関が当該契約を締結することが適当であること。
- 3 実施医療機関は、治験の実施の業務の一部を外部に委託することができる。この場合において、実施医療機関と当該受託者は文書により、委託業務の範囲、委託業務の手順に関する事項、実施医療機関が、手順書に基づき委託業務が適正かつ円滑に行われているかどうかを確認することができる旨等について記載した文書により契約を締結すること。
- 4 当該受託者は、実施医療機関とともに、当該受託業務により生じた健康被害に要する費用その他の損失を補償するための手順を定め、当該手順書に従って健康被害の補償に関する業務を実施すること(第14条及び第15条の9参照)。
- 5 実施医療機関が当該受託者に委託した治験に関する業務については、当該受託者との間で取り交わした文書に全て明記しておくこと。
- 6 治験に関する業務のうち、当該受託者に明確に委託されていないものは、全て実施医療機関が行うこと。
- 7 受託者は、当該受託業務を本基準に従って行うこと。
- 8 受託者は、業務終了後も受託者で継続して保存すべき文書又は記録(データを含む。)及びその期間を実施医療機関との契約書に定めること。なお、保存すべき期間については、第41条を参照のこと。
- 9 受託者は、法第14条第6項後段及び法第80条の2第7項の規定による調査等の対象となる。実施医療機関は、規制当局による調査時に受託者が保存すべき文書又は記録(データを含む。)の全ての記録を直接閲覧に供することを、受託者との治験の契約書に明記すること。
- 10 受託者は、実施医療機関が行う監査及び規制当局による調査を受け入れること。受託者は、実施医療機関の監査担当者及び規制当局の求めに応じて、保存すべき文書又は記録(データを含む。)の全ての治験関連記録を直接閲覧に供すること。
(治験の中止等)
第40条
- 第40条 実施医療機関の長は、第20条第2項及び第3項の規定により治験依頼者から又は第26条の6第2項の規定により自ら治験を実施する者から通知を受けたときは、直ちにその旨を治験審査委員会等に文書により通知しなければならない。
- 2 実施医療機関の長は、第24条第2項の規定により治験依頼者から若しくは第26条の10第2項の規定により自ら治験を実施する者から治験を中断し、若しくは中止する旨の通知を受けたとき又は第24条第3項の規定により治験依頼者から申請書に添付しないことを決定した旨の通知若しくは第26条の10第3項の規定により自ら治験を実施する者から申請書に添付されないことを知った旨の通知を受けたときは、速やかにその旨及びその理由を治験責任医師及び治験審査委員会等に文書により通知しなければならない。
- 3 実施医療機関の長は、第49条第2項の規定により治験責任医師から治験を中断し、又は中止する旨の報告を受けた場合は、速やかにその旨及びその理由を治験審査委員会等及び治験依頼者に文書により通知しなければならない。
- 4 実施医療機関の長は、第49条第3項の規定により治験責任医師から治験を終了する旨の報告を受けたときは、その旨及びその結果の概要を治験審査委員会等及び治験依頼者に通知しなければならない。
- 5 第3項の規定による文書による通知については、第10条第2項から第5項までの規定を準用する。この場合において、これらの規定中「治験の依頼をしようとする者」とあるのは「実施医療機関の長」と、「実施医療機関の長」とあるのは「治験依頼者」と読み替えるものとする。
-
〈第1項〉
- 1 実施医療機関の長は、第20条第3項に基づき治験依頼者が、法第80条の2第6項に規定する事項のうち重篤で予測できないものを実施医療機関の長に通知してきた場合には、直ちにこれを治験審査委員会等に通知すること(第31条第2項参照)。
- 2 実施医療機関の長は、自ら治験を実施する者から治験中の副作用等に関する通知を受け取ったときは、直ちにその旨を治験審査委員会等に文書により通知すること。
- 3 あらかじめ、治験依頼者等、治験審査委員会等及び実施医療機関の長の合意が得られている場合においては、第20条第2項及び第3項並びに第26条の6第2項に関する通知に限り、実施医療機関の長が、本規定に基づき治験審査委員会等に文書により通知したものとみなす。
-
〈第2項〉
- 1 実施医療機関の長は、治験依頼者が治験の中断若しくは中止(第24条第2項参照)、又は被験薬の開発の中止(第24条第3項参照)を決定し、その旨を通知してきた場合には治験責任医師及び治験審査委員会等に対し、速やかにその旨を文書で通知するとともに、中断又は中止について文書で詳細に説明すること。
- 2 実施医療機関の長は、自ら治験を実施する者から、治験を中断し、若しくは中止する旨の通知、又は治験の成績が承認申請書に添付されないことを知った旨の通知を受けたときは、速やかにその旨及びその理由を治験審査委員会等に文書により通知すること。
-
〈第3項〉
- 1 実施医療機関の長は、治験責任医師が治験を中断又は中止し(第49条第2項参照)、その旨を報告してきた場合には、治験審査委員会等及び治験依頼者に対し、速やかにその旨を通知するとともに、中断又は中止について文書で詳細に説明すること。
-
〈第4項〉
- 1 実施医療機関の長は、治験責任医師が治験の終了を報告してきた場合(第49条第3項参照)には、治験審査委員会等及び治験依頼者に対し、その旨を文書で通知するとともに、治験責任医師から提出された報告書に基づき、治験結果の概要を報告すること。
(記録の保存)
第41条
- 第41条 実施医療機関の長は、記録保存責任者を置かなければならない。
- 2 前項の記録保存責任者は、次に掲げる治験に関する記録(文書を含む。)を被験薬に係る医薬品についての製造販売の承認を受ける日(第24条第3項又は第26条の10第3項の規定により通知を受けたときは、通知を受けた日後3年を経過した日)又は治験の中止若しくは終了の後3年を経過した日のうちいずれか遅い日までの期間保存しなければならない。
- 1)原資料
- 2)契約書又は承認書、同意文書及び説明文書その他この省令の規定により実施医療機関に従事する者が作成した文書又はその写し
- 3)治験実施計画書、第32条第1項から第3項までの規定により治験審査委員会等から入手した文書その他この省令の規定により入手した文書
- 4)治験使用薬の管理その他の治験に係る業務の記録
-
〈第1項〉
- 1 実施医療機関の長は、実施医療機関において保存すべき記録(文書を含む。)の保存に際しては、それぞれの記録ごとに記録保存責任者を定めておくこと。
- 2 治験責任医師は、治験の実施に係る文書又は記録を実施医療機関の長の指示に従って保存すること。なお、これら保存の対象となる記録は、実施医療機関における各被験者に関連する全ての観察記録を含む適切かつ正確な原資料及び治験に関する記録であり、治験の実施に関する重要な事項について行われた治験依頼者との書簡、会合、電話連絡等に関するものを含む。
- 3 治験責任医師及び実施医療機関の長は、治験開始前、実施中及び終了後に治験責任医師及び実施医療機関が作成した全ての治験に係る文書又は記録の管理権限を保持すること。
- 4 原データは、帰属性、判読性、同時性、原本性、正確性及び完全性を満たすこと。原データを変更した場合、その過程をさかのぼることができるとともに、変更前の記載内容を不明瞭にすべきではない。また、必要に応じて、当該変更は説明されるべきである(監査証跡等による)。
-
〈第2項〉
- 1 記録保存責任者は、実施医療機関において保存すべき文書又は記録を、次の(1)又は(2)の日のうちいずれか遅い日までの期間保存すること。ただし、治験依頼者等がこれよりも長期間の保存を必要とする場合には、保存期間及び保存方法について治験依頼者等と協議すること。
- (1)当該被験薬に係る医薬品の製造販売承認日(第24条第3項又は第26条の10第3項の規定により、開発の中止又は臨床試験の試験成績が承認申請書に添付されない旨の通知を受けた場合には、その通知を受けた日から3年が経過した日)
- (2)治験の中止又は終了後3年が経過した日
- 2 実施医療機関の長又は記録保存責任者は、これらの記録がこの保存義務期間中に紛失又は廃棄されることがないように、また求めに応じて提示できるように必要な措置を講じておくこと。
4-3 第三節 治験責任医師
(治験責任医師の要件)
第42条
- 第42条 治験責任医師は、次に掲げる要件を満たしていなければならない。
- 1)治験を適正に行うことができる十分な教育及び訓練を受け、かつ、十分な臨床経験を有すること。
- 2)治験実施計画書、治験薬概要書及び第16条第7項又は第26条の2第7項に規定する文書に記載されている治験使用薬の適切な使用方法に精通していること。
- 3)治験を行うのに必要な時間的余裕を有すること。
- 1 治験責任医師は、教育・訓練及び経験によって、治験を適正に実施しうる者であること。治験責任医師は、本基準を熟知し、これを遵守すること。
- 2 治験責任医師は、治験実施計画書、最新の治験薬概要書、製品情報及び、第16条第7項又は第26条の2第7項に規定する文書に記載されている治験使用薬の適切な使用方法に十分精通していること。
- 3 治験責任医師は、モニタリング及び監査並びに治験審査委員会並びに規制当局による調査を受け入れること。治験責任医師は、モニター、監査担当者、治験審査委員会又は規制当局の求めに応じて、原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供すること。なお、直接閲覧に関する事項は、治験実施計画書に記載されるべき事項である(第7条第1項第9号又は第15条の4第1項第10号参照)。
- 4 治験責任医師は、合意された期間内に治験を適正に実施し、終了するに足る時間を有していること。
- 5 治験責任医師は、合意された募集期間内に必要数の適格な被験者を集めることが可能であることを過去の実績等により示すこと。
- 6 治験責任医師は、治験を適正かつ安全に実施するため、治験の予定期間中に十分な数の治験分担医師及び治験協力者等の適格なスタッフを確保でき、また適切な設備を利用できるものであること。
(治験分担医師等)
第43条
- 第43条 治験責任医師は、当該治験に係る治験分担医師又は治験協力者が存する場合には、分担する業務の一覧表を作成しなければならない。
- 2 治験責任医師は、治験分担医師及び治験協力者に治験の内容について十分に説明するとともに、第20条第2項及び第3項の規定により通知された事項、第26条の6第2項の規定により通知した事項その他分担させる業務を適正かつ円滑に行うために必要な情報を提供しなければならない。
-
〈第1項〉
- 1 治験責任医師は、治験関連の重要な業務の一部を治験分担医師又は治験協力者に分担させる場合には、分担させる業務と分担させる者のリストを作成し、予め実施医療機関の長に提出し、その了承を受けること(第36条第2項参照)。なお、実施医療機関の長の了承を受けた時点から業務を分担して差し支えないが、治験分担医師については治験審査委員会による審査が必要となること。
- 2 実施医療機関の長は、治験責任医師から提出された治験分担医師及び治験協力者のリストを了承し、当該治験分担医師及び治験協力者のリストを治験責任医師に提出すること。
また、実施医療機関の長又は治験責任医師は、治験依頼者による治験においては治験依頼者に治験分担医師及び治験協力者のリストを提出すること。
-
〈第2項〉
- 1 治験責任医師は、治験分担医師、治験協力者等に治験実施計画書、治験使用薬及び各人の業務について十分な情報を与え、指導及び監督すること。
- 2 治験責任医師は、自ら治験を実施する者が収集した治験使用薬の品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために必要な情報、治験使用薬について、当該治験使用薬の副作用によるものと疑われる疾病、障害又は死亡の発生等に該当する事項を知った際に通知した事項等、治験分担医師及び治験協力者に、各人の業務について十分な情報を与え、指導及び監督すること。
- 3 治験依頼者による治験においても、2の規定は適用されるものである。
(被験者となるべき者の選定)
第44条
- 第44条 治験責任医師等は、次に掲げるところにより、被験者となるべき者を選定しなければならない。
- 1)倫理的及び科学的観点から、治験の目的に応じ、健康状態、症状、年齢、同意の能力等を十分に考慮すること。
- 2)同意の能力を欠く者にあっては、被験者とすることがやむを得ない場合を除き、選定しないこと。
- 3)治験に参加しないことにより不当な不利益を受けるおそれがある者を選定する場合にあっては、当該者の同意が自発的に行われるよう十分な配慮を行うこと。
- 1 治験責任医師等は、被験者となるべき者の選定に当たり、人権保護の観点から、治験実施計画書に定められた選択基準及び除外基準に基づき、被験者の健康状態、症状、年齢、性別、同意能力、治験責任医師等との依存関係、他の治験への参加の有無等を考慮のうえ、治験に参加を求めることの適否について慎重に検討すること。
- 2 同意の能力を欠く者については、当該治験の目的上、被験者とすることがやむを得ない場合を除き、原則として被験者としない。
- 3 「治験に参加しないことにより不当な不利益を受けるおそれがある者」とは、中央薬事審議会答申にある「社会的に弱い立場にある者」の典型例を示したものである。
「社会的に弱い立場にある者」とは、参加に伴う利益又は参加拒否による上位者の報復を予想することにより、治験への自発的参加の意思が不当に影響を受ける可能性のある個人。例えば、階層構造を有するグループの構成員としての医・歯学生、薬学生、看護学生、病院及び検査機関の下位の職員、製薬企業従業員並びに被拘禁者等がある。その他の例として、不治の病に罹患している患者、養護施設収容者、失業者又は貧困者、緊急状態にある患者、少数民族集団、ホームレス、放浪者、難民、未成年及び治験参加の同意を表明する能力のない者があげられる。これらの者を被験者とする場合には、特に慎重な配慮を払うこと。
(被験者に対する責務)
第45条
- 第45条 治験責任医師等は、治験使用薬の適正な使用方法を被験者に説明し、かつ、必要に応じ、被験者が治験使用薬を適正に使用しているかどうかを確認しなければならない。
- 2 治験責任医師等は、被験者が他の医師により治療を受けている場合には、被験者の同意の下に、被験者が治験に参加する旨を当該他の医師に通知しなければならない。
- 3 実施医療機関の長及び治験責任医師等は、被験者に生じた有害事象に対して適切な医療が提供されるよう、事前に、必要な措置を講じておかなければならない。
- 4 治験責任医師等は、被験者に有害事象が生じ、治療が必要であると認めるときは、その旨を被験者に通知しなければならない。
-
〈第1項〉
- 1 治験責任医師等は、治験使用薬が承認された治験実施計画書を遵守した方法でのみ使用されることを保証すること。
- 2 治験責任医師等は、治験使用薬の正しい使用方法を各被験者に説明、指示し、当該治験にとって適切な間隔で、各被験者が説明された指示を正しく守っているか否かを確認すること。
-
〈第2項〉
- 1 第2項の趣旨は、被験者が既に受けている治療において投与されている医薬品等との相互作用等による被験者の健康被害を防ぐためのものであること。
- 2 治験責任医師等は、被験者に他の主治医がいるか否かを確認し、被験者の同意のもとに、主治医に被験者の治験への参加について知らせること。
-
〈第3項〉〈第4項〉
- 1 治験責任医師は、治験に関連する医療上の全ての判断に責任を負うこと。
- 2 実施医療機関の長及び治験責任医師は、被験者の治験参加期間中及びその後を通じ、治験に関連した臨床上問題となる全ての有害事象に対して、十分な医療が被験者に提供されることを保証すること。また、治験責任医師等は、有害事象に対する医療が必要となったことを知った場合には、被験者にその旨を伝えること。
- 3 被験者が治験の途中で参加を取り止めようとする場合、又は取り止めた場合には、被験者はその理由を明らかにする必要はないが、治験責任医師等は、被験者の権利を十分に尊重した上で、その理由を確認するための適切な努力を払うこと。
(治験実施計画書からの逸脱)
第46条
- 第46条 治験責任医師は、被験者の緊急の危険を回避するためその他医療上やむを得ない理由により治験実施計画書に従わなかった場合には、全てこれを記録し、その旨及びその理由を記載した文書を直ちに治験依頼者が治験を依頼する場合にあっては治験依頼者及び実施医療機関の長に、自ら治験を実施する者が治験を実施する場合にあっては実施医療機関の長に提出しなければならない。
- 2 治験依頼者が治験を依頼する場合における前項の規定による文書の提出については、第10条第2項から第5項までの規定を準用する。この場合において、これらの規定中「治験の依頼をしようとする者」とあるのは「治験責任医師」と、「実施医療機関の長」とあるのは「治験依頼者」と読み替えるものとする。
- 1 治験責任医師又は治験分担医師は、治験責任医師が治験依頼者との事前の文書による合意及び治験審査委員会の事前の審査に基づく文書による承認を得ることなく、治験実施計画書からの逸脱又は変更を行ってはならない。ただし、被験者の緊急の危険を回避するためのものである等医療上やむを得ないものである場合又は治験の事務的事項(例:治験依頼者の組織・体制の変更、実施医療機関の名称・診療科名の変更、実施医療機関及び治験依頼者の所在地又は電話番号の変更、モニターの変更)のみに関する変更である場合には、この限りではない。
- 2 治験責任医師又は治験分担医師は、治験実施計画書から逸脱した行為を理由のいかんによらず全て記録しておくこと。
治験責任医師は、逸脱した行為のうち被験者の緊急の危険を回避するためその他医療上やむを得ない理由により治験実施計画書に従わなかったものについてのみ、その理由を記載した文書を作成し、直ちに治験依頼者及び実施医療機関の長に提出すること。 - 3 自ら治験を実施する者による治験において、治験責任医師又は治験分担医師は、治験実施計画書から逸脱した行為を理由のいかんによらず全て記録しておくこと。
治験責任医師は、逸脱した行為のうち被験者の緊急の危険を回避するためその他医療上やむを得ない理由により治験実施計画書に従わなかったものについてのみ、その理由を記載した文書を作成し、直ちに実施医療機関の長に提出すること。 - 4 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者の緊急の危険を回避するためのものである等医療上やむを得ない事情のために、治験依頼者との事前の文書による合意及び治験審査委員会の事前の承認なしに治験実施計画書からの逸脱又は変更を行うことができる。その際には、治験責任医師は、逸脱又は変更の内容及び理由並びに治験実施計画書の改訂が適切な場合にはその案を可能な限り早急に治験依頼者並びに実施医療機関の長及び実施医療機関の長を経由して治験審査委員会に提出してその承認を得るとともに、実施医療機関の長の了承及び実施医療機関の長を経由して治験依頼者の合意を文書で得ること。
- 5 治験責任医師は、無作為割付の手順が規定されている場合にはこれに従い、治験薬割付記号が治験実施計画書を遵守した方法でのみ開封されることを保証すること。盲検法による治験においてあらかじめ定められた時期よりも早い段階での開封(事故による開封、重篤な有害事象のための開封等)を行った時は、治験責任医師はこれをその理由とともに速やかに文書に記録し、治験依頼者による治験においては治験依頼者に提出し、自ら治験を実施する者による治験においては自ら治験を実施する者が保存すること。
- 6 治験責任医師は、治験の実施に重大な影響を与え、又は被験者の危険を増大させるような治験のあらゆる変更について、治験依頼者、実施医療機関の長及び実施医療機関の長を経由して治験審査委員会等に速やかに報告書を提出すること。
- 7 治験責任医師は、自ら治験を実施する者の実施する治験においては、被験者の緊急の危険を回避するためその他医療上やむを得ない理由により治験実施計画書に従わなかった場合には、実施医療機関の長にその旨及びその理由を記載した文書を直ちに提出すること。
なお、提出された内容については、実施医療機関の長を経由して治験審査委員会等に速やかに報告すること。
(症例報告書)
第47条
- 第47条 治験責任医師等は、治験実施計画書に従って正確に症例報告書を作成し、これに記名押印し、又は署名しなければならない。
- 2 治験責任医師等は、症例報告書の記載を変更し、又は修正するときは、その日付を記載して、これに押印し、又は署名しなければならない。
- 3 治験責任医師は、治験分担医師が作成した症例報告書を点検し、内容を確認した上で、これに記名押印し、又は署名しなければならない。
-
〈第1項〉
- 1 治験責任医師等は、症例報告書を治験実施計画書の規定に従って作成すること。また、治験責任医師は、症例報告書の内容を点検し、問題がないことを確認したときに、記名押印又は署名すること。さらに、治験依頼者による治験においては、治験依頼者に症例報告書を提出するとともに、その写しを保存し、自ら治験を実施する者による治験においては、自ら治験を実施する者が保存すること。
- 2 症例報告書中のデータのうち原資料に基づくものは、原資料と矛盾しないものであること。原資料との何らかの矛盾がある場合には、治験責任医師はその理由を説明する記録を作成して、治験依頼者による治験においては治験依頼者に提出するとともにその写しを保存し、自ら治験を実施する者による治験においては自ら治験を実施する者が保存すること。
- 3 治験責任医師は、症例報告書及びその他の全ての報告書のデータが、正確、完全で、読み易く、提出の時期が適切であること、及び被験者の識別に被験者識別コードを用いていることを保証し、その記録を保存すること。なお、その他の全ての報告書には、症例報告書以外の実施医療機関が作成する報告書が含まれる。
- 4 治験責任医師は、医薬品の承認申請に用いるために治験の中間報告書が作成される場合、症例報告書を点検し、内容を確認した上で、これに記名押印し、又は署名すること。
- 5 治験責任医師等は、治験依頼者又は自ら治験を実施する者が準備した電子データ処理システム(第26条第1項の解説3又は第26条の12第1項の解説5に基づき準備されたものに限る。)に対して症例報告書に係る個別試験のデータを入力することもできる。この場合、治験責任医師は、入力した個別試験のデータを点検し、内容を確認した上で、これを保証すること。
- 注1)治験依頼者又は自ら治験を実施する者は、報告された症例報告書データに関し、治験責任医師が管理権限を保持し、かつ、常にアクセス可能であることを保証すべきである。治験依頼者又は自ら治験を実施する者が症例報告書のデータを独占的に管理すべきではない。
- 注2)治験依頼者、自ら治験を実施する者、治験分担医師又は治験協力者は、治験責任医師に対して交付された管理権限を利用してはならない。治験責任医師以外の者により当該管理権限が利用された場合には、治験責任医師が当該管理権限を用いて各種データを保証することが困難となる。
- 6 実施医療機関が保有する電子カルテシステム等から治験依頼者又は自ら治験を実施する者が準備した電子データ処理システムに対して個別試験のデータを移行させる仕組みを構築する場合、又は構築した仕組みを変更する場合には、あらかじめ適切なシステムバリデーションを行い、正確、かつ完全に移行できることを保証すること。また、治験責任医師は、個別試験ごとに移行されたデータの内容を点検し、問題がないことを確認し、保証するとともに、治験依頼者の電子データ処理システムに対して移行されたデータ及び保証した記録を保存すること。
-
〈第2項〉
- 1 治験責任医師等は、症例報告書の変更又は修正に当たり、治験依頼者から提供された又は自ら治験を実施する者が作成した手引きに従うこと。症例報告書のいかなる変更又は修正にも日付の記入及び押印又は署名がなされ、重大な変更又は修正については説明を記すること。また、変更又は修正は当初の記載内容を不明瞭にするものであってはならない(すなわち、監査証跡として保存すること。)。このことは文書及び電子データの変更又は修正の双方に適用される。
- 2 治験責任医師は、症例報告書の変更及び修正の記録を治験依頼者による治験においては治験依頼者に提出するとともにその写しを保存し、自ら治験を実施する者による治験においては自ら治験を実施する者が保存すること。
- 注1)治験依頼者は、治験の実施に先立って、治験責任医師等に症例報告書の変更又は修正に関する手引きを提供すること。また、治験依頼者が指名した者によって行われた症例報告書の変更又は修正においては、それらが文書に記録され、必要なものであり、かつ治験責任医師が承認したものであることを保証するための手順書を作成しておくこと。
- 注2)自ら治験を実施する者は、治験の実施に先立って、症例報告書の変更又は修正に関する手引きを作成し、治験分担医師(自ら治験を実施する者が治験調整医師である場合においては、治験責任医師を含む。)に提供すること。
-
〈第3項〉
- 1 治験責任医師は、治験分担医師が作成した症例報告書について、その内容を点検し、問題がないことを確認したときに、記名押印又は署名すること。治験分担医師が行った症例報告書の変更又は修正について、治験責任医師が点検し、問題がないことを確認したときを含む。
- 注)治験依頼者は、医薬品の承認申請に用いるために中間報告書を作成する場合にも、治験責任医師が症例報告書を点検し、問題ないことを確認し、承認したものであることを保証するための手順書を作成しておくこと。
(治験中の副作用等報告)
第48条
- 第48条 治験責任医師は、治験の実施状況の概要を、適宜、実施医療機関の長に文書により報告しなければならない。
- 2 治験依頼者が治験を依頼する場合にあっては、治験責任医師は、治験使用薬の副作用によると疑われる死亡その他の重篤な有害事象の発生を認めたときは、直ちに実施医療機関の長に報告するとともに、治験依頼者に通知しなければならない。この場合において、治験依頼者、実施医療機関の長又は治験審査委員会等から更に必要な情報の提供を求められたときは、当該治験責任医師はこれに応じなければならない。
- 3 自ら治験を実施する者が治験を実施する場合にあっては、治験責任医師は、治験使用薬の副作用によると疑われる死亡その他の重篤な有害事象の発生を認めたときは、直ちに実施医療機関の長(一つの実施計画書に基づき共同で複数の実施医療機関において治験を実施する場合には他の実施医療機関の治験責任医師を含む。)に報告するとともに、治験薬提供者に通知しなければならない。この場合において、治験薬提供者、実施医療機関の長又は治験審査委員会等から更に必要な情報の提供を求められたときは、当該治験責任医師はこれに応じなければならない。
-
〈第1項〉
- 1 治験責任医師は、治験審査委員会等の継続審査を受けるために、治験の現況の概要を年に1回又は当該治験審査委員会等の求めに応じてそれ以上の頻度で、実施医療機関の長に文書をもって提出すること。
- 2 「治験の実施状況の概要」は、第31条に規定する治験を継続して行うことの適否の審査のために用いられる資料である。
-
〈第2項〉〈第3項〉
- 1 重篤な有害事象の発生を認めたときは、治験使用薬との因果関係の有無にかかわらず、全ての重篤な有害事象を報告するという趣旨である。
- 2 治験責任医師は、全ての重篤な有害事象を実施医療機関の長に直ちに文書により報告すること。
- 3 治験責任医師は、治験実施計画書及び治験薬概要書等の文書において緊急の報告が不要であると規定されている場合を除き、全ての重篤な有害事象を治験依頼者に直ちに報告すること。また、緊急報告の後に、文書による詳細な報告を速やかに行うこと。
- 4 治験責任医師は、治験実施計画書において治験使用薬の安全性評価のために重要であると規定された有害事象について、治験実施計画書で規定された報告要件及び期限を守って治験依頼者に報告すること。
- 5 治験責任医師は、報告した死亡例を含む重篤な有害事象又は副作用について、治験依頼者、実施医療機関の長及び治験審査委員会等から要求された追加の情報(剖検報告書、末期の医療記録及びその他必要とされる情報)をこれらに提出すること。
- 6 自ら治験を実施する者が治験を実施する場合にあっては、治験責任医師は、治験使用薬の副作用によると疑われる死亡その他の重篤な有害事象の発生を認めたときは、直ちに実施医療機関の長のみならず、共同で治験を実施している他の実施医療機関の治験責任医師(多施設共同治験の場合)及び治験薬提供者に対しても通知すること。治験薬提供者、実施医療機関の長又は治験審査委員会等から更に必要な情報の提供を求められたときは、当該治験責任医師はこれに応じること。
(治験の中止等)
第49条
- 第49条 治験責任医師は、第40条第2項の通知により治験が中断され、又は中止されたときは、被験者に速やかにその旨を通知するとともに、適切な医療の提供その他必要な措置を講じなければならない。
- 2 治験責任医師は、自ら治験を中断し、又は中止したときは、実施医療機関の長に速やかにその旨及びその理由を文書により報告しなければならない。
- 3 治験責任医師は、治験を終了したときは、実施医療機関の長にその旨及びその結果の概要を文書により報告しなければならない。
-
〈第1項〉
- 1 治験が何らかの理由で中断又は中止された場合には、治験責任医師は被験者に速やかにその旨を通知し、被験者に対する適切な治療及び事後処理を保証すること。
- 2 治験依頼者が治験の中断又は中止(第24条第2項参照)若しくは被験薬の開発中止(第24条第3項参照)を決定したときは、実施医療機関の長を経由して治験責任医師に通知される。
-
〈第2項〉
- 1 治験責任医師が治験を中断又は中止した場合には、治験責任医師は実施医療機関の長に速やかにその旨を文書で通知するとともに、中断又は中止について文書で詳細に説明すること。
-
〈第3項〉
- 1 治験が終了した場合には、治験責任医師は実施医療機関の長にその旨を文書で通知し、治験結果の概要を文書で報告すること。
4-4 第四節 被験者の同意
(文書による説明と同意の取得)
第50条
- 第50条 治験責任医師等は、被験者となるべき者を治験に参加させるときは、あらかじめ治験の内容その他の治験に関する事項について当該者の理解を得るよう、文書により適切な説明を行い、文書により同意を得なければならない。
- 2 被験者となるべき者が同意の能力を欠くこと等により同意を得ることが困難であるときは、前項の規定にかかわらず、被験者となるべき者の代諾者の同意を得ることにより、当該被験者となるべき者を治験に参加させることができる。
- 3 治験責任医師等は、前項の規定により被験者となるべき者の代諾者となるべき者の同意を得た場合には、代諾者の同意に関する記録及び代諾者と被験者との関係についての記録を作成しなければならない。
- 4 治験責任医師等は、当該被験者に対して治験薬の効果を有しないと予測される治験においては、第2項の規定にかかわらず、同意を得ることが困難な被験者となるべき者を治験に参加させてはならない。ただし、第7条第2項又は第15条の4第2項に規定する場合は、この限りではない。
- 5 治験責任医師等は、説明文書の内容その他治験に関する事項について、被験者となるべき者(被験者となるべき者の代諾者の同意を得る場合にあっては、当該者。次条から第53条までにおいて同じ。)に質問をする機会を与え、かつ、当該質問に十分に答えなければならない。
-
〈第1項〉
- 1 治験責任医師等は、被験者となるべき者が治験に参加する前に、被験者となるべき者に対して第51条第1項各号に掲げる事項を記載した説明文書を用いて十分に説明し、治験への参加について自由意思による同意を文書により得ること。
-
〈第2項〉〈第3項〉
- 1 同意の能力を欠く等により被験者となるべき者の同意を得ることは困難であるが、当該治験の目的上それらの被験者を対象とした治験を実施することがやむを得ない場合(例:未成年者や重度の認知症患者を対象とする場合)には、治験責任医師等は、代諾者となるべき者に対して第51条第1項各号に掲げる事項を記載した説明文書を用いて十分説明し、治験への参加について文書による同意を得ること。この場合、同意に関する記録とともに代諾者と被験者との関係を示す記録を残すこと。
- 2 この場合にあっても、治験責任医師等は、被験者となるべき者の理解力に応じて説明を行い、可能であれば被験者となるべき者からも同意文書への記名押印又は署名と日付の記入を得ること。小児を被験者とする治験の場合は、「小児集団における医薬品の臨床試験に関するガイダンスについて」(平成12年12月15日付け医薬審第1334号厚生省医薬安全局審査管理課長通知)、「小児集団における医薬品の臨床試験に関するガイダンスに関する質疑応答集(Q&A)について」(平成13年6月22日付け厚生労働省医薬局審査管理課事務連絡)を参照すること。
- 3 第2項では、第1項の例外として、本人でなく代諾者の同意により被験者となるべき者を治験に参加させることができる旨規定しているが、この場合における同意取得の過程については、同意者が代諾者であること以外は第1項の規定によること(代諾者の同意は第2項に基づくが、その場合代諾者に対して文書により説明を行うこと及び代諾者から文書による同意を得るべきことの根拠は第1項となる。)。
-
〈第4項〉
- 1 次の2に掲げる場合を除き、被験者に対する直接の臨床的利益が予測されない非治療的な内容の治験においては、必ず被験者となるべき者から同意を得ること。
- 2 非治療的な内容の治験において、次の(1)から(4)に掲げる事項が全て満たされる場合には、被験者となるべき者の代諾者による同意を得て治験を行うことができる。このような治験は、例外が正当化される場合を除き、被験薬の適応となることが意図された疾病又は症状を有する患者において行われるべきである。また、治験責任医師等は、このような治験における被験者に対しては、特に綿密な観察を行い、もし不当な苦痛を受けていると見受けられた場合には、治験を中止すること。
- (1)治験の目的が、本人による同意が可能な被験者による治験では達成されないこと。
- (2)被験者に対する予見しうる危険性が低いこと。
- (3)被験者の福祉に対する悪影響が最小限とされ、かつ低いこと。
- (4)代諾者となるべき者の同意に基づいて被験者を治験に組み入れる旨を明示した上で治験審査委員会に承認の申請がなされ、かかる被験者の参加を承認する旨が承認文書に記載されていること。
- 3 治験責任医師は、あらかじめ、第7条第2項の規定に従ってその旨が明記された治験実施計画書が治験審査委員会において審査された上で治験が承認され、当該治験審査委員会の承認文書上に同意を得ることが困難な者を被験者とすることを認める旨が記載されていることを確認しておくこと。
なお、自ら治験を実施する者による治験の場合には、第15条の4第2項の規定に従うこと。
-
〈第5項〉
- 1 治験責任医師等は、同意を得る前に、被験者となるべき者(被験者となるべき者の代諾者の同意を得る場合にあっては、当該者)が質問をする機会と、治験に参加するか否かを判断するのに十分な時間を与えること。その際、当該治験責任医師、治験分担医師又は補足説明者としての治験協力者は、全ての質問に対して被験者となるべき者(被験者となるべき者の代諾者の同意を得る場合にあっては、当該者)が満足するように答えること。
(説明文書)
第51条
- 第51条 治験責任医師等は、前条第1項の説明を行うときは、次に掲げる事項を記載した説明文書を交付しなければならない。
- 1)当該治験が試験を目的とするものである旨
- 2)治験の目的
- 3)治験責任医師の氏名、職名及び連絡先
- 4)治験の方法
- 5)予測される治験薬による被験者の心身の健康に対する利益(当該利益が見込まれない場合はその旨)及び予測される被験者に対する不利益
- 6)他の治療方法に関する事項
- 7)治験に参加する期間
- 8)治験の参加をいつでも取りやめることができる旨
- 9)治験に参加しないこと又は参加を取りやめることにより被験者が不利益な取扱いを受けない旨
- 10)被験者の秘密が保全されることを条件に、モニター、監査担当者及び治験審査委員会等が原資料を閲覧できる旨
- 11)被験者に係る秘密が保全される旨
- 12)健康被害が発生した場合における実施医療機関の連絡先
- 13)健康被害が発生した場合に必要な治療が行われる旨
- 14)健康被害の補償に関する事項
- 15)当該治験の適否等について調査審議を行う治験審査委員会の種類、各治験審査委員会において調査審議を行う事項その他当該治験に係る治験審査委員会に関する事項
- 16)被験者が負担する治験の費用があるときは、当該費用に関する事項
- 17)当該治験に係る必要な事項
- 2 説明文書には、被験者となるべき者に権利を放棄させる旨又はそれを疑わせる記載及び治験依頼者、自ら治験を実施する者、実施医療機関、治験責任医師等の責任を免除し、若しくは軽減させる旨又はそれを疑わせる記載をしてはならない。
- 3 説明文書には、できる限り平易な表現を用いなければならない。
-
〈第1項〉
- 1 説明文書には、少なくとも次の事項が含まれていること。
- (1)治験が研究を伴うこと(第1号)。
- (2)治験の目的(第2号)
- (3)治験責任医師の氏名、職名及び連絡先(第3号)
- (4)治験の方法(治験の試験的側面、被験者の選択基準、及び無作為割付が行われる場合は各処置に割り付けられる確率を含む。)(第4号)
- (5)予期される臨床上の利益及び危険性又は不便(被験者にとって予期される利益がない場合には、被験者にその旨を知らせること。)(第5号)
- (6)患者を被験者にする場合には、当該患者に対する他の治療方法の有無及びその治療方法に関して予測される重要な利益及び危険性(第6号)
- (7)被験者の治験への参加予定期間(第7号)
- (8)治験への参加は被験者の自由意思によるものであり、被験者又はその代諾者は、被験者の治験への参加を随時拒否又は撤回することができること。また、拒否・撤回によって被験者が不利な扱いを受けたり、治験に参加しない場合に受けるべき利益を失うことはないこと(第8号及び第9号)。
- (9)モニター、監査担当者、治験審査委員会等及び規制当局が医療に係る原資料を閲覧できること。その際、被験者の秘密は保全されること。また、同意文書に被験者又はその代諾者が記名押印又は署名することによって閲覧を認めたことになること(第10号)。
- (10)治験の結果が公表される場合であっても、被験者の秘密は保全されること(第11号)。
- (11)被験者が治験及び被験者の権利に関してさらに情報の入手を希望する場合又は治験に関連する健康被害が生じた場合に照会すべき又は連絡をとるべき実施医療機関の相談窓口(第12号)
- (12)治験に関連する健康被害が発生した場合に被験者が受けることのできる補償及び治療(第13号及び第14号)
- (13)治験に参加する予定の被験者数(第17号)
- (14)治験への参加の継続について被験者又はその代諾者の意思に影響を与える可能性のある情報が得られた場合には速やかに被験者又はその代諾者に伝えること(第17号)。
- (15)治験への参加を中止させる場合の条件又は理由(第17号)
- (16)被験者が費用負担をする必要がある場合にはその内容(第17号)
- (17)被験者に金銭等が支払われる場合にはその内容(支払額算定の取決め等)(第17号)
- (18)被験者が守るべき事項(第17号)
- 2 第5号の「予測される治験薬による被験者の心身の健康に対する利益(当該利益が見込まれない場合はその旨)及び予測される被験者に対する不利益」とは、予期される臨床上の利益及び危険性又は不便を指すものである。また、被験者にとって予期される利益がない場合には、被験者にその旨を知らせること。
- 3 第15号における用語の意義等については次のとおりである。
- (1)「治験審査委員会の種類」とは、治験審査委員会及び専門治験審査委員会の別を指すものである。
- (2)「各治験審査委員会において調査審議を行う事項」とは、本基準の規定により各治験審査委員会が実施医療機関の長から意見を聴かれる事項を指すものであり、当該事項については各治験審査委員会が倫理的、科学的及び医学的・薬学的観点から治験の実施又は継続についての調査審議を行い、実施医療機関の長に意見を述べる旨を被験者に分かりやすく記載することが適当である。
- (3)「その他当該治験に係る治験審査委員会に関する事項」には、各治験審査委員会の設置者の名称及び所在地、当該設置者に係る閲覧可能な情報等を含むものである。「当該設置者に係る閲覧可能な情報等」とは、第27条第1項第2号から第4号までに掲げる治験審査委員会の設置者にあっては、定款、財産目録、貸借対照表、損益計算書、事業報告書(学会のうち法人格を有しないものにあってはこれらに準ずるもの)等の一般の閲覧に供している情報の入手方法を含むものである。また、被験者がこれらの閲覧を希望する場合には、速やかにこれらの資料を閲覧に供することができるようにしておくこと。
- 4 治験の被験者に交付する説明文書には、治験審査委員会の手順書等を確認することができる旨を記載し、併せて、治験審査委員会の手順書等を実施医療機関等のホームページで公表している場合にあっては当該ホームページのアドレスを、公表していない場合にあっては治験審査委員会の手順書等を事務所に備えて置くこと等により一般の閲覧に供している旨を記載すること。
また、治験審査委員会の手順書等を確認したい場合には申し出てほしい旨を記載すること(第15号)。 - 5 第17号の 「当該治験に係る必要な事項」とは、治験に参加する予定の被験者数、治験に継続して参加するかどうかについて被験者の意思に影響を与えるものと認める情報を入手した場合には直ちに被験者又は代諾者に当該情報が伝えられること、治験への参加を中止させる場合の条件又は理由、被験者が費用負担をする必要がある場合にはその内容、被験者に金銭等が支払われる場合にはその内容及び被験者が守るべき事項が挙げられること。
- 6 説明文書と同意文書(第52条参照)は一体化した文書又は一式の文書とすることが望ましい。
- 7 説明文書の交付の対象は、被験者となるべき者又は代諾者となるべき者である。
-
〈第2項〉
- 1 説明文書には、被験者となるべき者又は代諾者となるべき者に権利を放棄させるかそれを疑わせる語句、又は治験責任医師、治験分担医師、治験協力者、実施医療機関、自ら治験を実施する者、治験依頼者の法的責任を免除するかそれを疑わせる語句が含まれていないこと。
- 2 説明に際して口頭で提供される情報についても、1と同様である。
-
〈第3項〉
- 1 説明文書には、被験者となるべき者又は代諾者となるべき者(被験者となるべき者又は代諾者となるべき者が説明文書を読むことができないが、口頭又は他の伝達方法ではその内容を理解することができる場合における公正な立会人を含む。)が理解可能で、可能な限り非専門的な言葉を用いること。
- 2 説明に際して口頭で提供される情報についても、1と同様である。
(同意文書等への署名等)
第52条
- 第52条 第50条第1項又は第2項に規定する同意は、被験者となるべき者が説明文書の内容を十分に理解した上で、当該内容の治験に参加することに同意する旨を記載した文書(以下「同意文書」という。)に、説明を行った治験責任医師等及び被験者となるべき者(第3項に規定する立会人が立ち会う場合にあっては、被験者となるべき者及び立会人。次条において同じ。)が日付を記載して、これに記名押印し、又は署名しなければ、効力を生じない。
- 2 第50条第1項又は第2項に規定する同意は、治験責任医師等に強制され、又はその判断に不当な影響を及ぼされたものであってはならない。
- 3 説明文書を読むことができない被験者となるべき者(第50条第2項に規定する被験者となるべき者を除く。)に対する同条第1項に規定する説明及び同意は、立会人を立ち会わせた上で、しなければならない。
- 4 前項の立会人は、治験責任医師等及び治験協力者であってはならない。
-
〈第1項〉
- 1 同意文書には、説明を行った治験責任医師等並びに被験者となるべき者又は代諾者となるべき者が説明文書の内容を十分に理解した上で、治験に参加することに同意する旨を記載した同意文書に記名押印又は署名し、各自日付を記入すること。なお、治験協力者が補足的な説明を行った場合には、当該治験協力者も記名押印又は署名し、日付を記入すること。
- 2 第3項の規定により、被験者となるべき者又はその代諾者となるべき者が説明文書を読むことができないが、口頭又は他の伝達方法ではその内容を理解することができる場合には、説明に際して公正な立会人を要する。この場合には、被験者となるべき者又は代諾者となるべき者に加え、立会人も同意文書に記名押印又は署名し、自ら日付を記入すること。
-
〈第2項〉
- 1 治験責任医師、治験分担医師及び治験協力者は、治験への参加又は治験への参加の継続に関し、被験者となるべき者又は代諾者となるべき者に強制したり又は不当な影響を及ぼさないこと。
-
〈第3項〉
- 1 被験者となるべき者又は代諾者となるべき者が説明文書を読むことができないが、口頭又は他の伝達方法ではその内容を理解することができる場合には、説明に際して公正な立会人を要することとする。被験者となるべき者又は代諾者となるべき者に対して、説明文書が渡され、その内容が口頭又は他の伝達方法により説明され、被験者となるべき者又は代諾者となるべき者が被験者の治験への参加に口頭で同意し、さらに被験者となるべき者又は代諾者となるべき者が同意文書に記名押印又は署名し、自ら日付を記入した後に、立会人も同意文書に記名押印又は署名し、自ら日付を記入することにより、被験者となるべき者又は代諾者となるべき者が治験の内容等を理解し、自由意思により同意を与えたものであることを証すること。
- 2 「説明文書を読むことができない被験者となるべき者」とは、例えば、眼疾患を有することにより説明文書を読むことはできないが、口頭による説明等ではその内容を理解することができる被験者となるべき者等が考えられる。
- 3 本項は、同意の能力はあるが視力障害等により説明文書が読めない者についての措置に関する規定である。「説明文書を読むことができない被験者となるべき者」は、「被験者となるべき者又は代諾者となるべき者」を意味するが、括弧内の「第50条第2項に規定する被験者となるべき者を除く」とは同意の能力を欠くこと等により同意を得ることが困難な被験者となるべき者本人を除く意味であること。同意の能力がなく、説明文書が読めない被験者に対しては、代諾者がまず問義され、代諾者が視力障害等により説明文書を読めない場合に代諾者に対して本項の立会人の適用がある。
- 4 「同条第1項に規定する説明」とは、被験者となるべき者又は代諾者となるべき者に対する説明を、「同意」とは同条第1項又は第2項に規定するこれらの者による同意を意味する。
-
〈第4項〉
- 1 治験責任医師、治験分担医師及び治験協力者は説明をする側に位置する者であり、公正な立会人としては適当でない。
(同意文書の交付)
第53条
- 第53条 治験責任医師等は、治験責任医師等及び被験者となるべき者が記名押印し、又は署名した同意文書の写しを被験者(代諾者の同意を得た場合にあっては、当該者。次条において同じ。)に交付しなければならない。
- 1 治験責任医師等は、これらの者及び被験者となるべき者(代諾者の同意を得ようとする場合には、代諾者となるべき者)が記名押印又は署名した同意文書の写しを被験者(代諾者の同意を得た場合にあっては、代諾者)に渡すこと。
(被験者の意思に影響を与える情報が得られた場合)
第54条
- 第54条 治験責任医師等は、治験に継続して参加するかどうかについて被験者の意思に影響を与えるものと認める情報を入手した場合には、直ちに当該情報を被験者に提供し、これを文書により記録するとともに、被験者が治験に継続して参加するかどうかを確認しなければならない。この場合においては、第50条第5項及び第52条第2項の規定を準用する。
- 2 治験責任医師は、前項の場合において、説明文書を改訂する必要があると認めたときは、速やかに説明文書を改訂しなければならない。
- 3 治験責任医師は、前項の規定により説明文書を改訂したときは、その旨を実施医療機関の長に報告するとともに、治験の参加の継続について改めて被験者の同意を得なければならない。この場合においては、第51条から前条までの規定を準用する。
-
〈第1項〉
- 1 治験への参加の継続について被験者又は代諾者の意思に影響を与える可能性のある情報が得られた場合には、治験責任医師等は、当該情報を速やかに被験者又は代諾者に伝え、被験者の治験への参加の継続について、被験者又は代諾者の意思を確認すること。この場合にあっては、当該情報を被験者又は代諾者に伝えたことを文書に記録しておくこと。
- 2 第50条第5項(質問する機会を与え、かつ質問に十分に答えること。)、第52条第2項(治験への参加の継続に関し、強制したり又は不当な影響を及ぼさないこと。)を準用する。
-
〈第2項〉〈第3項〉
- 1 被験者の同意に関連し得る新たな重要な情報が得られた場合には、治験責任医師は、速やかに当該情報に基づき説明文書を改訂し、あらかじめ治験審査委員会の承認を得ること。また、治験責任医師又は治験分担医師は、すでに治験に参加している被験者に対して、当該情報を被験者又は代諾者に速やかに伝え、治験に継続して参加するか否かについて、被験者又は代諾者の意思を確認するとともに、治験審査委員会により承認された改訂後の説明文書を用いて改めて説明し、治験への参加の継続について被験者又は代諾者から自由意思による同意を文書により得ること。
(緊急状況下における救命的治験)
第55条
- 第55条 治験責任医師等は、第7条第3項又は第15条の4第3項に規定する治験においては、次の各号の全てに該当する場合に限り、被験者となるべき者及び代諾者となるべき者の同意を得ずに当該被験者となるべき者を治験に参加させることができる。
- 1)被験者となるべき者に緊急かつ明白な生命の危険が生じていること。
- 2)現在における治療方法では十分な効果が期待できないこと。
- 3)被験薬の使用により被験者となるべき者の生命の危険が回避できる可能性が十分にあると認められること。
- 4)予測される被験者に対する不利益が必要な最小限度のものであること。
- 5)代諾者となるべき者と直ちに連絡を取ることができないこと。
- 2 治験責任医師等は、前項に規定する場合には、速やかに被験者又は代諾者となるべき者に対して当該治験に関する事項について適切な説明を行い、当該治験への参加について文書により同意を得なければならない。
-
〈第1項〉〈第2項〉
- 1 緊急状況下における救命的な内容の治験であって、被験者となるべき者から事前の同意を得ることが不可能である場合においては、被験者となるべき者の代諾者からその同意を得るべきである。被験者となるべき者の事前の同意が不可能で、かつ、被験者となるべき者の代諾者と連絡が取れない場合には、次の各号の全てに該当する場合に限り治験に参加させることができる。
- (1)被験者となるべき者に緊急かつ明白な生命の危険が生じていること。
- (2)現在利用可能な治療方法では十分な効果が期待できないこと。
- (3)被験薬の使用により被験者となるべき者の生命の危険が回避できる可能性が十分にあると認められること。
- (4)予測される被験者に対する不利益が最少限度のものであること。
- (5)代諾者となるべき者と直ちに連絡をとることができないこと。
- 2 治験責任医師等は、あらかじめ、治験審査委員会の承認文書に被験者及び代諾者の同意なしに治験に加わった者の人権の保護、安全の保持及び福祉の向上を図る方法が明記されていることを確認しておくこと。
- 3 第2項の趣旨から、被験者の身元が明らかでない者を治験の対象としないこと。
- 4 このような場合でも、被験者(又はその代諾者となるべき者)に対し、できるだけ速やかに当該治験に関する説明を行い、治験の継続及びその他の適切な事項について文書により同意を得ること。また、その経過と結果を治験審査委員会に報告すること。
5.第五章 再審査等の資料の基準
(再審査等の資料の基準)
第56条
- 第56条 法第14条又は第19条の2の承認を受けた者が行う医薬品の臨床試験の実施に係る法第14条の4第5項及び第14条の6第4項に規定する資料の収集及び作成については、第4条から第6条まで、第7条(第3項第1号を除く。)、第9条、第10条(第1項第2号を除く。)、第11条から第15条まで、第16条から第23条まで、第24条第1項及び第2項、第25条、第26条並びに第27条から第55条までの規定を準用する。この場合において、これらの規定(見出しを含む。)中「治験」とあるのは「製造販売後臨床試験」と、「治験実施計画書」とあるのは「製造販売後臨床試験実施計画書」と、「治験責任医師」とあるのは「製造販売後臨床試験責任医師」と、「治験国内管理人」とあるのは「製造販売後臨床試験国内管理人」と、「治験調整医師」とあるのは「製造販売後臨床試験調整医師」と、「治験調整委員会」とあるのは「製造販売後臨床試験調整委員会」と、「治験分担医師」とあるのは「製造販売後臨床試験分担医師」と、「治験責任医師等」とあるのは「製造販売後臨床試験責任医師等」と、「治験依頼者」とあるのは「製造販売後臨床試験依頼者」と、「治験薬管理者」とあるのは「製造販売後臨床試験薬管理者」と、「治験協力者」とあるのは「製造販売後臨床試験協力者」と、「治験審査委員会」とあるのは「製造販売後臨床試験審査委員会」と、「治験使用薬」とあるのは「製造販売後臨床試験使用薬」と、「治験使用薬等」とあるのは「製造販売後臨床試験使用薬等」と、「専門治験審査委員会」とあるのは「専門製造販売後臨床試験審査委員会」と、「治験審査委員会等」とあるのは「製造販売後臨床試験審査委員会等」と、これらの規定(見出しを含み、第11条、第16条の見出し及び同条第1項、第2項並びに第5項から第7項まで、第17条(見出しを含む。)並びに第39条(見出しを含む。)の規定を除く。)中「治験薬」とあるのは「製造販売後臨床試験薬」と、第7条第1項第2号中「全部又は一部」とあるのは「一部」と、第11条中「治験薬」とあるのは、「被験者、製造販売後臨床試験責任医師等又は製造販売後臨床試験協力者が被験薬及び対照薬の識別をできない状態(以下「盲検状態」という。)にした製造販売後臨床試験薬」と、第12条第1項及び第13条第1項中「全部又は一部」とあるのは「一部」と、第16条の見出し及び同条第1項、第2項、第5項及び第7項中「治験薬」とあるのは「盲検状態にした製造販売後臨床試験薬」と、同条第1項第1号中「治験用」とあるのは「製造販売後臨床試験用」と、同条第2項第1号中「予定される」とあるのは「承認されている」と、第17条(見出しを含む。)中「治験薬」とあるのは「盲検状態にした製造販売後臨床試験薬」と、第20条第2項中「法第80条の2第6項に規定する事項」とあるのは「法第68条の10第1項に規定する事項(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則第228条の20第1項第1号及び第2号に規定する事項であって当該製造販売後臨床試験において発生したものに限る。)」と、「当該被験薬について初めて治験の計画を届け出た日」とあるのは「当該被験薬に係る医薬品の製造販売の承認の際に厚生労働大臣が指定した日」と、同条第3項中「治験薬概要書」とあるのは「添付文書」と、「直ちにその旨を治験責任医師」とあるのは「直ちにその旨を当該製造販売後臨床試験責任医師」と、同条第4項中「治験実施計画書及び治験薬概要書」とあるのは「製造販売後臨床試験実施計画書」と、第26条第1項中「に係る医薬品についての製造販売の承認を受ける日(第24条第3項の規定により通知したときは、通知した日後3年を経過した日)又は治験の中止若しくは終了の後3年を経過した日のうちいずれか遅い日までの期間」とあるのは「の再審査又は再評価が終了した日後5年間」と、第34条中「に係る医薬品についての製造販売の承認を受ける日(第24条第3項又は第26条の10第3項に規定する通知を受けたときは、通知を受けた日)又は治験の中止若しくは終了の後3年を経過した日のうちいずれか遅い日までの期間」とあるのは「の再審査又は再評価が終了する日まで」と、第38条見出し中「治験事務局」とあるのは「製造販売後臨床試験事務局」と、第39条(見出しを含む。)中「治験薬」とあるのは「盲検状態にした製造販売後臨床試験薬」と、「第16条第6項又は第26条の2第6項」とあるのは「第16条第6項」と、第40条第1項中「第20条第2項及び第3項の規定により治験依頼者から又は第26条の6第2項の規定により自ら治験を実施する者」とあるのは「製造販売後臨床試験依頼者」と、同条第2項中「第24条第2項の規定により治験依頼者から若しくは第26条の10第2項の規定により自ら治験を実施する者」とあるのは「製造販売後臨床試験依頼者」と、「通知を受けたとき又は第24条第3項の規定により治験依頼者から申請書に添付しないことを決定した旨の通知若しくは第26条の10第3項の規定により自ら治験を実施する者から申請書に添付されないことを知った旨の通知」とあるのは「通知」と、第41条第2項中「に係る医薬品についての製造販売の承認を受ける日(第24条第3項又は第26条の10第3項の規定により通知を受けたときは、通知を受けた日後3年を経過した日)又は治験の中止若しくは終了の後3年を経過した日のうちいずれか遅い日までの期間」とあるのは「の再審査又は再評価が終了する日まで」と、第42条第2号中「治験実施計画書、治験薬概要書」とあるのは「製造販売後臨床試験実施計画書」と読み替えるものとする。
- 1 適用対象について
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条の4に基づく再審査申請、第14条の6に基づく再評価申請を行う際に提出する資料の適合性の基準のうち製造販売後臨床試験に関するもの。ただし、製造販売後臨床試験を実施する際には、本基準によるほか、「医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令」(平成16年厚生労働省令第171号。以下「GPSP省令」という。)によること。 - 2 適用基準について
- (1)承認審査資料の基準を読み替えることを除き原則的に同じ。
- (2)製造販売後臨床試験の特性に鑑み、適用除外として次のようなものがある。
- ① 第7条第3項第1号
第50条第1項(被験者となるべき者に対する説明と同意)及び第2項(代諾者に対する説明と同意)の同意を得ることが困難と予想される者を対象にしている場合に、実施計画書に記載しなければならない事項のうち、「当該被験薬が、生命が危険な状態にある傷病者に対して、その生命の危険を回避するため緊急に使用される医薬品として、製造販売の承認を申請することを予定しているものであることの説明」を除外する。
(適用除外の理由)
治験段階の薬物にあっては、有効性が確認されていないが、承認後に実施される再審査、再評価のための製造販売後臨床試験においては、適用する必要が無いため。 - ② 第8条
第5条に規定する被験薬の品質、毒性及び薬理作用に関する試験その他治験の依頼をするために必要な試験により得られた資料並びに被験薬の品質、有効性及び安全性に関する情報に基づいた治験薬概要書の作成と改訂を除外する。
(適用除外の理由)
製造販売後臨床試験は既承認医薬品を用いて行われるため、治験薬概要書に当たるものの作成を行う必要はない。なお、盲検比較試験においても既承認医薬品が用いられるが、この際にも使用される被験薬及び対照薬は、製造販売後臨床試験実施計画書中で明らかなため概要書の作成を求めない。 - ③ 第10条第1項第2号
治験の依頼をしようとする者が、あらかじめ、実施医療機関の長に提出しなければならない文書から、治験薬概要書を除外する。
(適用除外の理由)
②の理由と同様に製造販売後臨床試験においては治験薬概要書に当たるものを作成する必要はない。 - ④ 第16条第1項第1号
承認申請後も治験を継続した後、承認後に製造販売後臨床試験に切り替え継続実施し、市販薬の使用開始に伴い当該試験を終了する場合、治験薬の容器又は被包の治験用である旨の記載を製造販売後臨床試験用である旨の記載に変更する必要はない。
(適用除外の理由)
承認時から市販薬の使用開始までの期間は短期間であり、容器又は被包への記載をもって管理する必要はない。 - ⑤ 第24条第3項
治験依頼者は、当該治験により収集された臨床試験の試験成績に関する資料を法第14条第3項及び施行規則第45条の4第1項に規定する申請書に添付しないことを決定した場合には、その旨及びその理由を実施医療機関の長に文書により通知しなければならない。
(適用除外の理由)
GPSP省令では、製造販売業者等にその実施する製造販売後臨床試験に関し、製造販売後調査等業務手順書及び製造販売後調査等基本計画書の作成を求めている。
- ① 第7条第3項第1号
- (3)再審査等の資料の基準における読替え
治験→製造販売後臨床試験
治験実施計画書→製造販売後臨床試験実施計画書
治験責任医師→製造販売後臨床試験責任医師
治験国内管理人→製造販売後臨床試験国内管理人
治験調整医師→製造販売後臨床試験調整医師
治験調整委員会→製造販売後臨床試験調整委員会
治験分担医師→製造販売後臨床試験分担医師
治験責任医師等→製造販売後臨床試験責任医師等
治験依頼者→製造販売後臨床試験依頼者
治験薬管理者→製造販売後臨床試験薬管理者
治験協力者→製造販売後臨床試験協力者
治験審査委員会→製造販売後臨床試験審査委員会
治験使用薬→製造販売後臨床試験使用薬
治験使用薬等→製造販売後臨床試験使用薬等
専門治験審査委員会→専門製造販売後臨床試験審査委員会
治験審査委員会等→製造販売後臨床試験審査委員会等
治験用→製造販売後臨床試験用
多施設共同治験→多施設共同製造販売後臨床試験
治験事務局→製造販売後臨床試験事務局
- (4)治験を製造販売後臨床試験に切り替え継続実施する場合の対応について
製造販売後臨床試験の依頼をしようとする者は、承認日から製造販売後臨床試験に切り替えられるよう、次のような対応を講じておくこと。- ① 第7条(治験実施計画書)
あらかじめ製造販売後臨床試験実施計画書を作成しておくこと。なお、治験実施計画書において、承認日以降は自動的に「治験」を「製造販売後臨床試験」と読み替える旨記載しておくことでも差し支えない。 - ② 第10条(実施医療機関の長への文書の事前提出)
あらかじめ製造販売後臨床試験実施医療機関となる施設の長に対して、第1項に掲げる文書を提出しておくこと。 - ③ 第11条(治験薬の事前交付の禁止)
製造販売後臨床試験実施医療機関となる施設との間で、第13条の規定に基づく契約を締結した後であれば、承認日以前であっても、当該施設に対して、製造販売後臨床試験薬を交付することができる。 - ④ 第13条(治験の契約)
あらかじめ製造販売後臨床試験実施医療機関となる施設との間で契約を締結しておくこと。なお、治験の契約において、承認日以降は自動的に「治験」を「製造販売後臨床試験」と読み替える旨規定しておくことでも差し支えない。 - ⑤ 第14条(被験者に対する補償措置)
承認日から実施できるよう、あらかじめ保険契約の締結その他の必要な措置を講じておくこと。 - ⑥ 第16条(治験薬又は治験使用薬の管理)及び第17条(治験薬の交付)
品質の確保を前提条件として、実施医療機関に交付された治験薬を製造販売後臨床試験薬として使用することができる。その場合、承認日以降に製造販売後臨床試験に切り替え継続実施し、市販薬の使用開始に伴い当該試験を終了する場合を除き、承認日以降、速やかに、あらかじめ定めた手順に基づき、品質の確保が可能な場所において、治験薬の容器又は被包の治験用である旨の記載を製造販売後臨床試験用である旨の記載に変更し、その記録を作成し保存すること。 - ⑦ 第30条(治験審査委員会の審査)
あらかじめ製造販売後臨床試験実施医療機関となる施設の治験審査委員会から、製造販売後臨床試験の実施について承認を取得しておくこと。 - ⑧ 第50条から第54条まで(被験者の同意)
承認日以降、速やかに、被験者に対して当該医薬品が承認された旨記載された説明文書を交付し、製造販売後臨床試験に参加することについて文書により改めて同意を取得すること。
- ① 第7条(治験実施計画書)
- (5)市販薬を用いる製造販売後臨床試験の特例
- ① 第11条
製造販売後臨床試験の依頼をしようとする者は、製造販売後臨床試験の契約が締結される前に、実施医療機関に対して被験者、製造販売後臨床試験責任医師等又は製造販売後臨床試験協力者が被験薬及び対照薬の識別をできない状態(盲検状態)にした製造販売後臨床試験薬を交付してはならない。
(市販薬を用いる場合)
そもそも市販薬は、臨床現場に提供されているものであり、契約の締結に関わらず販売授与されることが想定されるものであり、契約前の交付を禁じる意味がないため適用除外とされている。 - ② 第16条
- 第1項 製造販売後臨床試験依頼者が盲検状態にした製造販売後臨床試験薬の容器又は被包に邦文で記載しなければならない事項。
- 第2項 製造販売後臨床試験依頼者が製造販売後臨床試験薬に添付する文書、その盲検状態にした製造販売後臨床試験薬又は容器若しくは被包(内袋を含む。)に記載してはならない事項。
- 第5項 製造販売後臨床試験依頼者が盲検状態にした製造販売後臨床試験薬又は製造販売後臨床試験使用薬に関する作成しなければならない記録。
- 第6項 製造販売後臨床試験依頼者は、製造販売後臨床試験の契約の締結後遅滞なく、実施医療機関における盲検状態にした製造販売後臨床試験薬又は製造販売後臨床試験使用薬の管理に関する手順書を作成し、これを実施医療機関の長に交付しなければならない。
- 第7項 製造販売後臨床試験は、必要に応じ、盲検状態にした製造販売後臨床試験薬の溶解方法その他の取扱方法を説明した文書を作成し、これを製造販売後臨床試験責任医師等、製造販売後臨床試験協力者及び第39条に規定する製造販売後臨床試験薬管理者に交付しなければならない。
- (市販薬を用いる場合)
上記各項は、市販薬を用いた場合には適用されない。なお、第3項は、元々盲検状態の医薬品に関する条項であり市販品を用いた場合は関係ないこと。また、第4項は適切な包装を求めるものであり盲検状態の有無に関わらず遵守すべき事項である。
- ③ 第17条第1項
製造販売後臨床試験依頼者は、盲検状態にした製造販売後臨床試験薬の品質の確保のために必要な構造設備を備え、かつ、適切な製造管理及び品質管理の方法が採られている製造所において製造された盲検状態にした製造販売後臨床試験薬を実施医療機関に交付しなければならない。
(市販薬を用いる場合)
市販品を用いる場合は、GMPが既に適用されているため、本項を新たに適用する必要はない。 - ④ 第39条(盲検状態にした製造販売後臨床試験薬又は製造販売後臨床試験使用薬の管理)
- 製造販売後臨床試験薬管理者は、第16条第6項の手順書に従って盲検状態にした製造販売後臨床試験薬又は製造販売後臨床試験使用薬を適切に管理しなければならない。
- (市販薬を用いる場合)
市販薬を用いる場合は第16条第6項で求める製造販売後臨床試験の管理の手順書による管理を行う必要はない。ただし、自主的にこれを作成し管理を行うことを妨げるものではない。
- ① 第11条
- (6)GPSP省令の制定に伴い、資料の保存期間及び副作用等情報の通知に関して次のとおり改められた。
- ① 第34条(記録の保存)
製造販売後臨床試験審査委員会の設置者は、手順書、委員名簿、第32条第1項各号に掲げる提出された資料、第40条第1項から第4項までの規定による製造販売後臨床試験審査委員会への通知、会議の記録を、被験薬の再審査又は再評価が終了する日までの期間保存しなければならない。 - ② 第41条第2項(記録の保存)
記録保存責任者は、実施医療機関において保存すべき文書又は記録を、被験薬の再審査又は再評価が終了する日までの期間保存しなければならない。 - ③ 第20条第2項(副作用情報等)
製造販売後臨床試験依頼者は、当該製造販売後臨床試験において発生した被験薬について法第68条の10に規定する事項(施行規則第228条の20に規定するものに限る。)を知ったときは、その国内重篤副作用等症例の発現状況一覧を当該製造販売後臨床試験において発生した被験薬ごとに、製造販売後臨床試験の対象とされる医薬品の製造販売の承認の際に厚生労働大臣が指定した日等から起算して1年ごとに、その期間の満了後3か月以内に製造販売後臨床試験責任医師及び実施医療機関の長に通知しなければならない。 - ④ 第20条第3項(副作用情報等)
製造販売後臨床試験依頼者は、上記③で規定する事項のうち当該被験薬の添付文書等又は容器若しくは被包に記載された使用上の注意等から予測できないものを知ったときは、直ちにその旨を製造販売後臨床試験責任医師及び実施医療機関の長に通知しなければならない。
- ① 第34条(記録の保存)
6.第六章 治験の依頼等の基準
(法第80条の2第1項の厚生労働省令で定める基準)
第57条
- 第57条 法第80条の2第1項の厚生労働省令で定める基準は、第4条第1項、第5条、第7条第1項(第9号及び第11号から第13号までを除く。)、第8条第1項、第11条、第13条(同条第1項第10号、第12号から第15号まで及び第17号を除く。)、第14条及び第15条の規定を準用する。この場合において、第4条第1項中「実施医療機関及び治験責任医師の選定、治験使用薬の管理、治験使用薬等の副作用情報等の収集、記録の保存その他の治験の依頼及び管理に係る」とあるのは「治験使用薬の管理及び記録の保存の」と、第5条中「試験その他治験の依頼をするために必要な試験」とあるのは「試験」と、第13条第1項中「前条の規定により」とあるのは「治験の依頼及び管理に係る」と読み替えるものとする。
- 本条は、法第80条の2第1項の厚生労働省令で定める基準、すなわち、治験の依頼をしようとする者が治験の依頼をする際に従うべき基準(治験の依頼の基準)を定めている。
治験の依頼の基準は、本基準が被験者の保護のために設けられ、その違反については罰則の適用があることに鑑み、承認審査資料の基準である治験の依頼に関する基準(第二章、第4条から第15条)の特に重要な規定のみを準用し、必要な読替えを行うこととしている。
(法第80条の2第4項の厚生労働省令で定める基準)
第58条
- 第58条 治験の依頼を受けた者に係る法第80条の2第4項の厚生労働省令で定める基準は、第27条から第55条まで(第29条第1項第2号、第31条第4項、第32条第4項及び第7項、第33条第3項並びに第48条第3項を除く。)の規定を準用する。
- 2 自ら治験を実施する者に係る法第80条の2第4項の厚生労働省令で定める基準は、第15条の2第1項、第15条の3、第15条の4第1項(第10号及び第12号から第14号までを除く。)、第15条の5第1項、第15条の7(第9号、第10号及び第12号から第14号までを除く。)、第15条の9、第26条の2(第1項第5号及び第7項を除く。)、第26条の7第1項及び第3項、第26条の12(第1号から第4号までを除く。)、第27条から第55条まで(第29条第1項第1号、第32条第6項及び第8項並びに第48条第2項を除く。)の規定を準用する。この場合において、第15条の2第1項中「治験実施計画書の作成、治験使用薬の管理、治験使用薬等の副作用情報等の収集、記録の保存その他の治験の実施の準備及び管理に係る」とあるのは「治験使用薬の管理及び記録の保存の」と、第15条の3中「試験その他治験を実施するために必要な試験」とあるのは「試験」と、第26条の2第5項中「製造数量等の製造に関する」とあるのは「製造数量の」と、「安定性等の品質」とあるのは「品質」と、第26条の12中「適切に保存」とあるのは「保存」と読み替えるものとする。
- 本条で定められた規定は、法第80条の2第4項に規定する「厚生労働省令で定める基準」として自ら治験を実施しようとする者及び自ら治験を実施する者にそれぞれ適用すること。
本条第1項は、法第80条の2第4項の厚生労働省令で定める基準、すなわち治験の依頼を受けた者が治験をする際に従うべき基準(治験を行う基準)を定めている。
治験を行う基準は、承認審査資料の基準としての治験を行う基準(第四章、第27条から第55条)と内容が全く同じであるため、同一の条項を準用することとしている。
(法第80条の2第5項の厚生労働省令で定める基準)
第59条
- 第59条 法第80条の2第5項の厚生労働省令で定める基準は、第16条(第1項第5号及び第7項を除く。)、第21条第1項並びに第26条第1項(第1号から第4号までを除く。)及び第2項の規定を準用する。この場合において、第16条第5項中「製造数量等の製造に関する」とあるのは「製造数量の」と、「安定性等の品質」とあるのは「品質」と、第26条第1項中「適切に保存」とあるのは「保存」と読み替えるものとする。
- 本条は、法第80条の2第5項の厚生労働省令で定める基準、すなわち治験の依頼をした者が治験を管理する際に従うべき基準(治験の管理の基準)を定めている。
治験の管理の基準は、本基準が被験者の保護のために設けられ、その違反については罰則の適用があることに鑑み、承認審査資料の基準である治験の管理に関する基準(第三章、第16条から第26条)の特に重要な規定のみを準用し、必要な読替えを行うこととしている。
7.附則
(施行期日)
- 第1条 この省令は、平成9年4月1日から施行する。
- (承認審査資料の基準に関する経過措置)
- 第2条 法第14条第3項に規定する資料のうち、この省令の施行前に収集され、又は作成されたもの及びこの省令の施行の際現に収集され、又は作成されているものについては、第3条中「次条から第55条までの規定の定めるところ」とあるのは「第30条第1項、第35条、第44条、第47条第1項、第50条第1項及び第2項の規定の定めるところ並びに薬事法施行規則等の一部を改正する省令(平成9年厚生省令第29号)第1条の規定による改正前の薬事法施行規則(昭和36年厚生省令第1号)第67条各号の規定の例」と、第50条第1項中「文書により適切な説明を行い、文書により同意」とあるのは「適切な説明を行い、同意」とする。
- 2 法第14条第3項に規定する資料のうち、平成9年6月30日までに法第80条の2第1項の治験の依頼が行われた治験又は同日までに同条第2項の規定により届け出られた計画に係る治験により収集され、又は作成されたもの(前項に規定するものを除く。)については、第3条中「次条」とあるのは「次条から第6条まで、第7条(第1項第9号を除く。)、第8条から第12条まで、第13条(第9号から第13号まで及び第15号を除く。)、第14条、第15条、第16条(第6項を除く。)、第17条から第20条まで、第24条から第27条まで、第28条第2項及び第3項、第29条から第35条まで、第38条、第40条から第50条まで、第51条(第1項第10号を除く。)並びに第52条」とする。
- 3 法第14条第3項に規定する資料のうち、平成10年3月31日までに法第80条の2第1項の治験の依頼が行われた治験又は同日までに同条第2項の規定により届け出られた計画に係る治験により収集され、又は作成されたもの(第1項及び前項に規定するものを除く。)については、第3条中「次条」とあるのは「次条から第6条まで、第7条(第1項第9号を除く。)、第8条から第12条まで、第13条(第12号及び第15号を除く。)、第14条から第20条まで、第24条から第27条まで、第28条第2項及び第3項、第29条から第35条まで、第38条から第50条まで、第51条(第1項第10号を除く。)並びに第52条」とする。
- (再審査等の資料の基準に関する経過措置)
- 第3条 法第14条の4第4項及び第14条の5第4項に規定する資料のうち、平成9年6月30日までに依頼が行われた市販後臨床試験により収集され、又は作成されたものについては、第56条中「第3項第1号」とあるのは「第1項第9号及び第3項第1号」と、「から第16条まで」とあるのは「、第12条、第13条(第9号から第13号まで及び第15号を除く。)、第14条、第15条、第16条(第6項を除く。)」と、「第23条」とあるのは「第20条」と、「第25条」とあるのは「第25条から第27条まで、第28条第2項及び第3項、第29条から第35条まで、第38条、第40条から第50条まで、第51条(第1項第10号を除く。)並びに第52条」とする。
- 2 法第14条の4第4項及び第14条の5第4項に規定する資料のうち、平成10年3月31日までに依頼がなされた市販後臨床試験(前項に規定する市販後臨床試験を除く。)により収集され、又は作成されたものについては、第56条中「第3項第1号」とあるのは「第1項第9号及び第3項第1号」と、「第11条」とあるのは「第11条、第12条、第13条(第12号及び第15号を除く。)、第14条」と、「第23条」とあるのは「第20条」と、「第25条」とあるのは「第25条から第27条まで、第28条第2項及び第3項、第29条から第35条まで、第38条から第50条まで、第51条(第1項第10号を除く。)並びに第52条」とする。
- (法第80条の2第1項の厚生省令で定める基準に関する経過措置)
- 第4条 この省令の施行前に治験の計画書であって第7条第1項(第2号から第4号まで及び第9号から第13号までを除く。)の規定に適合するものが作成されていた場合における当該治験に係る法第80条の2第1項に規定する治験の依頼については、第57条の規定にかかわらず、薬事法施行規則等の一部を改正する省令(平成9年厚生省令第29号)第1条の規定による改正前の薬事法施行規則(昭和36年厚生省令第1号。附則第6条において「旧施行規則」という。)第67条(第7号から第11号までを除く。)の規定の例による。
- 2 平成9年4月1日から6月30日までの間に法第80条の2第2項の規定により届け出られた計画に係る治験(前項の場合における当該治験を除く。)に対する第57条の規定の適用については、第57条中「第11号、第13号」とあるのは、「第9号」とする。
- 3 平成9年7月1日から平成10年3月31日までの間に法第80条の2第2項の規定により届け出られた計画に係る治験(第1項の場合における当該治験を除く。)に対する第57条の適用については、第57条中「第11号、第13号」とあるのは「第11号」とする。
- (法第80条の2第4項の厚生省令で定める基準に関する経過措置)
- 第5条 この省令の施行前に治験の計画書であって第7条第1項(第2号から第4号まで及び第9号から第13号までを除く。)の規定に適合するものが作成されていた場合における当該治験の依頼を受けた者に係る法第80条の2第4項の治験をすることについては、第58条の規定にかかわらず、第30条第1項、第35条、第44条、第47条第1項並びに第50条第1項及び第2項の規定の例による。この場合において、第50条第1項中「文書により適切な」とあるのは「適切な」とする。
- 2 平成9年4月1日から6月30日までの間に法80条の2第1項の治験の依頼を受けた者又は同日までに同条第2項の規定により届け出られた計画に係る治験の依頼を受けた者(前項に規定する者を除く。)に対する第58条の適用については、第58条中「第27条」とあるのは「第27条、第28条第2項及び第3項、第29条から第35条まで、第38条、第40条から第50条まで、第51条(第1項第10号を除く。)並びに第52条」とする。
- 3 平成9年7月1日から平成10年3月31日までの間に法第80条の2第1項の治験の依頼を受けた者(第1項及び前項に規定する治験の依頼を受けた者を除く。)に対する第58条の適用については、第58条中「第27条」とあるのは「第27条、第28条第2項及び第3項、第29条から第35条まで、第38条から第50条まで、第51条(第1項第10号を除く。)並びに第52条」とする。
- (法第80条の2第5項の厚生省令で定める基準に関する経過措置)
- 第6条 この省令の施行前に治験の計画書であって第7条第1項(第2号から第4号まで及び第9号から第13号までを除く。)の規定に適合するものが作成されていた場合における当該治験の依頼をした者に係る法第80条の2第5項に規定する治験の管理については、第59条の規定にかかわらず、旧施行規則第67条第7号、第8号及び第10号の規定の例による。
- 2 平成9年4月1日から6月30日までの間に法第80条の2第1項の治験の依頼をした者又は同日までに同条第2項の規定により届け出られた計画に係る治験の依頼をした者(前項に規定する者を除く。)に対する第59条の適用については、第59条中「第7項」とあるのは「第6項及び第7項」と、「、第21条第1項並びに」とあるのは「並びに」とする。
- 3 平成9年7月1日から平成10年3月31日までの間に法第80条の2第1項の治験の依頼をした者(第1項及び前項に規定する者を除く。)については、「、第21条第1項並びに」とあるのは「並びに」とする。
本基準が全て適用されるのは、平成10年4月1日以降に依頼が行われた治験であり、それまでの間に依頼が行われた治験については、新たに設けられた基準等基準の一部を適用しないこととし、段階的に適用していくこととしている。治験の依頼の時期ごとの適用される規定は以下のとおりである。
1 第2条関係(本条の適用は平成9年3月27日厚生省令第28号の施行時の規定である。)
(1)第1項について
平成9年4月1日より前に依頼が行われた治験(依頼はされていないが既に第7条第1項(第2号から第4号まで及び第9号から第13号までを除く。)の規定に適合する治験実施計画書が作成されていた治験を含む。)については、次の①から⑥に掲げる規定及び旧施行規則第67条各号の規定のみが適用される。
- ① 治験審査委員会の意見聴取に係る規定(第30条第1項)
- ② 実施医療機関の要件に係る規定(第35条)
- ③ 被験者となるべき者の選定に係る規定(第44条)
- ④ 症例報告書の作成に係る規定(第47条第1項)
- ⑤ 説明と同意に係る規定(適切な説明・同意)(第50条第1項の読替え)
- ⑥ 代諾者に係る規定(第50条第2項)
(2)第2項について
平成9年6月30日までに依頼が行われた治験又は同日までに法第80条の2第2項の規定により計画が届け出られた治験(第1項の治験を除く。)については、第4条から第55条までの規定のうち、次の①から⑤に掲げる規定は適用されない。
- ① モニタリング、監査に係る規定(直接閲覧に係る規定を含む。)(第7条第1項第9号、第21条、第22条、第23条、第37条、第51条第1項第10号)
- ② 契約書に記載すべき事項に係る規定(第13条第9号から第13号まで、第15号)
- ③ 治験薬の管理のための手順書に係る規定(第16条第6項、第39条)
- ④ 治験審査委員会に係る規定(第28条第1項)
- ⑤ 実施医療機関の治験の業務に関する手順書に係る規定(第36条)
(3)第3項について
平成10年3月31日までに依頼が行われた治験又は同日までに法第80条の2第2項の規定により計画が届け出られた治験(第1項及び第2項の治験を除く。)については、第4条から第55条までの規定のうち、次の①から④に掲げる規定は適用されない。
- ① モニタリング、監査に係る規定(直接閲覧に係る規定を含む。)(第7条第1項第9号、第21条、第22条、第23条、第37条、第51条第1項第10号)
- ② 契約書に記載すべき事項に係る規定(第13条第12号及び第15号)
- ③ 治験審査委員会に係る規定(第28条第1項)
- ④ 実施医療機関の治験の業務に関する手順書に係る規定(第36条)
<参考>
1 平成9年7月1日より適用される事項
- (1)治験の契約書に記載すべき事項に係る規定
「治験薬の管理に関する事項」「記録(データを含む。)の保存に関する事項」「この省令の規定により治験依頼者及び実施医療機関に従事する者が行う通知に関する事項」「治験の費用に関する事項」(第13条第9号、第10号、第11号、第13号)- (2)治験薬の管理のための手順書に係る事項
- ① 治験依頼者は治験薬の管理に関する手順書を作成し実施医療機関の長に交付(第16条第6項)
- ② 実施医療機関の長は第16条第6項の手順書を治験薬管理者に交付し、この手順書に従って管理(第39条)
2 平成10年4月1日より適用される事項
- (1)モニタリング・監査関係
- ① 治験実施計画書に記載すべき事項のうち「原資料の閲覧に関する事項」(第7条第1項第9号)
- ② 治験の契約書に記載すべき事項に係る規定「被験者の秘密の保全に関する事項」「実施医療機関が治験依頼者の求めに応じて第41条第2項各号に掲げる記録(文書を含む。)を閲覧に供する旨」(第13条第12号及び第15号)
- ③ モニタリング・監査の実施(第21条から第23条)
- ④ 実施医療機関の長のモニタリング・監査、治験審査委員会の調査への協力及び第41条第2項に掲げる記録を閲覧に供すること(第37条)
- ⑤ 説明文書に記載すべき事項のうち「被験者の秘密が保全されることを条件に、モニター・監査担当者、治験審査委員会が原資料を閲覧できる旨」(第51条第1項第10号)
- (2)治験審査委員会の委員に係る規定(第28条第1項)
- (3)実施医療機関における治験に係る業務に関する手順書に係る規定(第36条)
2 第3条関係
再審査等の資料の基準(第56条)関係の経過措置については、第56条で、概要を説明したので、参照されたい。
3 第4条関係(治験の依頼に関する基準の経過措置)
(1)第1項について
平成9年3月31日までに第7条第1項(第2号から第4号まで及び第9号から第13号までを除く。)の規定に適合する治験実施計画書が作成されていた治験を依頼しようとする者については、旧施行規則第67条第1号から第6号までの規定が適用される。
(2)第2項について
平成9年4月1日から平成9年6月30日までの間に法第80条の2第2項の規定により計画が届け出られた治験(第1項の治験を除く。)を依頼しようとする者については、第57条において準用する規定のうち、第13条第1項第9号、第10号及び第12号の規定は適用されない。
(3)第3項について
平成9年7月1日から平成10年3月31日までの間に法第80条の2第2項の規定により計画が届け出られた治験(第1項の治験を除く。)を依頼しようとする者については、第57条において準用する規定のうち、第13条第1項第12号の規定は適用されない。
- 注)第57条において適用される治験の依頼の基準は次のとおり。
第4条第1項、第5条、第7条第1項(第9号及び第11号から第13号までを除く。)、第8条第1項、第11条、第13条(第11号、第13号から第16号まで及び第18号を除く。)、第14条、第15条
4 第5条関係(治験を行う基準の経過措置)
平成9年3月31日までに治験の依頼を受けた者については、この省令の基準は適用されない(薬事法等の一部を改正する法律(平成8年法律第104号)附則第3条第5項)。
(1)第1項について
平成9年4月1日以降に依頼が行われた治験のうち、平成9年3月31日までに第7条第1項(第2号から第4号まで及び第9号から第13号までを除く。)の規定に適合する治験実施計画書が作成された治験の依頼を受けた者については、第58条において準用する第27条から第55条までの規定のうち、次の①から⑥に掲げる規定のみが適用される。
- ① 治験審査委員会の意見聴取に係る規定(第30条第1項)
- ② 実施医療機関の要件に係る規定(第35条)
- ③ 被験者となるべき者の選定に係る規定(第44条)
- ④ 症例報告書の作成に係る規定(第47条第1項)
- ⑤ 説明と同意に係る規定(適切な説明・文書による同意)(第50条第1項の読替え)
- ⑥ 代諾者に係る規定(第50条第2項)
(2)第2項について
平成9年4月1日から平成9年6月30日の間に依頼が行われた治験又は法第80条の2第2項の規定により計画が届け出られた治験(第1項の治験を除く。)の依頼を受けた者については、第58条において準用する第27条から第55条までの規定のうち、次の①から④に掲げる規定は適用されない。
- ① モニタリング、監査に係る規定(直接閲覧に係る規定を含む。)(第37条、第51条第1項第10号)
- ② 治験薬の管理のための手順書に係る規定(第39条)
- ③ 治験審査委員会に係る規定(第28条第1項)
- ④ 実施医療機関の治験の業務に関する手順書に係る規定(第36条)
(3)第3項について
平成9年7月1日から平成10年3月31日の間に依頼が行われた治験(第1項及び第2項の治験を除く。)の依頼を受けた者については、第58条において準用する第27条から第55条までの規定のうち、次の①から③に掲げる規定は適用されない。
- ① モニタリング、監査に係る規定(直接閲覧に係る規定を含む。)(第37条、第51条第1項第10号)
- ② 治験審査委員会に係る規定(第28条第1項)
- ③ 実施医療機関の治験の業務に関する手順書に係る規定(第36条)
<参考>
1 平成9年7月1日より適用される事項
- (1)治験薬の管理のための手順書に係る規定
- 実施医療機関の長は第16条第6項の手順書を治験薬管理者に交付し、この手順書に従って管理(第39条)
2 平成10年4月1日より適用される事項
- (1)モニタリング・監査関係
- ① 実施医療機関の長のモニタリング・監査、治験審査委員会の調査への協力及び第41条第2項に掲げる記録を閲覧に供すること(第37条)
- ② 説明文書に記載すべき事項のうち「被験者の秘密が保全されることを条件に、モニター・監査担当者、治験審査委員会が原資料を閲覧できる旨」(第51条第1項第10号)
- (2)治験審査委員会の委員に係る規定(第28条第1項)
- (3)実施医療機関における治験に係る業務に関する手順書に係る規定(第36条)
5 第6条関係(治験の管理に関する基準の経過措置)
平成9年3月31日までに治験の依頼をした者については、この省令の基準は適用されない(薬事法等の一部を改正する法律(平成8年法律第104号)附則第3条第5項)。
(1)第1項について
平成9年4月1日以降に依頼が行われた治験のうち、平成9年3月31日までに第7条第1項(第2号から第4号まで及び第9号から第13号までを除く。)の規定に適合する治験実施計画書が作成された治験の依頼をした者については、旧施行規則第67条第7号、第8号及び第10号の規定が適用される。
(2)第2項について
平成9年4月1日から平成9年6月30日の間に依頼が行われた治験又は法第80条の2第2項の規定により計画が届け出られた治験(第1項の治験を除く。)の依頼をした者については、第59条において準用する規定のうち、次の①及び②に掲げる規定は適用されない。
- ① モニタリングに係る規定(第21条第1項)
- ② 治験薬の管理のための手順書に係る規定(第16条第6項)
(3)第3項について
平成9年7月1日から平成10年3月31日の間に依頼が行われた治験(第1項及び第2項の治験を除く。)の依頼をした者については、第59条において準用する規定のうち、第21条第1項のモニタリングに係る規定は適用されない。
- 注)第59条において適用される治験の管理の基準は次のとおり。
第16条(第1項第5号及び第7項を除く。)、第21条第1項、第26条第1項(第1号から第4号を除く。)及び第2項
6 1から5のとおり適用時期について経過措置を定めたところであるが、適用されない規定についても可能なものから順次取り入れ実施するよう努められたい。
<参考>
○ 旧薬事法施行規則(抜粋)
(治験の依頼の基準)
第67条 法第80条の2第1項の規定により、治験の依頼をしようとする者が従わなければならない基準は、次のとおりとする。
- 1)治験を依頼するのに必要な毒性、薬理作用等に関する試験を終了していること。
- 1の2)依頼者が本邦内に住所を有しない場合にあっては、治験薬等による保健衛生上の危害の発生又は拡大の防止に必要な措置を採らせるため、依頼者に代わって治験の依頼を行いうる者を、本邦内に住所を有する者(外国法人で本邦内に事務所を有するものの当該事務所の代表者を含む。)のうちから選任し、この者(以下「治験国内管理人」という。)によって依頼に係る手続を行うこと。
- 2)依頼は文書により行うこと。
- 3)第一号に定める試験の結果その他治験に必要な情報を提供すること。
- 4)十分な臨床観察及び試験検査を行うことができ、かつ、緊急時に必要な措置を採ることができる等当該治験を適切に実施しうる医療機関又は研究機関(以下「医療機関等」という。)に対して依頼すること。この場合において、漢方薬等の治験については、その依頼先(依頼の相手としての医療機関等をいう。以下同じ。)の中に、当該専門分野において十分な臨床経験のある医療機関等を含めること。
- 5)治験の依頼先に対し、治験の内容等を説明することが医療上好ましくないと担当医師が判断する場合等を除き、治験の内容等を被験者(被験者が同意の能力を欠く場合にはこれに代わって同意をなし得る者)に説明し、その同意を得るよう要請すること。
- 6)治験薬等により健康被害が発生した場合の補償のために、あらかじめ、必要な方策を講じておくこと。
- 7)治験薬等又はその容器若しくは被包に、次に掲げる事項を邦文で記載すること。
- イ 治験用である旨
- ロ 依頼者の氏名及び住所(依頼者が本邦内に住所を有しない場合にあっては、依頼者の氏名及びその住所地の国名並びに治験国内管理人の氏名及び住所)
- ハ 化学名又は識別記号
- ニ 製造番号又は製造記号
- ホ 貯蔵方法、有効期間等を定める必要のあるものについては、その内容
- 8)治験薬等に添付する文書、その治験薬等又はその容器若しくは被包(内袋を含む。)に、次に掲げる事項を記載しないこと。
- イ 予定される販売名
- ロ 予定される効能、効果又は性能
- ハ 予定される用法又は用量
- 9)治験薬等は、医薬品の販売業者等の第三者を介在させることなく直接依頼先に交付すること。
- 10)治験薬等に関して次の事項を記録して保存すること。ただし、依頼者が本邦内に住所を有しない場合にあっては、治験国内管理人にも保存させること。
- イ 製造及び試験に関する事項
- ロ 依頼先別の交付数量及び交付年月日
- 11)依頼者が本邦内に住所を有しない場合であって、厚生大臣が治験薬等の使用による保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するために必要であると認めて、治験国内管理人に対し、治験の依頼の取消し又はその変更その他必要な指示を行ったときは、治験国内管理人を当該指示に従わせること。
-
(施行期日)
- 第1条 この省令は、平成18年4月1日から施行する。 (経過措置)
- 第2条 この省令の施行前に実施された又はこの省令の施行の際現に実施されている医薬品の臨床試験については、この省令による改正後の医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(次項において「新令」という。)の規定にかかわらず、なお従前の例による。
- 第3条 この省令の施行前に治験実施計画書(医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令第7条第1項から第3項まで又は第15条の4第1項から第3項までの規定に適合するものに限る。)又は製造販売後臨床試験実施計画書(この省令による改正前の医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令第56条において準用する第7条第1項から第3項まで(第3項第1号を除く。)の規定に適合するものに限る。)が作成された医薬品の臨床試験(前項に該当するものを除く。)については、新令の規定にかかわらず、なお従前の例による。
- (施行期日)
- 第1条 この省令は、平成20年4月1日から施行する。ただし、第20条第2項及び第3項の改正規定、第28条第3項の改正規定、第31条第2項及び第40条第1項の改正規定(「第20条第2項」の下に「及び第3項」を加える部分に限る。)、第43条第2項の改正規定並びに第56条第1項の改正規定(「第20条第2項」の下に「及び第3項」を加える部分に限る。)は、平成21年4月1日から施行する。
- (経過措置)
- 第2条 この省令の施行前に実施された又はこの省令の施行の際現に実施されている医薬品の臨床試験については、この省令による改正後の医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(次項において「新令」という。)の規定にかかわらず、なお従前の例による。
- 第3条 この省令の施行前に治験実施計画書(医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令第7条第1項から第3項まで又は第15条の4第1項から第3項までの規定に適合するものに限る。)又は製造販売後臨床試験実施計画書(この省令による改正前の医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令第56条において準用する第7条第1項から第3項まで(第3項第1号を除く。)の規定に適合するものに限る。)が作成された医薬品の臨床試験(前条に該当するものを除く。)については、新令の規定にかかわらず、なお従前の例による。
- (厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令の一部改正)
- 第4条 厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令(平成17年厚生労働省令第44号)の一部を次のように改正する。
別表第2医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の項中「第20条第3項」を「第20条第4項」に、「及び委員名簿」を「、委員名簿並びに会議の記録及びその概要」に改める。
-
〈第1条関係〉
- 1 改正GCP省令は、平成20年4月1日から施行すること。ただし、改正GCP省令第20条第2項及び第3項の規定(副作用等症例の半年ごとの集積報告等。本改正に伴い変更したものを含む。)並びに第28条第3項の規定(治験審査委員会の手順書等の公表)は、平成21年4月1日から施行すること。
- 2 第20条第2項及び第3項の規定は、平成21年4月1日の施行であるため、それまでの間は施行前の以下の規定によること。他の条文において、第20条第3項及び第4項の規定を引用している場合も同様の取扱いであること。
- 第20条 治験依頼者は、被験薬の品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために必要な情報を収集し、及び検討するとともに、実施医療機関の長に対し、これを提供しなければならない。
- 2 治験依頼者は、被験薬について法第80条の2第6項に規定する事項を知ったときは、直ちにその旨を治験責任医師及び実施医療機関の長に通知しなければならない。
- 3 治験依頼者は、被験薬の品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために重要な情報を知ったときは、必要に応じ、治験実施計画書及び治験薬概要書を改訂しなければならない。この場合において、治験実施計画書の改訂について治験責任医師の同意を得なければならない。
- 3 第51条第1項第15号の留意事項(〈第1項〉4)については、第28条第3項の治験審査委員会に関する情報の公表に伴うものであるため、平成21年4月1日以降治験審査委員会の会議の記録の概要を公表した後に、被験者に交付する説明文書から適用されること。
(副作用情報等)
-
〈第2条関係〉
- 1 経過措置として、改正GCP省令が施行される平成20年4月1日より前に実施された治験又は平成20年4月1日時点で実施されている治験については、なお従前の例によること。
-
〈第3条関係〉
- 1 経過措置として、改正GCP省令が施行される平成20年4月1日より前に治験実施計画書(GCP省令第7条第1項から第3項まで又は第15条の4第1項から第3項までの規定に適合するものに限る。)等が作成された治験(上記〈第2条関係〉1に該当するものを除く。)については、なお従前の例によること。
- (施行期日)
- 第1条 この省令は、公布日から施行する。
- (経過措置)
- 第2条 この省令の施行前に治験実施計画書(医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(以下「基準省令」という。)第7条第1項から第3項までの規定に適合するものに限る。以下同じ。)が作成された治験についての治験の依頼をした者(以下「治験依頼者」という。)に係る報告(薬事法施行規則第273条第3項本文の報告をいう。以下同じ。)については、平成26年6月30日までの間は、なお従前の例による。
- 2 前項の規定にかかわらず、同項の治験依頼者が平成26年6月30日までの間に報告を行う場合において、当該報告については、当該治験依頼者の選択により、第1条の規定による改正後の薬事法施行規則(以下「新薬事法施行規則」という。)第273条第3項本文の規定の適用を受けることができる。
- 3 新薬事法施行規則第273条第3項本文の規定は、第1項の治験依頼者に係る報告については、平成26年7月1日から適用する。
- 4 新薬事法施行規則第273条第3項本文の規定は、この省令の施行後に治験実施計画書が作成された治験の治験依頼者又は治験実施者(新薬事法施行規則第273条第3項本文の規定による自ら治験を実施した者をいう。以下同じ。)に係る報告については、平成26年7月1日から適用する。
- 5 前項の治験依頼者又は治験実施者に係る報告であって、平成26年6月30日までの間に行われるものについては、第1条の規定による改正前の薬事法施行規則第273条第3項の報告とみなして、同項の規定を適用する。
- 6 前項の規定にかかわらず、同項の報告については、同項の治験依頼者又は治験実施者の選択により、新薬事法施行規則第273条第3項本文の規定の適用を受けることができる。
- 第3条 この省令の施行前に治験実施計画書が作成された治験についての治験依頼者に係る通知(基準省令第20条第2項の通知をいう。以下同じ。)については、平成26年6月30日までの間は、なお従前の例による。
- 2 前項の規定にかかわらず、同項の治験依頼者が平成26年6月30日までの間に通知を行う場合において、当該通知については、当該治験依頼者の選択により、第2条の規定による改正後の基準省令(以下「新基準省令」という。)第20条第2項の規定の適用を受けることができる。
- 3 新基準省令第20条第2項の規定は、第1項の治験依頼者に係る通知については、平成26年7月1日から適用する。
- 4 新基準省令第20条第2項の規定は、この省令の施行後に治験実施計画書が作成された治験についての治験依頼者に係る通知については、平成26年7月1日から適用する。
- 5 前項の治験依頼者に係る通知であって、平成26年6月30日までの間に行われるものについては、第2条の規定による改正前の基準省令第20条第2項の通知とみなして、同項の規定を適用する。
- 6 前項の規定にかかわらず、同項の通知については、同項の治験依頼者の選択により、新基準省令第20条第2項の規定の適用を受けることができる。
- (厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令の一部改正)
- 第4条 厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令(平成17年厚生労働省令第44号)の一部を次のように改正する。
別表第2医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の項中「第18条第2項」を「第18条」に、「第26条の4第2項」を「第26条の4」に改め、同表医療機器の臨床試験の実施に関する省令の項中「第26条第2項」を「第26条」に、「第37条第2項」を「第37条」に改める。